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WEBプロモーション事業に参入で人材募集/ニッポンプランニングセンター 大柳社長、植田取締役に聞く

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WEBプロモーション事業に参入で人材募集/ニッポンプランニングセンター 大柳社長、植田取締役に聞く

2015年12月09日

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大柳
 デザイナーはもちろんですが、あとは企画のできる人材確保は急務です。去年からグッズの制作は始めており、パッケージの売上減少分を補って、かなり大きな柱になりつつあります。劇場版アニメーション『進撃の巨人』のパンフレットや、藤木直人のコンサートグッズなども手掛けてきました。


デザイナーをリソースに

――新規の事業を進めていく中で、10月に「デザインアートミュージアム」というサイト(URL=http://designart-museum.com/)を立ち上げられましたね。数々のデザイナー・クリエイターがデザインしたグッズを販売しています。これはどういう意図でスタートしたのでしょうか。

大柳 当社の所属デザイナーである齊藤拓也が、『スター・ウォーズ』をテーマにしたユニクロ主催のTシャツデザインコンペティションでグランプリをとったのが発端です。私は去年の6月にこちらの会社の社長に就任しましたが、その前の2年間は、当社は赤字でした。DVD売上の落ち込みが直接的な原因であり、社内でも何か新しいことをやらなければという意識はあったのですが、日々の業務で手一杯で、なかなか具体的に進められなかったのが実状です。
 そんな中、齊藤が『スター・ウォーズ』のコンテストでグランプリをとり、本人に「何かやりたいことある?」と聞いたところ、自分が作ったTシャツを販売したいと。それがきっかけで「デザインアートミュージアム」がスタートしました。当社としては、デザイナー発の事業は初めてです。
 これまで当社は受注ありきの仕事で、初めから在庫を持つというリスクを背負ったビジネスはしてきませんでした。それが新規事業をする際のブレーキになっていましたが、今はオンデマンドプリントで、1枚、1つ単位で提供できるビジネスが生まれており、そのモデルでTシャツやグッズを作って売ろうということになりました。当社には、写真家やイラストレーターなど、色々なクリエイターが売り込みに来ます。彼らにも活躍の場、発表の場を提供し、作品を「デザインアートミュージアム」で展示して、それを商品にする。同時に、彼らとのつながりをもっと強くしておこうという考えもあります。現時点で、まだ全員の作品は揃っていませんが、当社所属クリエイター、外部クリエイターも合わせて、40人くらいと契約しています。実際、ここで知り合ったイラストレーターさんに「アイドリング!!!」のジャケットデザインを発注したケースもあります。

「デザインアートミュージアム」HP

デザインアートミューアジム.jpg
植田 サイトを立ち上げたことで、クリエイターとのネットワークが広がりましたね。才能のコーディネートをできる仕組みができたと思います。

大柳 これからは、人工知能やロボットが人間にとってかわって仕事をするようになります。その時に、人間じゃないとできない表現が重要になります。人の才能に一番近いところを押さえなければ、我々の仕事がなくなります。当社のリソースはデザイナーであり、外部のクリエイターとのつながりもそうです。彼らも仕事を欲していますし、自分の作品を発表する場を求めており、利害が一致しています。

――外部のクリエイターとのつながりも強くなったことで、今後はどのようにビジネスに生かしていきますか。

大柳 1つは、パッケージの売上が少なくなっているだけに、その競争も厳しくなっているので、クオリティを上げて、一方でよりCPをあげるノウハウを強めていきます。あとは、エンタメで培ったノウハウを違う分野、異業種へどんどん広げていこうと考えていて、実際に調味料のラベルデザインやパッケージ制作も手掛けています。それだけでなく、彼らクリエイターの仲介業もできつつあります。今はインスタグラムで情報を発信すると、「いいね!」を付ける人の多くが外国人でもあり、日本のクリエイターを海外に紹介する機会にもなる。そのビジネスチャンスにもなると思っています。


ネットフリックスのアートワークを担当

――新しい事業という点では、9月に日本でもサービスが始まったネットフリックスのアートワークの担当もされていますね。

植田 日本でのプリファード・クリエイティブ・エージェンシーに指定されています。エンコードをしているポニーキャニオンエンタープライズと共に、ワンストップでポニーキャニオングループが請け負える体制です。デジタルの分野でデザインをどう表現するかは、従来のグラフィックとは違うリテラシーが必要なので、ネットフリックスさんとの仕事を通して、我々もデジタルデザインのスキルを高められたと思います。ネットフリックスさんの覚えもめでたいのではないかと(笑)。

大柳 ネットフリックスさんの仕事はレギュレーションも厳しいのですが、社内でも新しいことをやっていくべきだという方向性になり、お引き受けすることになりました。

――先ほどおっしゃった「新しいことをやらないと」いう意識があった中で、決まったことなのですね。

大柳 タイミングは良かったですよね。デザインアートミュージアムがあって、並行しながらネットフリックスさんの仕事もやることになって。忙しくなるので、これまでネットワークを構築してきた外部のデザイナーも集めて準備しました。彼らには今でも稼働してもらっています。最近は、クラウドソーシングサイトでお手軽にデザインを依頼できるサービスもありますが、利用者には便利な反面、デザイナーにとってはよほど仕事をとれる人でなければ苦戦する状況です。そういう時代の波もある中で、確実に収入を得られるネットフリックスさんの仕事を好意的に捉えてくれる外部クリエイターさんもいます。


AR技術も活用

大柳 あと、当社の新しいサービスとして「AR(拡張現実)技術」も挙げられます。例えば、12月1日より新宿駅で掲示している『映画 ハイ スピード!』のポスターにARを仕込んでいて、スマホをかざすとキャラクターと一緒に記念写真が撮れるようにしています。

植田 デザインをお預かりする時に、当社にお任せ頂ければ、ARのサービスも提供できますという付加価値ですね。これは大変ご好評を博しています。

大柳 昨年、新しい事業を模索していた時に、ARの技術が注目されていたので、ARシステムの開発会社と提携して、我々が利用できるようになりました。ポニーキャニオンやフジサンケイグループ以外のクライアントを開拓することも当社の課題であり、それを推進していく材料の1つにしたいと考えています。 了

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取材・文/構成 平池 由典



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