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今夏相次ぎドラマ化‐東野圭吾引っ張りダコ

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今夏相次ぎドラマ化‐東野圭吾引っ張りダコ

2012年05月25日

 人気ミステリー作家・東野圭吾の原作が今夏相次ぎドラマ化される。TBSは7月から月曜夜8時「浪花少年探偵団」、フジテレビは7月から木曜夜10時「東野圭吾ミステリーズ」、そしてJ:COM、アスミック・エース・エンタテイメント、KDDI共同製作による「東野圭吾ドラマシリーズ “笑” 」が8月から配信される。

 今夏相次ぎドラマ化と記したが、今年すでにTBSの映画「麒麟の翼」、WOWOWドラマ「分身」、さらに舞台「あるジーサンに線香を」などがあり、今年に限ったことではなく、この10年ほど発表作品が相次ぎ映像化される人気ぶり。ドラマ「ガリレオ」、「新参者」、映画「容疑者Xの献身」の大ヒットなど、視聴率・興行も堅調にあって、テレビ局、映画界から引っ張りダコ、国民的人気作家だ。来年には二宮和也主演で「プラチナデータ」の映画化が決まっている。話題となった文庫版初出版の「白銀ジャック」もいずれ映像化されるだろう。

 TBS「浪花少年探偵団」は、「浪花少年探偵団」とその続編「しのぶセンセにサヨナラ」が原作で、主人公の女性小学校教師とその生徒たちの活躍を明るく元気に描く。過去にNHKでドラマ化されての再登場。月8枠は現行「ハンチョウ」の前が宮部みゆき原作のドラマ「ステップファザー・ステップ」だった。「水戸黄門」の終了後、人気作家の起用などで模索している感が見てとれる。主演は多部未華子、小池徹平。原作は東野作品の中でも初期に発表されたもので、作者が少年時代を過ごした大阪が舞台で思い入れの深い作品。軽快なストーリーとともにミステリーのトリックが存分に楽しめ、家族や友だちを思いやる温かい眼差しが溢れている傑作だ。

 フジ「東野圭吾ミステリー」は、傑作短編小説集(「犯人のいない殺人の夜」「怪しいひとびと」「あの頃の誰か」)から11作品を厳選し、週替わりの主演とストーリーで送る。ナビゲーターを中井貴一が務める。初回は「さよならコーチ」、唐沢寿明主演で、まな弟子を自殺で失った事業団のアーチェリー部のコーチを演じる。このほか、松下奈緒「エンドレス・ナイト」、観月ありさ「レイコと玲子」、反町隆史「甘いはずなのに」、長澤まさみ「シャレードがいっぱい」等々、11人の豪華主演俳優でラインナップ。シリアスからコメディータッチ、ホラーテイストありと、東野圭吾ワールド全開だ。

 一方、J:COM、アスミック・エース・エンタテイメント、KDDI「東野圭吾ドラマシリーズ “笑” 」は、1話30分の短編で “笑い” をテーマとした3部作。ミステリーの巨匠・東野圭吾の知られざる笑いへのこだわりを3つの違ったテイストで届ける。ケーブルテレビ業界なども人気作家に着目だ。一つは「モテモテスプレー」、出演濱田岳、倉科カナ、8月1日から配信。2作目は今春舞台化もされた「あるジーサンに線香を」、出演笹野高史、菅田将暉、宮澤佐江(AKB48)、9月1日から配信。3作目は「誘拐電話網」、出演三上博史、ミムラで10月1日から配信。主題歌はウルフルズのトータス松本が歌う「笑ってみ」。これらは、J:COMのオンデマンド配信、KDDIのPC、タブレット向け「ビデオパス」で視聴できる。

 東野圭吾原作は、巧妙なトリックが人気の一方で、代表作「白夜行」や「容疑者Xの献身」など、いずれも一途さと悲しみを秘める人間ドラマが魅力で多くの感動を呼んでいる。

 さて、やや低迷ぎみのドラマ界と云われた中で、日テレ「家政婦のミタ」が驚異の視聴率40%を叩き出し見直されたばかりだが、この春はフジ「家族のうた」が逆に驚異の3%台で、第8話で打ち切りが決定、日テレ「クレオパトラな女たち」も第8話で終了となるなど、難しいドラマ業界。TBSとフジの両局は、東野圭吾原作と縁が深く、TBSは「白夜行」「流星の絆」「新参者」等々。フジは「ガリレオ」はじめ、「世にも奇妙な物語」内でのドラマ化のほか、昨年は3週連続でドラマSPも放送した。いずれも高視聴率を獲得している。この夏、東野圭吾ドラマ旋風が吹き荒れるか。

(戎 正治)

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