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Mintoの海外展開、注力する東南アジアの現状を聞く

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Mintoの海外展開、注力する東南アジアの現状を聞く

2026年04月27日
Mintoの水野代表.jpg


 IPプロデュース会社のMintoが、テレビ東京を引受先とする5億円の第三者割当増資と資本業務提携を行ったことが先ごろ発表された。今後は、テレ東が展開する「シナぷしゅ」などのIPを、東南アジアを中心とした海外で展開強化する。

 Mintoは、IPと企業のタイアップ支援やIPライセンス展開、さらにIPの海外展開も手掛けている。自社発の「うさぎゅーん」や「ベタックマ」といったキャラクターが人気を博すほか、「ちいかわ」など他社のIP展開も支援する。海外ではタイ、ベトナム、中国に拠点を持ち、特にタイでは10年以上の事業展開歴を誇る。デジタルやSNSのマーケティングに長けた企業の多い東南アジアにあって、現地企業からもIP支援を多く任されており、こういった実績がテレ東との提携に結びついた形だ。Mintoの水野和寛代表取締役(=上写真)に、今回の提携の経緯や海外展開の現状について聞いた――。
※この記事は4月17日付【日刊文化通信速報】に掲載したものです。

 Mintoは、テレビ東京のグループ会社、テレビ東京コミュニケーションズと長年の協業関係にあり、キャラクターを共同でプロデュースした事例もある。その中で、水野氏は「1年ほど前から、テレビ東京さんとは協業をもう少し深めることができないかとディスカッションをしていました。一方で、我々は資金調達を行いIPの創出や支援事業を拡大するべく、外部の事業パートナーさんを必要とするタイミングに差し掛かっていたため、テレビ東京さんにお声掛けさせて頂きました。テレビ東京さんも、長期ビジョンの戦略にマッチするとのお考えから、今回の資本業務提携という形に至りました」と経緯を説明する。まだ具体的な展開は明かしていないものの、複数のプロジェクトが追って発表されていく見通しだという。

 展開の目玉となるIPは、テレ東の幼児向け人気キャラクター「シナぷしゅ」だ。民放初の赤ちゃん向け番組として2019年にデビューし、2度の映画化作品はいずれも大ヒットした。「赤ちゃん向けコンテンツとして、本当に人気があると実感しています」と舌を巻く水野氏は、シナぷしゅが東南アジアでも人気を広げる可能性を秘めていると期待を寄せる。「東南アジアでは、幼児向けで強いキャラクターはまだそれほど多くありません。幼児向けの場合、グッズ販売だけでなく、教育をはじめ商品やサービスにも結びつけやく、多様な展開が望めます。そのためにもまずはしっかりと現地での認知拡大に努めたいと思います」と意気込む。


タイでは現地メーカーと強固な関係築き事業が順調

 今回の提携の主戦場の一つとなる東南アジアのなかでも、特にMintoが豊富な実績を有する「タイ」はどのような市場特性を持つのか。水野氏は「タイは、東南アジアの中では比較的早い段階から(海賊版ではなく)公式の商品をちゃんと買ってくれる国になっています。可処分所得はシンガポールの方が高いですが、人口が600万人程度の一方で、タイは6500万人ほどおり、一定の事業規模が見込めるため、東南アジアでキャラクタービジネスを行う場合、最初の地としてタイに進出される会社は多いと思います」と説明する。

 Mintoは2014年に現地子会社を設立。現在は現地スタッフを中心に25人で業務にあたっている。自社IPおよび他社からライセンスを預かったIPのグッズ展開や、現地メーカーとのライセンスビジネスなどを展開。さらにキャラクターのSNSマーケティングも得意とする。「シナぷしゅ」をはじめテレビ東京発のIPを東南アジアに広く展開していくための拠点としてタイを位置付けている。「タイは参入当初こそ苦戦しましたが、この10年間で現地メーカーとのリレーションを強く持つことができました。また、SNSマーケティングに関しても、実は8割が現地企業から受けたものです。弊社はコンテンツの企画、キャラクターの活用を得意としており、そのあたりが差別化できている要因だと思います。グローバルECサイトも運営しています」という。

 いまもテレビが強い日本とは異なり、タイではソーシャルメディアが日本以上にパワーを持ち、インスタグラムやXで人気になったものがグッズ売上に直結する。「SNSの使用頻度は、日本人の2倍や3倍といった統計が出ています。東南アジアの人は使い方も上手ですし、より日常に溶け込んでいます」。この国民性から、SNSでの展開はより重要度を増す。ちなみに、人気になりやすいキャラクターは「ノンバーバル(非言語)で動きが面白いものは、グローバルでも人気が出る傾向にあると思っています」という。

 Mintoが手掛けたキャラクターでは、「豆しば」や自社の「うさぎゅーん」などがタイでヒットとなり、今後は「ちびまる子ちゃん」への期待値が高いという。売れ筋はTシャツやぬいぐるみ、プラッシュキーチェーンといったグッズ。単価も比較的高く、東南アジアの中では健全な市場が形成されている。デジタルコンテンツへの課金は、先進国に比べ浸透は遅いものの、ゲームやLINEのスタンプ、壁紙、占いなどは人気のコンテテンツだという。


ベトナムは案件数増、公式イベント開催で成果出る

 タイに次いで同社が力を注いでいる国が「ベトナム」だ。こちらには2019年に支社を立ち上げ、現在は19人(インターン含む)のスタッフが在籍している。水野氏は「タイでの事業が順調に行き、自社キャラクターの人気が出て、デジタルマーケティングの引き合いも多くなったところで、タイよりも人口が多いベトナム(2025年で約1億人)への進出を決めました。当時はまだ公式のキャラクターコンテンツの購入や、客単価が高いビジネスは難しかったですが、タイよりも若い人が多く、いずれはタイと同じようにライセンスビジネスが発展していくことが見込め、まずはデジタルマーケティングから立ち上げました」とベトナム参入当時を振り返る。直後にコロナ禍に見舞われる不運があり、進捗度合いは「想定より2~3年は遅れた感じはあります」としつつ、最近はキャラクター事業、ライセンスの事業も案件数が増加していると明かす。「知的財産の権利を守りながら広げていくことは一番難易度が高いです。その前段階ではありますが、アニメやキャラクターのイベントを開催し、しっかり集客できれば、そこでのグッズ売上で回収できるようになってきたのが最近のベトナムの大きな変化です。まだECで購入頂く割合も低いですし、店舗で売っているものも本物か偽物かわからず、(公式商品を買いたいファンは)まだ買いづらい状況にあるので、公式にイベントを開催すればそこに買いに来てくれるという形にはなってきました」。

 ベトナムもSNSの利用率は高い。積極的に発信するユーザーが多く、「面白いネタがあれば、どんどんそれを発信して広げてくれます。タイ以上にベトナムはそれが顕著な気がします」という。一方でデジタルコンテンツの課金ビジネスはまだあまり整備されておらず、しばらくはグッズの販売が中心となりそうだ。


調達した資金の一部は東南アジアの展開強化に充当

 今回調達した資金の一部も、東南アジアでの展開強化に活用する。増員はもとより、グッズ制作やポップアップ開催に向けてかかる費用に充てていく。「東南アジアでは、もう圧倒的に日本のアニメが強いです。私の感覚では、好きなアニメのジャンルを聞けば、7~8割は日本のアニメが挙げられると思います」と水野氏は現地での人気ぶりを述べる。こういった市況とMintoが現地に築いてきた基盤をもとに、さらに日本IPの海外展開強化に力を注ぐ考えだ。

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