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華やかさと笑いの裏に緻密な戦略、仕掛け人は…
よしもとの新風!ガールズプロジェクトが面白い

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華やかさと笑いの裏に緻密な戦略、仕掛け人は…
よしもとの新風!ガールズプロジェクトが面白い

2014年05月14日
 吉本興業グループが仕掛けた「日本女子博覧会‐JAPAN GIRLS EXPO 2014‐」(4月12日、インテックス大阪)が“神イベント”だったとSNS上で話題になった。

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全員主役の神イベント「日本女子博覧会」感激の1万2千ツイート

 ファッションショーを軸にした従来のガールズイベントではなく、グルメ、ビューティー、占い、お笑いに至る体験ブース中心の“エキスポ”という切り口が大当たり。来場者3万1000人全員が主人公に。一時入場制限が行われるほどの大混雑も、憧れの芸能人と気軽に触れ合えるなどかつてないイベントに、歓喜の声はツイッター上に1万2000以上のつぶやきとなって表れた。

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 ランウェイを闊歩するモデルに歓声を送るだけではない。ざわちんにメイクテクを学び、人気ヘアサロンにセットしてもらい、ゲッターズ飯田の占いに一喜一憂、全国各地のからあげやスイーツを堪能し、きゃりーぱみゅぱみゅと踊る―。100超のブースに、女子の好きなもの、気になるものが集結。それでいて入場チケットは3000円(前売り、当日は3500円)と手頃。吉本新喜劇の特別版、よしもとイケメン芸人カフェなど、大阪の女子に大ウケだった。
   
TGC生んだ永谷氏がSNS時代に挑む、インバウンドの狙い

 プロデュースしたのは、よしもとクリエイティブ・エージェンシーの永谷亜矢子プロモーションセンター長。東京ガールズコレクション(TGC)を大成功に導き、2008年のウーマン・オブ・ザ・イヤー(日経ウーマン)で総合2位に入選したあの永谷氏がよしもとに移り、SNS時代を捉えたまったく新しいガールズイベントを生み出した。

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よしもとクリエイティブ・エージェンシー永谷亜矢子プロモーションセンター長

 TGCを一大空間メディアに育て“リアルクローズ”という言葉を市場に定着させたマーケティングのプロ・永谷氏が言う。「エビちゃん(蛯原友里)的な存在はもういない。個人がソーシャルメディアを使って発信し、むしろ一般の方が販促力を持っている時代にどうするか」。体験に重きを置くとともに、ツイッターと連動した公式アプリ「女子レク」で拡散を促した。その広がりはイベント後も続いている。

 TGCなどと対抗するのではなく、日本女子カルチャーに憧れるアジア、世界に向き合うアイデア。だから“大阪女子博覧会”ではなく“日本女子博覧会”に。海外を意識したとき、体験型なのが強みになる。永谷氏は「日本語がわからずに、例えば5時間のショーを見るのはしんどい。お目当てを見逃してしまう場合もある。この形なら、いつでもクオリティは変わらない」と説明する。

 東京とそん色ないインフラが整い、アジアからアクセスが良く、京都も近いことからインバウンドモチベーションが高い大阪。大型商業施設が相次ぎ開業し勢いづくよしもと発祥の地を、日本の新しいゲートウェイに。来年2015年のシンボルイヤーを前に、大阪府、大阪市、大阪観光局、観光庁もイベント後援に名を連ねた。

 中国・新華通訊社をはじめ、香港、台湾、タイなどの有力メディアが多数駆けつけ熱い視線を送った。大阪府は「大阪府発の試みの日本の女子カルチャーを集約した体験型の新しいエキスポが大成功を収めたことは本当にうれしく思います。このイベントが、これを機に定期的に開催され、毎年毎年スケールアップしていき海外から多くの人を呼び込むことができるようになることを心より願っております」(岡本圭司・大阪府都市魅力創造局長)とコメントを発表した。

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継続開催しアジアで認知拡大へ、日本各都市に展開も視野

 大阪の期待に応え、よしもとは、今後「日本女子博覧会」を継続して開催していく考えだ。今回は1日だけだった会期を2日、3日と延ばし、内容もさらに充実。並行して旅行会社と連携し、各国からのツアーなどもそろえていくという。アジア中の女子に“神イベント”として認知を高めていきたいところだ。

 また、全国各地への展開も見据える。永谷氏は「実行委員会主催なので、よしもとだけで判断できないが」と前置きした上で、「名古屋、博多、札幌…日本は地方都市もポテンシャルが高い。でも、海外から見ると東京しか知られていない。日本女子博覧会として日本を掲げ各地でイベントを行うなかで、それぞれの特色をフィーチャーしインバウンドにつなげていけたら」と語る。

 「日本女子博覧会」という新機軸のフォーマットまで作り上げ、よしもとのガールズプロジェクトが面白いことになっている。キーマンはやはり永谷氏。創業102年のお笑いの老舗に新風を吹かせ、イノベーションをもたらしている。

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【日本女子博覧会‐JAPAN GIRLS EXPO 2014‐】
2014年4月12日(土)インテックス大阪
主催:日本女子博覧会実行委員会、企画:(株)よしもとクリエイティブ・エージェンシー、(株)インタラクション メディア グループ、制作:(有)オガワジュンゾウ・クリエイツ、運営:(株)ディヴォージョン、後援:大阪府、大阪市、大阪観光局、観光庁


アジア進出に貢献、沖縄でも大人気―笑いに新たな価値

 吉本興業グループは、2012年に創業100周年事業の一つとして「よしもとNEW GIRLS PROJECT」を立ち上げた。TGCの生みの親・永谷氏が、その前年によしもとクリエイティブ・エージェンシーに入社したことで、ガールズ市場参入となった。これが順調に継続し、お笑いだけではないよしもとの可能性を押し広げている。特に注力するアジア進出の面で、大きく貢献している。

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台湾の有力地上波「民視」との共同制作番組「流行新勢力」

 2012年春に台湾・台北で「SUPER GIRLS FESTA 最強美少女盛典」を開催し、いきなり8000人を動員。翌年春にも成功させるとともに、連動して日本のトレンドを伝える現地局との共同制作番組「美!少女聖典」「流行新勢力」も軌道に乗せた。イベントを起点に、テレビから雑誌やWEBに至るまでの現地メディア、広告代理店、スポンサーらと密接なネットワークを構築。中国大陸市場をにらみ、よしもとの力強い武器となっている。同様のガールズ施策をアジア各国で行うプランもあるという。

 一方、国内に目を向けても、ガールズプロジェクトの存在が増しつつある。3月に行われた「第6回沖縄国際映画祭」では、「ちゅらイイGIRLS UP!ステージ」が大人気だった。これも2012年から始まったもので、人気モデルたちが沖縄に駆けつけ今や映画祭に欠かせない花に。笑いも織り交ぜ新たな価値を創出。永谷氏は「創業から100年掲げてきた笑いで人を幸せにするという精神を大切にしながら、もっと事業展開できるのではないか。これは大崎(洋社長)と一致しています」と語る。

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「第6回沖縄国際映画祭」の「ちゅらイイGIRLS UP!ステージ」
(C)2014 沖縄国際映画祭/よしもとラフ&ピース
 

他社と積極連携、目を引くアソビシステムとの接近

 よしもとのガールズプロジェクトで、メインを張るのは主に他社のタレントたちだ。4月の「日本女子博覧会」では、きゃりーぱみゅぱみゅがトリを飾った。よしもと色が中心だったこれまでと趣が異なる。永谷氏は「もちろん、よしもと自社コンテンツをきっちり育てながらも、他社コンテンツとの融合を積極的に図っていきたい」と説明する。

 アジア、世界を見据えながら他社の力も借りる姿勢。「HARAJUKU KAWAii!!」を世界に発信するきゃりーの事務所・アソビシステムとの連携は特に目を引く。「第6回沖縄国際映画祭」では「OKiNAWA KAWAii!!」、「日本女子博覧会」では「OSAKA KAWAii!!」となり、アソビシステムに所属する人気の青文字系モデルたちが参加し、黄色い歓声を浴びた。

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 また、アソビシステム所属で大阪を拠点に活躍するシンガーソングライターの近藤夏子が、よしもとアール・アンド・シーへとレコード会社を移籍。さらに、アソビシステムではないが、1000年に1人の美少女と話題の橋本環奈が所属するアイドルグループ“Rev. from DVL”が同社からメジャーデビューしたのも興味深い動き。Rev.~もやはり日本だけでなくアジアでの成功を目標にする。
 
よしもと全体を横軸で戦略PR、面白いのはガールズだけじゃない

 永谷氏は、ガールズプロジェクトを仕切る一方で、プロモーションセンター長として、よしもとのプロモーション全般を統括する。所属タレント約6000名、社員約650名の巨大組織とそこから生み出される無数のコンテンツを、単発の広報ではなく「戦略的にPRする」役割。大崎社長の下で100周年に【アジア】【デジタル】【地域】を掲げ、矢継ぎ早に施策を打ち出すなか重要なポジション。TGCなどでプロモーション手腕に長けた永谷氏を、大崎社長が招いた。

 日本屈指の総合エンタテインメント企業グループ。永谷氏は「よしもとって外から見ると単なるお笑いプロダクション。だけど中には制作機能があり、スクール機能まである。露出手段は、全国の劇場から、テレビ・ラジオ、マーチャンダイジング、出版、音楽レーベルからデジタルまで自在。海外にもネットワークがある。これほどの機能を持っている会社は日本で他になく、そこに惹かれた」と言う。その上で「これまでは縦割りになってしまっていた。しっかり横軸で組み立てアウトプットしていくのが私のミッション」と意気込む。

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 特に強調するキーワードは「PR逆算」。導きたい結果から逆算してプロモーションを組み立てる。例えば、イオンモール幕張新都心に昨年12月オープンした「よしもと幕張イオンモール劇場」にもその表れ。ベッドタウンのイオンモールにあるとあって、ターミナル隣接の他の劇場と異なり、地域に根差したカルチャースクールなど新趣向のプログラムに注力し好評を得ている。永谷氏は「そのために、もちろん他社のタレントにも出演してもらう」。アジア展開で一致するイオンとウィンウィンの関係を築き、各国に劇場を増やす考えだ。

 面白いのはガールズイベントだけではない。雑多に見えていた点が次第に線でつながり連動、厚みある面となりつつある。華やかさと笑いにあふれた女子イベントの裏側に迫ると、よしもと次の100年の輪郭が見えてきた。

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(取材・文/構成:高崎正樹)


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