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PCI MUSIC、アーティスト総合支援サービス「bazoo」ローンチ/江尻、田中両取締役に聞く

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PCI MUSIC、アーティスト総合支援サービス「bazoo」ローンチ/江尻、田中両取締役に聞く

2021年11月24日
 ポニーキャニオンのグループ会社・PCI MUSICが10月18日に音楽デジタルディストリビューションサービス「bazoo(バズー)」https://bazoo-music.com/)をローンチした。インディーズ作品に関するCDやレコードなどの流通・販売業務を中心に、音楽コンテンツに付随する様々な業務を担ってきた同社ならではの豊富なオプションサービスを特徴としている。すでにバンドやシンガーソングライター、ライバーなど多くの新規客から問い合わせが寄せられており、登録者数も順調な滑り出しを見せているという。同社の江尻哲也取締役、田中孝明取締役に、ローンチ経緯や今後の抱負を聞いた――。

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(左から)江尻哲也取締役、田中孝明取締役


豊富なオプションでアーティストを支援

  bazooは、インディーズシーンの中で多数のヒットやアーティストの成長を支えてきたPCI MUSICが〝これまで培ってきたノウハウを次世代アーティストに幅広く提供していきたい〟という思いから発足した音楽デジタルディストリビューションサービス。 ユーザーは公式ホームページから楽曲を登録後、①フリープラン(還元率65%)②独占配信プラン1年(還元率75%)③独占配信プラン3年(還元率80%)――の基本3プランの中から、自身の希望するプランを選択。審査が通れば、国内外の主要配信サイトはもとより、アジア・アフリカなどの地域を含む40サイト以上への配信が可能となる。前述のプラン通り、収益から還元するシステムのため、利用料、年会費、登録費などの配信リリースにかかる初期費用は無料となっている。 

 近年、ストリーミング市場の拡大とともに、アーティストを取り巻く環境は大きく変化しており、既存のデジタルディストリビューションサービスなどを利用して、自身の音楽を比較的簡単に発表できるようになった。 bazooは同様のサービスとしては後発組となるが、最大の特徴は音楽配信を中心としたアーティスト活動の〝総合支援サービス〟という点にある。 江尻氏は「僕も経験があるのですが、たとえばバンドをやっている人たちは、ライブや楽曲を作ることに一生懸命で、権利まわりなど〝その後どうしたらいいのか?〟という部分で迷うことがあって。まずそこのサポートをしっかりしてあげたいという思いがありました」と話す。

 bazooではユーザーが希望する場合、セールスの担当者、プロモーター、アーティストマネージャーなど、PCI MUSICが誇るプロフェッショナルなスタッフがオンライン上でヒアリングを実施。音楽配信だけに限らず、プロモーションサポートやマネジメントサポート、著作権・原盤の管理、フィジカルリリース、ネットショップでのグッズ販売といった、同社ならではの知見を活かしたオプションサービス(一部有料)を受けることができる。

 オプションで実際に有料となるのはプロモーションサービスの資料発送サービス(1リリースあたり1万9800円)やプロモーションサポートサービス(1アーティストあたり3万円~)、マネジメントサポートサービス(1アーティストあたり3万円~)など。著作権・原盤管理サービスは無料で、フィジカルリリースやネットショップサービスはPCI MUSICと流通契約を締結した上での収益還元システムとなる。

 いずれも登録後のページから、わかりやすく確認・申し込みをすることが可能で、オプションに迷ったり、各サービスの内容を詳しく知りたいというユーザーに向けた「初回ヒアリング」(無料)も用意されている。 このほか親会社であるポニーキャニオンが運営している東京・池袋の未来型ライブ劇場「harevutai」の割引サービスもあり、江尻氏も「オプションの多さは、他社の類似サービスと比べても充実していると思います」と自信をのぞかせる。


魅力は「徹底したユーザー目線」

 一方で、次世代アーティストの発掘・支援は、ポニーキャニオングループの全社的な取り組みでもある。 親会社のポニーキャニオンは、今年6月の組織改編で、音楽関連のデジタル戦略を強化すべく「デジタルマーケティング本部」を新設。デジタル時代における新たなスター輩出に本格着手している。 またグループシナジーを高めるため、グループ会社を港区六本木の本社オフィスに集結させるなど、時代にあわせた変革を並行して行っており、PCI MUSICも今年5月のタイミングで虎ノ門にあった虎ノ門センタービルから本社内に移転。現場の反応も好評で、田中氏は「PCI MUSICではあまり関わってこなかった関係各所の人たちと接点ができたり、情報共有できるのが大きいですね。そこで『これは良いな』と思ったものがあれば、インディーズシーンに持ち帰って派生させていきたい」と意気込む。

 PCI MUSICでは、bazooのローンチと同じタイミングで、カラオケ動画コミュニティアプリ「KARASTA(カラスタ)」との共催による新人発掘オーディションを開催することも発表。サービスの周知を促す施策も積極的に展開しており、こちらもすでに多くの反響が寄せられているという。 江尻、田中両氏が共通して語るbazooの魅力は「徹底してユーザー目線であること」。今後さらなるサービスの拡充に向け、オプションの追加や、「ライブハウスやスタジオに出入りしているような人たちに向けたアプローチ」も予定されている。  

 サービスのローンチに際し、両氏は「個人で発信しているクリエイターやミュージシャンがどんどん増えていて、どこから新しい才能やヒット作が生まれてくるかわからないので、僕らも間口を広げてお手伝いしたいという思いがあります。アドバイスをもらうような感覚で気軽に問い合わせて頂ければ」(江尻氏)、「bazooをきっかけにポニーキャニオンからメジャーデビューしたり、飛躍するアーティストが出れば嬉しいですね」(田中氏)とPR。今後の事業展開に期待が集まる。

取材・文 白井良資





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