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釜山レポート2011/「アジア映像政策フォーラム」

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釜山レポート2011/「アジア映像政策フォーラム」

2011年11月16日

アジア・フィルムコミッション・ネットワーク総会

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 そして、翌13日午前にはAFCNet(アジア・フィルムコミッション・ネットワーク)総会が開催された。会員数は17カ国、46会員(準会員3含む)。総会では、まず会員の紹介がBFC国際事業チームのイ・ジョンピョ チーム長(写真下右)によって行われ、続いて、AFCNet会長でもあるオ・ソクグン氏が開会を宣言。各会員国が2011年の映画映像産業動向を順番に紹介した。

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 日本はジャパン・フィルムコミッションの寺脇研理事長が行い、まず、3月11日の東日本大震災に対する世界各国の支援へ感謝を述べると共に、原発事故により世界に不安を与えたことに対してお詫びを述べた。そして、「一部の地域においては放射能の不安はあるが、その他の地域は日常的な生活をしている。改めて再スタートをし、日本全土が放射能で汚染されているわけではなく、これまでと同じようにロケが出来る」ことをアピール。
 「大震災を受けて政府に頼っている場合ではない。政府に文化を打ち出せる余裕がないのであれば、我々自身がやっていかなければならない。地方のフィルムコミッション、国民の間から湧き出てくる映画文化づくりを進め、新たな映画文化の模索をしていきたい」とした。

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 続いて、総会議案5案件、①新規会員承認、②新規諮問委員承認、③AFCNet定款改訂、④2010年~11年事業結果及び会計報告、⑤11年~12年事業計画(案)承認を論議、すべて承認され、今後に向けた新しい方向性についても意見交換し閉会した。

 オ・ソクグン会長は、「昨年9月にAFCNet議長及び会長になったが、その後、海外出張に出かけ、この組織がどれだけ重要な組織であるかを改めて感じた。ある一国の利益だけを求めたものではなく、アジアの発展と、どのように意思疎通を図ればいいのか、アジアにこういう組織があることの重要性を世界に出て感じた」とし、「このネットワークで結果を出すために議論し、ただ単にロケサービスだけでなく、アジア映画産業の発展と全般に貢献できればと考えている。今年はアジア映画産業発展に貢献した人を表彰することもできた。このネットワークがアジアだけでなく海外にも伝わり、理解してもらえればと思う」と述べた。
 AFCNetのキャッチフレーズは「一緒に進もう!」。「進む方向に対して、もう少し事業が拡大することを期待しているが、我々AFCNetだけでなく、名実ともに日本国と韓国、そしてASEANにも認められたので、APECにも認められるように活動をしていきたい」と抱負を語った。


 AFPF、BIFCOM、AFCNet、さらにAFMを取材し感じたことは、映画産業にかける釜山市、BFCが、アジアの映像産業を、リーダーシップをもって牽引していこうとする心意気、姿勢だ。
 今年は特に、民間団体が主導する国際行事にASEANという国家単位の連合体が参加した意味は大きい。今後、具体的な共同製作や協力・交流がどのように
行われ、このアジアのネットワークを生かした結果と共に、それをどう発展をさせていけるかが問われる。



インタビュー:オ・ソクグンBFC運営委員長

アジアの映画産業自体が大きく成長しなければならない


Q.昨年、釜山フィルムコミッションの運営委員長に就任されて、2年目の感想は?

P1180200.jpgオ運営委員長
 大きくは2つあるんですけど、この10年間、AFCNetが外形的には凄く大きくなったんですよね。最初99年にアジアには香港フィルムコミッションしかなかったんですけど、神戸フィルムコミッションが出来る時に、釜山フィルムコミッションも作ることが出来て、今現在アジアには130か所にフィルムコミッションがあります。今回の会議では、この10年間の反省や評価をしながら、これからどうしていくべきなのかという議論をしました。

 2つ目はASEANの参加なんですけど、アジアは東南アジア抜きにはアジアとは言えないので、映画のロケ地としても魅力のあるところだし、10ヵ国のうち4カ国にはまだフィルムコミッションがないので、ベトナムもそうですし、ミャンマーも今回の会議を通じてフィルムコミッションを設立する意思があるんだということを確認することが出来たので、今回の会議を高く評価しています。


Q.ASEAN初参加の新しい可能性とは?

オ運営委員長
 日本の立場から言うと、映画とかドラマの製作が、いろいろなアジアの魅力のある多様なロケ地を利用できるということと、それが多様な映画、作品につながって、それが観客の満足につなげることができると思うし、ASEANの場合は、日本から撮影をしにくることが増えたら、技術とかネットワークというのもどんどん成長していくので、日本とASEANがともに成長していく考え方を持っています。


Q.AFCNet自体の今後の新しい方向性は見えたのでしょうか?

オ運営委員長
 今までの10年間はロケーションサービスを向上させるために努力してきたんですけど、これからは交流を通じて、特にASEANの人々の教育、育成、また製作交流、政治的な問題の変化を整えながら協力関係を強固にしていくことが凄く大事なんだと思います。最終的な目標は、ユーロマージ(欧州連合における経済通貨同盟で用いられている通貨)というのがあって、「ヨーロッパ映画共同製作基金」というのがあるんですけど、アジアでも「アジア映画共同製作基金」を作って、その基金で教育や製作、制度の変化が出来ればいいと思っております。


Q.釜山シネマセンターも完成し、今後の釜山市、BFCの展望について

オ運営委員長
 釜山としては、釜山映画産業の発展が当然の目標であり、課題でもありますが、そのためにはまず韓国の映画産業が大きくならなければならないし、そのための釜山の役割は何かということをBFCは考えなければならないということ。
 また、同じくアジアの映画産業自体が大きく成長しなければならないと思うので、先程述べた基金とか、人と人とのつながり、ネットワークの発展、そういった緊密な交流をやっていく必要があると思っています。


Q.日本の映画界に求めるものはありますか?

オ運営委員長
 今までも日韓の交流は多かったですが、まだ成功事例というのがなくて、感情的に何か新しいプロジェクトをやりましょうという気持ちになれない状況に至ってしまった。これから心の治癒というか、お互いに、両国の経済的な利益だけではなくて、プロジェクト自体が成功できるような交流をしていく必要があると思います。(了) ※番外編につづく






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