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「GTFトーキョーシネマショー2011」シンポジウム

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「GTFトーキョーシネマショー2011」シンポジウム

2011年09月22日

日米同時公開と大量ブッキングの意味

P1170455.jpg大高 もう一回話を戻しますと、さっき出た同時公開というのは、日本のマーケットに合うものと合わないものがあると思うんですね。いま佐野さんから説明があったのは、海賊版の防止のため、それから製作プロデューサーが収益を早く回収したいという2つあるんですよ、同時公開の意味は。それに合う映画、シリーズものは合うと思うんですよね、知名度があって。でも、合わない映画に関してはある程度宣伝期間をおきつつ、アメリカの公開を見て、少し間をあけて公開してもいいんじゃないかなという感じを持っています。海賊版のことを言ってしまうと、すべてそっちになし崩しになってしまうので、少しそこら辺はアメリカのメジャーの日本支社も、そういうものに関してはそうじゃないんだと、違う映画もあるんだということを本社に言うことは出来るのでしょうか。


佐野 ブロックバスターでなければ、ソニー・ピクチャーズはアメリカ公開から2ヵ月遅れでやっています。それでも結構きついですけども。


中川 でも、今年で言えば「英国王のスピーチ」ですとか、「ブラック・スワン」というのは、やはり上手い宣伝をされましたよね。


豊島 そうですね、アカデミー賞発表から公開まで結構間があいてましたよね。


佐野 「ソーシャル・ネットワーク」はアカデミー賞発表に近い時期に出すために全米公開から3ヵ月以上間をあけました。結果的には「英国王~」に負けちゃったんですけど。


大高 あと、同時公開とともに私が気になるのは、アメリカ映画の大作のブッキング本数ですね。これは2000年の「ハリー・ポッター」あたりから始まったんでしょうか。本当に700本、800本というプリントを用意してですね、吹替え版と字幕版を作って日本を席巻していく。それで短期間で収益を上げていく、2000年以降たくさんシネコンが出来ていくことで可能になっていく収益構造ですね。これはよく言われますよね、
 お客さんは劇場が満員だから喜んで加速化して行ったんですけど、プリント本数とブッキング本数が多いと、どれだけ100億円の収益があってもですね、やはり入った感じがしないんですよ、満員感がない。そういうブッキングに関しては、佐野さんとしては本社の指令があって、たくさんのブッキングで公開しているところはあるのでしょうか。


P1170461.jpg佐野 これは興行側も配給側も反省しなければいけないと思うんですが、日本の場合はアメリカと違って、吹替え版を作るのでスクリーンが倍必要になります。尚且つ、我々はサービス業ですからお客さんのニーズには応えたいと思っているので、3Dの字幕版・吹替え版、2Dの字幕版・吹替え版で4スクリーンになってしまうんです。例えば字幕版と吹替え版で2階建てにしてもらって1スクリーンにするとか、自制も必要だと思うんですよ。

 一方で、なんで800スクリーンも取れてしまうのかというと、興行側の要望もある。あそこ(のシネコン)がやるのにこっちがないと困るということ。そこで「ハリー・ポッター」で800本とったら、「トランスフォーマー ダークサイド・ムーン」もとなる。一方で、2Dは吹替え版作らないわけにはいかない。3Dの高い料金でしか見られなくなってしまうから、これは問題だと思います。ですから3スクリーンというところで興行会社も受け入れてくれれば、MPA各社も競わずにすみます。

 もう一つは、4週間で総興収の93%いってしまう中、集中させず端境期を作らないことが大事です。アメリカは毎週毎週1位が変わるぐらい作品が出てくる。下手すると全米ナンバーワン作品が1年で52本出てくる可能性がある。日本の場合は、11月は休みがないとか、6月は休みがないから出さないのではなくて毎週毎週出していかないとダメなんですよ。

 洋画の中では端境期を作るのはやめようと一生懸命やっています。1年間で1.2回しか日本人は映画を見ないので、極論を言うと正月と夏休み、それで2本見たら1年分見ちゃうんですよね。実は「スパイダーマン2」は、みんなが嫌がった5月に出したんですけど、お客さんはいるんですよ。端境期を絶対に我々が作っちゃいけないと思っています。


中川 確かに今3Dがあって、字幕・吹替え版があって、4バージョンありますけど、適切に選ぼうと思っていますよ。例えば、アニメーションの場合などは、別に字幕版がなくてもいいだろうと。やはり全部やると他の作品にしわ寄せが来ますから、バランスはとろうとは思っています。


豊島 今サマーシーズンなんですけど、私は個人的に夏休み映画、何か観たいなあと番組表を見ても、シネコンさんではスクリーンが埋まってしまっていて、観るものが少なく、洋画のちょっとこじんまりしているけど、いい作品観たいなあと思ってもなかなかやっていないと個人的に感じます。


シネコンシステムの問題点とは

大高
 逆にシステム上の問題があって、アメリカ映画も観たい映画が観られない状況が加速しているのではないかと今の話を聞いているとそういう気がするんですけど。


豊島 そうですね、シネコンで劇場鑑賞が多様化するのかなと思ったら、意外とそうでもないなあと、いち映画ファンとして思いますね。


中川 それは課題でしょうね、興行の。いや配給も合わせた課題を、ある程度多様性を確保しないと、ヘビーな人が多いわけです。佐野さんは日本人、年間で1.2回と仰ったけど、そうじゃないんですよ。正しくは、ヘビーな人、極端に言えば毎月一回、年に12回以上見る人が三分の一だと思います。そういう人はやはり毎月何本か観たいわけです。そういう時に、言わば目の肥えた方たちにとって、同じものが揃っていて、観るものがない状況はやはりちょっと改善しなければいけないかなとは思いますね。


豊島 例えば90年代、単館ブームなんていう時代がありましたけど、その時は、コアなヘビーユーザーの方が、Aという劇場に行ったら、横のつながりで同じ単館系で予告編をバーターして、しかもその劇場に行けば都内の他の単館劇場で何がやっているかという情報を、劇場さんの方で発信して下さって、「ぴあ」と劇場の情報さえあれば何やっているか、何をやるのか探せたと思うんですけど、なかなか今は情報に接する機会がなくなっているのかなあと。


中川 さっきのP&Aの話含めて、情報が埋没するということでしょう。今の時代のテクノロジーをもうちょっと上手く使って、お客さんと映画が出会うようなシステムをもう少し整備すべきだなあと。いま「映画館に行こう!」実行委員会では、Yahoo!で映画の予告編を見られるようにしたり、朝日新聞のご協力で4ページで映画館のタイムテーブルが載るものを作ってもらっていますけど、それをもう少し加速していって、個性的な作品も埋没せずに、お客さんに触れるような仕組みを整備しなくてはいけないと思っています。


金曜日初日、新しいライフスタイルの提案

豊島 例えば、そこ(会場)に20世紀FOX映画代表のジェシー・リーさんもいらっしゃいますけど、私も韓国に行って凄く思いますのは、韓国は20代のお客さんが凄く多い、そこが興行を支えている。カップルが凄く多いんですね。韓国の場合、いろいろ宗教的なものもあって、独身の方の一人暮らしが少ないので、デートするには劇場が選ばれている、日本とは違う特殊性の部分もあるのかとは思うんですけど、若い方が多いのは映画を元気にしてくれるなあと思います。さっき楽屋でも佐野さんと話していて、アメリカも金曜日初日で、3日間で金曜日に66%あげていると。


佐野 金曜日に映画を見ようというキャンペーンをやっています。アメリカが金曜日初日なんですね。全部アメリカの真似するわけじゃないんですけど。若者に人気の映画で、金土日の3日間の興収で、金曜日に66%稼いだという例もアメリカではありました。それだけ金曜日の夜新しい映画が封切られているのを待っているんですね。金曜日に映画を見ようというライフスタイルをいま検証している最中です。


大高 金曜日初日はかなり昔一回、確かUIPだったと思いますが実施して、結局定着しなかったんです。それが数年前に、「ロッキー」の最後の作品から金曜初日をやろうという方向性になりました。ただ、どうなんでしょう、金曜日初日って日本の今にあっているのかどうか、ちょっとまだ相応しくないのではないかという気がするのですが。


佐野 金曜日との比較で言うと、3週間やった映画の最終日より、新しい映画の初日の方が良かったりするんですよ。また、水曜日がレディースデイなので火曜日は本当にダメなんですね。「金曜日からウィークエンドなんだよ」というメッセージを出していきたいです。映画は一日かかりなんですね。ある意味で映画はお客さんにとって不便なサービスですね。映画館まで行かなきゃいけない、時間に遅れたらいけないと。そういった中で、金曜日の夜、仕事が終わった後、学校の終わった後に映画館に行ってくれれば、土日は好きなことが出来る。これからMPAとしては金曜日初日を長い目でやっていこうと思っています。


豊島 もっと学校が終わってから、仕事が終わってから映画に一緒に行くというライフスタイルを提案しないといけないですよね。


佐野 「映画館に行こう!」実行委員会では、「高校生三人割引」やったんですけど、ポスターが制服だったので、学校が貼ってくれなかったんですよ。学校帰りに映画いくなんてとんでもないと(笑)。あれは私服だったら良かったのかもしれない。学校帰りに映画館行ってもいいんですよ。


豊島 でも、そういうライフスタイルってもう少し提案をすれば、劇場でもうちょっとサービスなどを加えてやれば、なんかあるんじゃないかという気がするんです。今その体験をしていないので、なかなかそこに行きつかないというのもあるのかなと思います。


佐野 もう一回ヨーロッパ映画を是非シネコンで、中川さんかけてあげて下さい。それがやはり洋画の復興だと思います。
(次ページへつづく)


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