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アスミック・エース 佐野真之社長 “IP×新市場×新技術を掛け合わせて事業領域拡大”

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アスミック・エース 佐野真之社長 “IP×新市場×新技術を掛け合わせて事業領域拡大”

2018年07月11日

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 アスミック・エースが、重要な転機を迎えている。

 定評のある企画製作と配給宣伝を核とした映画事業と、J:COMグループ入りしてから主力となったオンデマンド事業。この両輪で映像コンテンツの川上から川下まで押さえる総合力が同社の成長エンジンだ。ただ昨今は、構造的にも市場的にも従前の手法では収益を稼ぎにくくなり、数年前からアニメや海外市場にも傾注するようになっている。

 そうした流れの中で、佐野真之社長(=写真)が2017年4月に就任。1年が経った今、「IP」「新市場」「新技術」という3つのキーワードを掲げ、いくつか目に見える成果も表れてきた。アスミックの現状はどうなっているのか。いかに新しい価値を生み出し、成長していくのか。佐野社長に聞いた。





走り抜けたこの1年



──去年4月の社長就任から1年が過ぎました。率直な感想を。


佐野 去年から映画事業、オンデマンド事業、アニメも含めたライツ事業という3事業を掲げて走り出したのですが、各事業で状況が違います。映画事業は『関ヶ原』を筆頭に、相次ぐ大作の劇場公開をどう成功させるか。オンデマンド事業は、目まぐるしく変わる外部環境にアスミック・エース個社というよりはジュピターテレコム(J:COM)、もしくはKDDIも含めた大きなグループとしてどう向き合うか。次なるコンテンツビジネスの柱として立ち上げたライツ事業は、新規事業の観点からいかに仕込んでいくか。状況は異なるものの各事業ともスピードは早く、この1年は本当に走り抜けたという感じです。


──佐野さんがアスミックに在籍するのは、住友商事から出向して03年から09年まで、それからジュピターエンタテインメントのオンデマンド事業をアスミックが継承した12年12月から現在まで、都合10年以上になりますね。


佐野 初めはヨーロッパ・コープ作品の窓口、洋画の買付や海外との合作(08年公開『シルク』)などを担当。次は、J:COMでオンデマンド事業を担当していた時、アスミックの子会社化と事業継承に伴いアスミックに移りました。映画とオンデマンドの実務経験があり、役員として経営企画も担当しているので、社長になって自身の経験を少しでも還元したいと思い、この1年やってきました。


──どんな課題が見えていますか。


佐野 ここ数年で映像のビジネスモデルが激変し、特にインディペンデントはいよいよ難しい局面を迎えています。映画事業では上映スクリーンやキャパシティの取り合い、ビデオグラムの減収に加え、近年急増したVODは旧作を含め何巡かし、プラットフォーム側が仕入れを絞ってオリジナル作品にシフトする方向性なのでVOD販売は少しずつ下がるでしょうから、映画事業の収益構造は厳しくなります。アニメも海外、特に中国へのライセンスが大きな下支えですが、中国でも総量規制や、先に完成品を納品してチェックする検閲のような話も出ていますから、アニメも既存のビジネスモデルに頼ったコンテンツリリースだけでは先行きは不透明です。


──4月1日付で組織変更、人事異動を行いました。1年間の成果を踏まえた新たな体制です。



佐野 端的にいえば、以前は2事業本部(映画、メディア)だったのを、3つの事業をそのまま3事業本部(映画、ライツ、オンデマンド)にしました。


──組織変更のポイントはどのあたりになりますか。


佐野 まず、映画事業本部で大きな変更点は、「映像事業部」の新設です。ここは他社さんの企画の窓口を担います。特に劇場公開を前提にしており、狭義の実写映画だけではなく、ODS的な作品を外部パートナーさんと一緒に組み立てていきます。これまでもアニメの劇場配給や、グループのJスポーツと取り組んだサムライジャパンのドキュメンタリーなどでかなりの数のお客さんに劇場に来ていただいており、さらにラインナップの幅を広げます。


──新設のライツ事業本部はどうでしょう。


佐野 既存の映像ビジネスのノウハウを核に、アニメを含めた「IP」の開発、中国をはじめとした海外の「新市場」、ARやVRといった「新技術」という3つのテーマを掛け合わせて事業領域を拡大する。これがライツ事業本部の大枠の考え方です。新たに「事業推進部」を作り、「アニメ企画室」や「コンテンツ販売部」と連携させます。今は従来のように映像作品を作り、ただ届けるだけではいい商売にならなくなってきました。これからは海外を含めて、IPの周辺でどうやって双方向、360度の展開をしていくのかが肝心です。個々の企画のビジネスモデルがどうなのか、稼ぎどころはどこなのかを見極めてビジネス構築をしていく。その実行部隊として事業推進部を作り、企画チームと並走しながらビジネスの新しい仕組みや海外展開を考えていきます。


続きは、文化通信ジャーナル2018年7月号に掲載。

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