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トップインタビュー:高橋浩東映アニメーション社長

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トップインタビュー:高橋浩東映アニメーション社長

2006年08月02日
夢と希望を作品のテーマに創立50周年を迎え
 創立以来“東洋のディズニー”をキャッチ・フレーズに
 18年3月期で過去最高の決算を計上、オリジナル作にも挑戦


■“東洋のディズニー”

――東映アニメーションは、今年7月31日に創立50周年を迎えます。発足当時、初代社長の大川博氏が「東洋のディズニー」というキャッチフレーズをかかげてスタートし、現在では世界のジャパニメーションをリードするような大企業に成長されました。この平成18年3月期決算も過去最高(連結売上高215億 6千万円/営業利益38億5千万円/経常利益41億5千万円/当期純利益24億2千万円)の業績を記録し、様々な課題を抱えていたと思いますが、この50 年間は順調に歩んで来られたのではないでしょうか。

東映アニメは50周年ですが、東映本社は今年55周年を迎えました。それで、去る4月3日から7日までフランス・カンヌ市で開催された「MIPTV&MILIA・2006」(国際テレビ番組見本市/デジタルコンテンツ見本市)で、東映と東映アニメがそれぞれ創立55周年、50周年を迎えたということで特別功労賞を一緒に授賞しました。これまで個人で授賞することはあったようですが、企業としては初の授賞と聞き大変光栄なことだと思っています。東映が発足した1951年は、終戦後まだ日本が混乱していた時で、国民に「これからだ!」という意欲や明るさ、楽しさを与えるには映画が一番だということで設立されたわけですね。そしてそういう主義や主張をそのままに、将来をになう子どもたちに夢と希望を与えたいということで5年後の1956年に東映アニメが作られたわけです。

――戦後の混乱期で国民は娯楽に飢えていたわけですからね。

そういう時期にディズニー作品が日本で公開されたわけです。戦前の作品は日本では公開されなかったが、戦後になって「白雪姫」や「ダンボ」が公開され、それを見た人たちがみなびっくりしたわけです。子供たちも含め一家揃って楽しめると。ディズニー作品についてものすごい信頼感が生まれ、そういう時代を背景に「東洋のディズニー」というキャッチフレーズでスタートしたと思うのですよ。ディズニーはすごいし、やはりディズニーにはかなわない。だから「東洋」という言葉が使われたわけです。しかしそういう中から我が国初の劇場用長編アニメ映画「白蛇伝」('58)が製作され、ディズニーがカンヌで賞を取れない中、ベネチア国際映画祭で賞を軒並み取ったわけです。その時のスタッフはすごいし、その精神がテレビアニメを製作している現在にも脈々と生きており、老舗としてやって来れたんじゃないかと思っています。そういう意味では、50年前というのは本当にすごいと改めて考えさせられます。いまアニメの会社は、数多く作られています。外国に売れるとか村上ファンドではないがお金中心の発想があるわけですが、映像はお金以外のことがまだあるわけですね。興行成績は悪いが、映画祭で賞を取ったり、作品を通して人々に感動を与えたりという。だからこういうものを送るんだということをしっかり持っていないとダメですね。当時の東映アニメはまさしく最初だから、「子供たちに夢と希望を送るんだ!」という意欲やテーマ性がすごかったんじゃないかと思う。宮崎駿さんを始めとした優秀なスタッフが「自分たちも『白蛇伝』のような作品を作ってみたい」ということで集まって来たわけです。そして出来たものが“東洋のディズニー”であり、世界の子供たちと大人の人たちに“夢と希望を与えたい”ということがコンセプトになったわけです。その精神は新たな50年に向けても絶対に忘れてはいけないことです。

■“走りだす夢の先に”

――今年の初め、50周年を迎えるに当たりロゴマーク(次頁参照)を作りましたね。

「長靴をはいた猫」('69)のキャラクターをベースにして「走りだす夢の先に TOEI ANIMATION」というキャッチフレーズになっており、名刺にも付けています。社員から募集したもので、若い女性社員の作品を採用しました。これまでの50年はすごい歴史があるわけですが、これからの50年に向けて夢と希望を持つことが我々の仕事には大切だということが、何重にも重なった言葉だなと思ったわけです。英語では「走り出す夢の先に―DRAEM  AHEAD」で、僕はわりと言葉尻をとらえることが好きですが、英語でDREAMというのはやはり、これからの50年をやっていくにあたって我々が気をつけなければならないことだと社員に語ったことがあります。DREAMのDはデジタルで、アニメ産業にとって急速にデジタルが普及し新しいビジネス・モデルが生まれました。デジタルは今後も変貌していくわけで、注意していきましょうと。次のRはレスポンシビリティ。もともと子供や大人に夢と希望を与えようということでスタートしたものですが、特に世界の子供たちに我々は責任を持っていい作品を送り続けていこうということです。Eはエブリウェイ。あらゆる挑戦です。昔は一つのことをやっていればよかったわけですが、デジタルによって要素が増え、あらゆることに対して挑戦していく姿勢を持っていこうということです。Aはアクセス。我々の商品に対していろいろな人に接触してもらう機会を増やしていこうということ。Mはマスターということです。マスターは要するに、アニメ業界のトップとして先導していかなければいけないということ。先導するということは最初に始めたことがあるわけです。デジタルの製作も東映アニメが最初に始めたように、劇場用長編アニメ映画(「白蛇伝」)も日本で最初に製作しました。テレビ・シリーズは「鉄腕アトム」が先ですが、同じ年に「狼少年ケン」('63)を放送しました。我々はマスター、このアニメ業界を先導していくことが必要ではないか、この50周年はDREAMをかかげていきましょうと説明しました。


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