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トップインタビュー:迫本淳一松竹(株)代表取締役社長

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トップインタビュー:迫本淳一松竹(株)代表取締役社長

2006年11月01日
06年下期以降は邦画中心の配給体制を導入
 グループ戦略重視して、連結売上1千億は達成
 「蒼き狼」他3本で100億、映画部門の機構を改革

 連結売上高1千億円の目標をほぼ達成した松竹は、利益増大を新たな課題として挙げた。ここ1、2年映画部門が不振で、一部門で興行から2次使用まで収支の責任を持つセクションを発足させ邦画中心の配給体制で挽回を図る…



グループ戦略重視して

 松竹は、去る5月25日開催の定時株主総会で、5人の取締役(大川武夫専務、大沼信之常務、安川好一常務、久松猛朗常務、関雅彦取締役)の退任と1人の新任取締役(関一郎取締役)を決定。映像部門は4人から3人(うち1人は管理部門と重複)、演劇部門は4人から2人、管理部門は4人から4人(うち1人は映像部門と重複)の取締役総数16人から12人という体制を施いた。この異例の役員人事は、社内を含め業界関係者を驚かせたが、何ぜ5人もの取締役が一度に退任することになったのか、迫本淳一社長にことの真相を聞いた。



 ――今回5人の取締役が退任したわけですが、この狙いについて伺いたいと思います。総会の席上、一般株主からの質問に対して「連結時代におけるグループ戦略」ということをお話になっていましたが…。
迫本 私は、役員の適性人員は時代や社内外の状況によって変化するのが当然だと思っていますが、その上で申し上げるとすれば、今は、方針として「グループ戦略を重視していこう」「役員構成をコンパクトにして権限を委譲していこう」という考え方があります。役員人事も基本的にこの考え方に沿っています。結果として5人の方が退任されることになりましたが、これは初めから5名減にしようとか決めていたわけではなく、個別の事情もあって、結果としてこうなったということです。

 ――最近、企業の間では取締役の数を減らし執行役員制を導入する例が増えています。松竹さんは敢えて採用されなかったわけですが、その辺の狙いはどのように考えていますか。
迫本 敢えて執行役員制を導入しなかったわけではありません。勿論、部長のみなさんにはどんどん権限を委譲して、スピード感を持って仕事をしてもらいたいと思っています。

 ――映像部門や演劇部門では、1人で3つも4つもの部門を担当している役員の方がいます。以前に比べて相当ハードになっているのではないかと思いますが…。
迫本 それがまさに権限委譲するという事だと思うのです。



連結売上1千億は達成

 ――平成16年3月から始った「中期経営計画〈ネクストステージ1000〉」は、今期で終了するが、最大目標である連結売上高1000億円は平成18年2月期の実績が966億円、19年2月期業績予想が1004億円を見込んでおり、ほぼ達成されたことになります。後は利益をいかに伸ばすかが課題となっていると思いますが、ここ1、2年映画部門が不振です。04年、年間興行収入205億円をあげ松竹の新記録を樹立した以後、05年は136億円、今年は1~8月累計で84億円という具合です。この換回策というのでしょうか、昨年まで洋画、邦画の大作を手掛けて来られましたが、昨年暮から方針を変更して邦画の受託配給路線のような、東劇、池袋シネマサンシャインをフラッグシアターとする新しい邦画の配給形態を作られましたが、この狙いというのは?
迫本 受託配給路線には切り替えていない――これだけははっきり申し上げておきます。勿論、受託配給をやらないわけではありませんが、受託配給を中心にしたいとはまったく思っていません。ただ、外部の有力なパートナーと組んで行かないと、洋画でも邦画でも非常に厳しい状況になっているのは事実です。だから社内の企画で頑張るのと同時に、外部との取り組みも強化しようという事はありますよ。けれどもそれは、受託配給路線とは違います。

 ――それにしても今年の上期は洋画が苦戦しましたね。
迫本 仰るとおり、やはり洋画が冷え込んだ事が非常に厳しかった。とは言え、ここ数年、洋画で儲けさせていただいて、お客様にも喜んでいただいてここまで来たという事もありますし、これを一概に否定するつもりもありません。今年の上期で言うと「サウンド・オブ・サンダー」(興収4億9千万円)「ニュー・ワールド」(興収2億8千万円)、それから「ジャケット」(興収3500万円)「サイレントヒル」(興収5億2千万円)と公開しましたが、やはり「ニュー・ワールド」と「ジャケット」は厳しかったですね。ただ宣伝も非常に頑張って、「サウンド・オブ・サンダー」と「サイレントヒル」は本当に苦しい中でいい戦いをしたのではないかと思います。「サイレントヒル」はビデオを担当していただいているポニー・キャニオンさんにも喜んでいただけるくらいの興行成績をあげ、落ち込みの激しい洋画界の中で頑張って戦ってしのいだな、宣伝部頑張ったなという感じを持っています。洋画が厳しくなることはある程度前から予測していて、すでに邦画中心の態勢でやってきています。今年になって「タイヨウのうた」(監督小泉徳宏/YUI主演)「ラブ☆コン」(監督石川北二/小池徹平主演)「東京フレンズ The Movie」(監督永山耕三/大塚愛主演)「花田少年史 ~幽霊と秘密のトンネル~」(監督水田伸生/須賀健太主演)といったいままでの松竹にないような映画も出てきて、一方で「出口のない海」(監督佐々部清/市川海老蔵主演)や「武士の一分」(監督山田洋次/木村拓哉主演)という松竹らしい、伝統的な作り方の映画まで、多彩なラインナップになってきました。

 ――これまでは、邦画と洋画の配給本数は大体半々だったと思うのですが、今後は邦画が中心ということで、7割ぐらいは占めるわけですか。
迫本 7割だとか8割だとか、具体的な数字は言えないけれども、やはり邦画が中心です。いまはビジネスになる洋画がインディペンデントのマーケットになくなってきていますからね。

 ――日本映画や韓国映画をリメイクするなどアメリカ映画の企画的な不振があると思います。
迫本 勿論それはあると思います。ただ、「トランスアメリカ」(監督ダンカン・タッカー/フェリーシティ・ハフマン)や「コール・オブ・ザ・ノース」(07年夏RS公開)とか、小ぶりでも非常に面白い作品を国際室が買い付けているので、当面この路線は維持していきます。「ロード・オブ・ザ・リング」のような大作は当分ない。中級作品も厳しいというマーケットの状況ではいま頑張っている路線が正解かなと思っています。それに、将来マーケットに良い作品が出てくる状況になれば、即対応できますからね。ただ、洋画はマーケットに出てくるのを待つという他力本願になりますが、その点、邦画は自分たちから仕掛けられるし、計画も立てやすいので、邦画は増えていきますね。


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