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踊るフジテレビ!静けさから一転のサプライズ人事

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踊るフジテレビ!静けさから一転のサプライズ人事

2013年05月17日
 嵐の前の静けさ…例えはよろしくないが、今回のフジテレビ社長人事はそんな動きを見せていた。以前よりトップ交代が囁かれ、今年がその時と睨まれながらも、先週まで全く漏れ聞こえてこない。もっとも「日枝久会長ひとりで決めているのだから」とよく云われるように、直前までわかるはずもなく、噂はやや飛び交うものの、どれも信憑性に欠け当てにならない。周囲がヤキモキするだけで、結局、今回は大した動きはないのでは、と見られていたからだ。

 ところが、週明け13日(月)、飛び込んできた情報に驚いた。新社長は亀山千広常務。まさに、じぇじぇじぇ! そう思った人は少なくないでしょう。フジテレビならではのサプライズ人事だ。もちろん、経歴、実績からして申し分ないわけで、弊社も1年前、「月刊文化通信ジャーナル」で、亀山氏を「フジテレビの将来のトップ候補として…」と記した。

 なぜ、驚いたかと言えば、亀山氏は昨年6月、大多亮氏とともに常務に昇任したばかり。引き続き、映画事業局長を務めるとともに、新たに総合メディア開発(映画事業・メディア推進・コンテンツ事業)を担当した。さらに今年1月にスタートアップ企業向けファンドの新会社「㈱フジ・スタートアップ・ベンチャーズ」(FSV)の代表取締役社長を兼務したばかり。下馬評ながら他にも社長候補の名が挙がっており、こうした中で、少なくとも今年ではないと見込まれたからだ。

 放送事業とグループ経営の盤石体制化へ、会長はかねてより、フジテレビとフジ・メディア・ホールディングスの社長を分ける考えにあったと聞く。これまで両社長を務めていた豊田皓社長も売上が大台を超えたら交代の意向にあったようで、2012年度連結決算で売上高は6320億円と6千億円を超えた。他社グループに比べ断トツの売上だ。いま視聴率改善が大命題の中で放送事業構築へ、交代はいつやるか、「今でしょッ!」という事だろう。フジ・メディア・ホールディングスの社長には、これまで会長・社長をサポートし経営全般を担ってきた太田英昭副社長が昇任する。5月15日正式発表され、6月27日太田氏と亀山氏の両社長という新体制となる。

 亀山氏と言えば「踊る大捜査線」。テレビ番組から大ヒット映画を生む先鞭をつけたことで知られる。その実績は2012年も力を発揮した。「BRAVE HEARTS 海猿」は興収73・3億円、「テルマエ・ロマエ」59・8億円、「踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望」59・7億円と、2012年邦画興行収入上位3作品を独占した。これらにより、2012年のフジテレビ映画事業収入は歴代最高を記録したのだ。社長就任への花道を作ったとも言えそうだ。今回の社長就任は映画業界からも注目されている。そして後任の映画事業局長は誰か?と。これを引き継ぐのは重責に違いないが、それはまたの機会にするとして、今後の亀山新社長の経営手腕に注目が集まる。映画を大ヒットに結びつけながら、どちらかと言えば、フジ映画作品は“賞”とは無縁であったが(本人は昨年「映画の日」特別功労章、「SARVH賞」など受賞)、“テレビで、家族で見られる映画作り”に徹した姿勢にあって、そのポリシーが経営に活かされると期待されている。視聴率復活とともに、『踊るフジテレビ』の製作に着手した。

(戎 正治)

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