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【写真特集】第32回東京国際映画祭 クロージングセレモニー

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【写真特集】第32回東京国際映画祭 クロージングセレモニー

2019年11月06日
第32回東京国際映画祭クロージングセレモニー ©2019 TIFF.jpg
第32回東京国際映画祭クロージングセレモニー ©2019 TIFF

 第32回東京国際映画祭が5日閉幕。同日、有楽町の国際フォーラムでクロージングセレモニーを実施、各賞を次の通り発表した。



★受賞作品・受賞者

■コンペティション部門
▼東京グランプリ/東京都知事賞 『わたしの叔父さん』
▼審査委員特別賞 『アトランティス』
▼最優秀監督賞 サイード・ルスタイ 『ジャスト6・5』
▼最優秀女優賞 ナディア・テレスツィエンキーヴィッツ 『動物だけが知っている』
▼最優秀男優賞 ナヴィド・モハマドザデー 『ジャスト6・5』
▼最優秀芸術貢献賞 『チャクトゥとサルラ』
▼最優秀脚本賞 『喜劇 愛妻物語』
▼観客賞 『動物だけが知っている』

■アジアの未来
▼作品賞 『夏の夜の騎士』
▼国際交流基金アジアセンター特別賞 レザ・ジャマリ 『死神の来ない村』

■日本映画スプラッシュ
▼作品賞 『i‐新聞記者ドキュメント‐』
▼監督賞 渡辺紘文 『叫び声』

■東京ジェムストーン賞
ヨセフィン・フリーダ(『ディスコ』)、伊藤沙莉(『タイトル、拒絶』)、吉名莉瑠(『テイクオーバーゾーン』)、佐久間由衣(『〝隠れビッチ〟やってました。』)

アメリカン航空アウォード大学対抗ショートフィルムコンテスト
奥井琢登(大阪芸術大学)『Down Zone』

■特別功労賞
仲代達矢、大林宣彦



 映画界の将来を担う若手俳優に贈る「東京ジェムストーン賞」は、今年3回目。受賞した、中学3年生の吉名莉瑠が会場に駆け付け、「東京国際映画祭には初めて参加したが、レッドカーペットや、舞台挨拶で見る景色は、自分が思っていたよりも、キラキラしていた。これからも良い女優になれるように毎日を頑張りたい」と初々しさを見せた。吉名が出演する『テイクオーバーゾーン』は、山嵜晋平監督作品。中学校の陸上部を舞台にした同作で吉名は、複雑な家庭背景を持つ14歳の少女を演じ、同賞を勝ち獲った。

左から久松フェスティバルディレクター、吉名莉瑠.jpg
 左から久松フェスティバルディレクター、吉名莉瑠

 「日本映画スプラッシュ」には、ドキュメンタリーと劇映画が混在し、審査は一筋縄にはいかず、審査員の大九明子は、「今一度、スプラッシュというテーマに立ち戻った。つまり、海外に発信できる力を持った作品を選んだ」と語った。

 作品賞には、東京新聞社会部の望月衣塑子記者を追ったドキュメンタリー『i‐新聞記者ドキュメント‐』を選んだ。森達也監督らが登壇し、「今、メディアが閉塞した状況になっている。そんな状況のなかで、ドキュメンタリーが色んなことを見せてくれる。ドキュメンタリー、面白いです。特にこの国は、今、空気という目に見えないものが色んな機能を停止させている。言論とか、表現、かなり気まずい状況になっている。そんななか、この映画が賞を獲れた」とし、「僕自身の話では、ドラマも撮るつもり。次回は、ドラマでこの映画祭に参加したい」と意欲を見せた。

左からナム・ドンチョル審査員(釜山国際映画祭プログラム・ディレクター)、森達也.jpg
左からナム・ドンチョル審査員(釜山国際映画祭プログラム・ディレクター)、森達也

 長編映画3本目までのアジアの新鋭監督の作品を上映した「アジアの未来」。作品賞は、中国映画『夏の夜の騎士』。少年が、盗まれた祖母の自転車を探す、ひと夏の物語。審査員を務めたエレナ・ポラッチ(ヴェネチア国際映画祭プログラマー)は、「その独特な世界観を創作したことに、魂のゆさぶりを覚えた」と絶賛。プレゼンターの中村義洋も「本当にすばらしかった」とうっとりした様子。監督のヨウ・シンは、「この賞は、フィルムメーカーとして、今後のキャリアに大きな意味をもたらしてくれる」と喜びを語った。

左からピムパカー・トーウィラ審査員(監督/プログラムディレクター)、ヨウ・シン.jpg
左からピムパカー・トーウィラ審査員(監督/プログラムディレクター)、ヨウ・シン

 「コンペティション部門」では、日本勢から、最優秀脚本賞は足立紳監督・脚本の『喜劇 愛妻物語』が受賞。『百円の恋』の脚本などで知られる足立紳が、売れない脚本家と夫に悪態をつき続ける恐妻の物語を自伝的に書き、自ら映画化した。足立紳は「脚本の賞を獲ることができホッとしている。台本に書いた文字をあそこまで理解して体現してくださった、濱田岳さん、水川あさみさんらに感謝している」と話した。

左からジュリー・ガイエ審査員(女優/プロデューサー)、足立紳.jpg
左からジュリー・ガイエ審査員(女優/プロデューサー)、足立紳

 東京グランプリ/東京都知事賞を獲得したデンマーク映画『わたしの叔父さん』では、若い姪が年老いて体の自由がきかない叔父の面倒を見ているのだが、ふたりの日々、その変化を描いていく。家畜の世話をしながら黙々と暮らしていたが、姪は獣医になるという夢を抱いていた。ラスト、彼女の選択に胸が締め付けられ、〝人生で一番大切なもの〟は何か、誰しもが人生のなかで一度は考えるであろう普遍的なテーマを観る者に投げかける。

 『わたしの叔父さん』のタイトルがコールされると、監督のフラレ・ピーターセンらが登壇。歓喜に満ちた表情でピーターセン監督は、「光栄。心臓がバクバクしている。このインディペンデントの、小さな作品を選んでくれてありがとう。東京国際映画祭のコンペに選んでいただいたことだけで、私たちは本当に喜んだ。盛大に祝い、かなりの二日酔いになった。スタッフ全員、もてなしてくださり、そのサポートからは愛を感じた」と東京国際映画祭に感謝を告げた。

左からチャン・ツィイー審査委員長、フラレ・ピーターセン.jpg
左からチャン・ツィイー審査委員長、フラレ・ピーターセン

 終盤、コンペティション部門の審査委員長を務めたチャン・ツィイーが登壇し、「審査員として6日間、スクリーニングを行った。審査を通して、映画が持つ、文化性、芸術性、多様性を感じ取ることができた。審査は困難であったが、(5人の審査員の)共感する作品や、判断や基準は、基本的には一致していた。時には、皆さんの意見を上手くまとめる必要もあった。映画という芸術が永遠に輝き続けるようにお祈りしている。円満に閉幕式を迎えることができた。(日本語で)ありがとうございます」とコメントした。

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総評するチャン・ツィイー審査委員長

 クロージングセレモニーには、小池百合子東京都知事、久松猛朗フェスティバルディレクター、安藤裕康チェアマンらも出席した。


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