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【Vol.41】中川コロナが『アメスパ2』で興収ランク1位

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【Vol.41】中川コロナが『アメスパ2』で興収ランク1位

2014年05月28日
 中川コロナシネマワールド(名古屋市)が、『アメイジング・スパイダーマン2』の劇場別興収ランキングで1位を奪取した。5月25日現在で興収が4100万円を超えて、1位に上りつめた格好だ。この成績は、4DX版(3D字幕/3D吹替)、3D版(吹替)、2D版(字幕)の4バージョンを合算したもので、4DX版が圧倒的なパワーを発揮したことによる快挙達成となった。

 4DXについては当欄で何度も話題にしているが、今回の中川コロナの1位獲得は興味深い出来事だ。映画は1週目週末が最も成績が良く、2週目、3週目とどんどん動員が落ちていくのが通例だ。ところが、中川コロナの4DXシアターは112席とキャパシティが少なく、公開から1カ月が経過しても相変わらず高い稼働率をキープし、横ばいの推移をみせる。客単価が高く、最高の場合は鑑賞料金が3100円(通常1800円+4DX分1000円+3D分300円)になる。日を追うごとに順位を上げていくのは、まさに4DXの特性が如実に表れたと言える。

 他の4DXシアター導入劇場の躍進ぶりも素晴らしい。中川コロナと同様、順位を上げてきた。5月25日時点で福山コロナ(広島県福山市)が3位、小倉コロナ(北九州市)が12位。佐々木興業のシネマサンシャイン平和島(東京都大田区)も5本指に入る。4DX導入以前、これらの劇場がこれほど上位に食い込むことは見たことがなく、まさに4DXは効果てきめんだ。

 料金の高さが懸念材料の一つだったが、観客の反応を見る限り、料金について問題視する声はなく、鑑賞後の満足度も高い。リピーターも増えている。

 コロナの各館では、4DXシアターが別のプラス効果を生み出している。4DXが満席になり、次の回を待つ人がコンセッションを利用する。やはり次回を待つ人が、コロナワールド内の他店舗(飲食店、アミューズメントなど)を利用するため、コロナの会社全体として収益に貢献している。

 面白いのが、タクシー業界への波及効果。コロナの劇場は郊外立地であり、車でないとアクセスが難しい。4DX目当てで遠方から訪れた人たちは、近隣の駅からタクシーを利用してコロナ各館にやってくる。乗客が行き先を告げると、運転手が「ああ、4DXですか」「あの映画館ですね」などといった返しをする。そんな会話が頻繁に行われるくらい、各地で4DXへの認知が高まってきているという。

 業界の中には当初、4DXで映画を見ることを「邪道」などと言って批判する声があったし、今もあるかもしれない。しかし、もう無視はできないだろう。導入から1年が経過した中川コロナで相変わらずの集客力を発揮し、後発導入した各館でも抜群の人気を集めていることは紛れもない事実。4DXの提供する「体感型」への需要は確実にある。今後ますます、4DXの動向から目が離せなくなった。




松本 貴則(まつもと・たかのり)  映画部デスク 兼 サイト事業部所属

2000年、シネコン担当記者として入社。その後、配給会社などへも取材範囲を広げるが、取材のベースは興行に置いている。2011年から映画部デスク。趣味は空手、サッカー、野球、スポーツ観戦、読書。




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