DMM FILMS本格始動、幹事で映画製作、配給開始へ
2026年09月18日
DMM.comの映画事業「DMM FILMS」がこのほど本格始動した。製作、配給に参入すべく、人員の募集も始めている。
DMM FILMSは2024年3月に立ち上げられ、すでに2年以上が経過。ドラマは主幹事として「セラピーゲーム」と「ちょっと待とうよ、春虎くん」を製作してきたが、映画では出資を主とし、これまでに『山田くんとLv999の恋をする』、『THE オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ MOVIE』、『八つ墓村』の製作委員会に参加してきた。ただ、今後は映画に関しても主幹事として製作を行い、自社で配給も行っていく方針だ。
DMM FILMSを担当する青鹿敏明氏(PF Company 事業執行役員)が経緯を説明する。「私の担当に、オンラインくじ、ポップアップストア、フィギュア製作、店舗くじといった商品化に強い事業が複数あり、それらと連動できるような映像製作を目指してDMM FILMSを2024年に立ち上げました。比較的少額の出資で委員会に入らせてもらう形からスタートしましたが、やはり会社の様々な機能を生かすためには主幹事で製作するべきという考えに至り、早い段階で路線変更について会社に相談しました」。
2025年3月には幹事として製作し配給を行うことを決めたという青鹿氏。事業立ち上げから1年ほどでの方針転換ながら、会社の後押しを得ることができた。「いま始めたとしても、映画が形になるのは3~4年後だということを会社には丁寧に説明しました。DMMは決断が早く、『それでもいい。やってみよう』と応援してもらい、やらせてもらうことになりました。企業風土のおかげです」と魅力ある事業には積極的に挑戦するDMMの姿勢に感謝の意を表する。
そこからは人材の確保に注力し、今年の8月までに陣容を整えた。青鹿氏と二人三脚でDMM FILMSを牽引してきた木之内安代氏が事業部長を務め、プロデューサーとして豊富な経験を持つ田中勇也、横山祐子、北澤卓哉の各氏が映像製作グループにメンバー入り。メディア対応に精通する成澤瑞紀氏も社内異動により同グループに加わった(配給宣伝グループ兼務)。さらに、長年メジャー会社に勤め業界での顔も広い林春樹氏が配給宣伝グループに合流し、製作・配給を始める体制を構築。ここからにさらに人員を厚くし、まずは10人程度のチームでのスタートを目指す。特に製作プロデューサー、配給営業、宣伝プロデューサーを積極的に呼び込みたい考えだという。
左から林、青鹿、木之内、田中の各氏
今後DMM FILMSで製作していく作品や本数には明確なイメージを持っている。青鹿氏は「これは事業部長の木之内とも当初から一貫して話してきたことですが、映画館を出たあとの第一声が『面白かったね』とか『泣けたね』といった感想になるようなエンターテイメント作品を目指します。個人的には社会派の映画も好きですが、実績のない状態でいきなりアーティスティックな作品や社会派を手掛けるのではなく、まずは『ウォーターボーイズ』のように誰もが楽しめる作品を企画していきたいと思っています。全国300館クラスの公開規模の作品を年間2本は公開していきたいと考えています」と説明する。すでに複数本の企画を進行させており、2028年以降の公開を視野に入れているという。この大作2本を軸としつつ、場合によっては中規模作品や、配給受託の作品も柔軟に手掛けていく。また、ドキュメンタリーを中心とした音楽系ODSにも積極的に取り組んでいく意向だ。早くも「かなり有名」(青鹿氏)な複数のアーティストの企画の検討を始めており、アーティスト側からも前向きな反応が得られているという。
製作した作品については、DMMブックスでの原作展開、地方創生事業部と連携した聖地巡礼といった社内連動により盛り上げを図っていく。その一方で青鹿氏は「DMMが展開する事業との連動が優先ではなく、あくまで作品にとってベストのパートナーと組むことを最優先に考えています」と強調する。特に、劇場上映後は自社の動画配信サービスであるDMM TVでの独占配信が既定路線と思われがちだが、「そんなことはありません。その作品にとってベストであれば、外部のOTTに配信して頂くという選択も十分にあり得ます」と作品のポテンシャルを最大限に引き出すことを第一の目標に据える。
母体の大きな企業だけに、単独での製作という手段もあってしかるべきだが、青鹿氏は首を横に振る。「例えば弊社が無理やり出資して海外販売の窓口を取得したとしても、その作品にとって最大の価値を届けられるかと言えば、現状はまだ不明瞭です。原作の有無にかかわらず、最大限リスペクトして、作品にとって一番良いアウトプットができる製作委員会を組成したいと思っています」。
ファンド形式のように、製作委員会以外での作品作りも増えてきている昨今の映画業界。新規参入のDMM FILMSも新たな潮流には前向きに臨む考えだという、ただ、それもあくまでベストなパートナーと組むための数ある選択肢の一つという姿勢だ。配給に関しても場合によっては共同配給を模索する。「業界の諸先輩方のお力をお借りしたいという作品も出てくると思うので、何が何でも自社でという考えはありません。一緒に組むパートナーの方と最適解を見つけていきたいと思っています」(青鹿氏)と、作品ファーストを貫きながら映画事業を進めていく方針だ。
(取材 平池由典)