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サーティースリーがグローバルで事業拡大、日本IPの海外プロモーション事業で急成長

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サーティースリーがグローバルで事業拡大、日本IPの海外プロモーション事業で急成長

2026年06月26日
 映画やアニメーションなどエンタメ業界専門のブランドマーケティングエージェンシーである株式会社サーティースリーが、海外での日本作品人気の高まりを追い風にし、右肩上がりの成長曲線を描き続けている。

 2021年に8人の社員でスタートした同社だが、わずか5年余りで正社員数は70人(東京55人、ロサンゼルス15人)まで増加。契約や委託のスタッフを含めるとその規模はさらに拡大する。この成長を100%自己資本で実現しており、年間の売上は創業から毎年、前年比150%以上となる伸長を継続中だ。取引先は約80社を数え、リピート率は92%を超える。

 日本のスタートアップでありながら、北米にも拠点(33USA)を構え、共同代表の田中慎太郎、久保田光治の両氏が東京とLAの2拠点での生活を続けながら日米の連携を密にすることで、ワンストップで日本と海外の両面でサービス提供できる体制を構築。その結果、グローバルでプロジェクトを請け負う取引先も30社を超えた。

 LAの拠点では、日本のIPが海外市場に進出する際のマーケティング支援に主眼を置いているが、その評判は米国企業の耳にも入り、現地企業の米国展開や日本市場向けプロジェクトの受託も増加しているという。久保田光治代表取締役COOが説明する理由に、同社の強みの一端が垣間見える。「クライアントからお褒め頂くのが、きめ細やかなブランドマーケティング支援です。現地でブランド価値を引き上げるとともに、ファンダムを育て、拡大していく。これは弊社が最も得意としているメインのソリューションです。ここに米国の企業も価値を感じてくださり、日本から来ている会社にもかかわらず、今発注が増えています」。一例として、北米ゲーム会社の新作ローンチのプロモーションや、スポーツブランドのブランディングキャンペーンなど、プロジェクトの内容は非公表だが、世界の誰もが知る米国企業もクライアントに名を連ねている。


サーティースリーの久保田氏.jpg
久保田氏


 その勢いは日米に留まらず、最近ではメキシコをはじめとしたラテンアメリカ地域の対応も始めた。スペイン語でのソーシャルマーケティング、PRのほか、画像や動画のスペイン語圏向けローカライゼーションも開始している。

 積極果敢な姿勢が際立つ同社だが、強気一辺倒にならないバランス感覚も持ち合わせる。久保田氏は「過去をさかのぼると、サービス品質の面でご期待に応えられず、宣伝活動をする中でがっかりさせてしまったケースもありました。そういったお声を聞くと私も本当に悔しいですし、二度とそういった不本意な思いをクライアントにさせないためにも、会社の規模を成長させることはもちろんですが、その基盤となるサービス品質の強化を図るため社内努力をしている最中です」という。2027年度には、創業以来最大の飛躍を遂げる予定だと語る久保田氏。そこに向けた足腰を盤石にするべく、「今は深くかがむスクワット期間と位置付けています」と、同社の根幹をなすマーケティングのサービスの徹底的な見直しを図っていることを明かした。


アニメエキスポで約10社の出展やパネルのプロデュース

 その中で、同社がいま最も力を注いでいる一つが、イベント事業の強化だ。すでにPR、ソーシャルメディアマーケティング、広告販促、クリエイティブ、宣伝プロデュースと幅広く事業展開してきた同社だが、LAに移住して3年が経過した久保田氏は「リアルな体験の場の価値が日に日に高まっていることを、現地にいるからこそひしひしと感じています」とファン参加型イベントの有用性を説く。

 そこで同社は先ごろ、社内に「イベント・ディヴィジョン」を正式に新設。マネージャーにはアモン・イラガン氏が就任した。アモン氏は北米の映画会社、ゲーム会社、動画配信プラットフォームといったエンタメ企業向け大手イベント制作会社でプロジェクトマネージャーを歴任。数々のエキスポ、コンベンション、カンファレンス、ポップアップイベントの企画制作・運営をマネジメントしてきた実績を持つ。同氏を新たに迎え入れてチームを編成し、日本企業が北米進出する際のイベント展開をトータルでサポートする。

 イベント・ディヴィジョン本格始動の狼煙として、日本のエンタメ企業も多数参加する北米最大規模のアニメイベント「アニメエキスポ 2026」(7月2~5日、LAコンベンションセンター)で、日本の約10社のブース出展やパネル開催のプロデュースをすることが決まった。今後も北米進出を希望する企業が抱える「ノウハウがない」、「人手が足りない」、「マンネリ化している」といった様々な課題に応えていく。

 また、米国各州で開催されている大小様々なアニメ、ポップカルチャーイベントにも機会を見出している。「アニメエキスポ、ニューヨークコミコン、アニメNYCといった大規模イベントは、日本の企業にも広く知られ、公式に出展されることも増えてきました。しかし米国全体を見渡すと、現地のファンによる、ファンのためのコンベンション、エキスポが各州に存在しており、数万人規模を集客する催しが多数生まれています。そういったイベントの主催者と協力体制を築き、日本のクリエイターの招聘や、作品上映会の開催など、日本の企業の出展をサポートさせて頂きます」。すでに米国各地の数十のイベントとネットワークを結び、日本の企業が出展する際のパイプを構築している。

 また、久保田氏がイベント事業の次なる挑戦領域と位置付けているのが、毎年4月と10月の年2回、LA近郊で開催されている日本文化フェスティバル「OCジャパンフェア」との連携だ。トヨタ自動車、アサヒビール、伊藤園らがスポンサーとして名を連ねる同フェスは、日本のフード、伝統工芸品、パフォーマンスなどが紹介され、5万人ほどを集客する南カルフォルニアの日本カルチャー好き必見のイベントになっている。ここに今年10月開催からサーティースリーが参画、日本のエンターテインメント企業が公式出展できる新エリア「ジャパンポップカルチャーゾーン」をプロデュースし、フェスのリブランディングをサポート。「現在の5万人規模から、10万人、20万人規模への成長を支援していきます」とさらなる人気拡大を後押しする。

 すでに大きな話題を集めているイベント事例も生まれている。それが公益財団法人日本サッカー協会(JFA)とのプロジェクトだ。JFAは、才能あるサッカー選手の発掘を、国内に留まらず、海外に拠点を置く人材にも広げ、日本サッカーのさらなる強化を図りたい考え。こうした背景から、JFAと縁のあったサーティースリーがサポートに入ることが決まった。「JFAが日本サッカー界の未来を創っていくために、本気で様々な取り組みをされているなかで、育成年代の強化が非常に重要であることを知りました。そこで、すでに日本で実施されている発掘・育成プログム『ストライカーキャンプ』に着想を得て、同様の取り組みを海外でも実施し、日本国籍を有する選手、または父母のいずれかが日本国籍を有する選手、将来的に日本国籍を取得する見込みがある選手との接点を増やすため、『JFA×SCO GROUP FUTURE CAMP inspired by Blue Lock』という企画をJFAと共に進めることになりました」(久保田氏)。

 とはいえ、国内ならいざ知らず、海外で日本代表の取り組みを周知させるためには話題性が不可欠。そこで同社が発案したのが、同じく才能発掘を題材にしたサッカー作品『ブルーロック』との連携だ。「企画の趣旨と作品のテーマが合致していたので、弊社が北米圏でのプロモーションを担わせていただいているアニメ『ブルーロック』の製作委員会にご相談しました。日本サッカー界の未来を創る本企画に快く賛同してくださり、コラボレーションが実現しました」という。この異例のコラボは、宮本恒靖JFA会長出席のもと5月に行われた記者会見で発表された。『ブルーロック』は海外でも人気が高く、SNS上では「リアル『ブルーロック』だ!」という声が一気に広がり、北米、欧州など世界中から「FUTURE CAMP」への応募が殺到しているという。サーティースリーでは、引き続きこの企画のイベントと宣伝のプロデュースを担い、JFAの取り組みに寄与していく。

 前述の通り、同社は2027年に大きな飛躍と進化を遂げる準備を進めている。会社の体制の変化が見込まれるが、久保田氏は「日本のエンターテインメント企業のブランドマーケティングを全力で支援できるようにバイブス満タンで毎日奮闘しています」と、全てはエンタメ業界への貢献を第一に掲げ、IPやクライアント企業と伴走しながらさらなる成長を目指す。

(取材 平池由典)

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