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トップインタビュー:ウィリアム・アイアトン ワーナー エンターテイメント ジャパン社長

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トップインタビュー:ウィリアム・アイアトン ワーナー エンターテイメント ジャパン社長

2007年11月07日
成熟産業のなか、利益率を上げる道とは
 ゲーム開発、TV番組制作なども視野に
 ローカルプロダクションへの比重高まる



 ワーナー映画はここ数年、洋画配給のトップを走ってきた。ただ今後は、同社を入れた数社の大激戦が予想される。そのために、ワーナーは何をなすべきか。アイアトン社長は、いくつかの布石を打ち始めた――。


ハリポタシリーズ最終作に向けて

本誌 ワーナー映画は、2001年から成績が一気に上向きました。それは、「A.I.」がきっかけだったと思います。興行収入でいうと、2000年が85億円だったのに対し、01年289億円、02年331億円、03年350億円、04年339億円、05年248億円、06年240億円となっています。01年から05年までは、メジャー系含めた洋画配給会社のトップに立ちました。これは、「ハリー・ポッター」シリーズはじめ、「マトリックス」シリーズなど、他社と比べて圧倒的に作品が揃ったとともに、宣伝、営業面とも充実し、会社全体に勢いがあったからなのだと思います。まさに、洋画のリーディング・カンパニーに君臨できたわけです。

ウィリアム・アイアトン(以下、アイアトンと略)1回だけ、東宝さんを抜いたんですよ(笑)。

本誌 そうでしたね。ただそろそろ、「ハリポタ」も終焉が近づいてきた。今後のラインナップを見ると、「マトリックス」などの強力作品も、これまでほど多くはないのではないか。このあたり、アイアトン社長は現在、どう考えていらっしゃるのか。

アイアトン まず、「ハリポタ」の話をしましょう。次回作の「「ハリー・ポッターと謎のプリンス」は、08年の11月に公開が予定され、次の「ハリー・ポッターと死の秘宝(仮)」は、2010年の夏か冬か、たぶん冬だと思うのですが、最後の公開となります。今まで、「ハリポタ」は夏に公開したほうがいいと皆さんおっしゃいますが、4作目の「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」(05年11月公開)と5作目の「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」(07年7月公開)と比べると、たとえば平日は夏のほうが動員が良いですけど、土日は冬のほうが良い。土日で上映したほうがかぶるんですよ。これは、900スクリーンぐらいで上映しているからですね。だからやはり、このシリーズは、冬のほうがいいのかなと。何か、冬の寒いほうが、ムードもあるじゃないですか。「ハリポタ」にフィットしているような。

本誌 確かにありますね。雪=ハリポタ、ですね。

アイアトン そう、イメージですけどね。それともうひとつは、競合の問題もありますね。夏より冬のほうが、競合が少ない。あれは、不思議ですね。「炎のゴブレット」(110億円)は、結果的に95億円ぐらいを見込んでいる「不死鳥の騎士団」より10%ぐらい興収は上でしょう。でも平日は、「炎のゴブレット」がたとえば7000万円とか、6000万円台のところは、「不死鳥の騎士団」は1億円いっているけれども、土日になると逆転するわけですよ。「不死鳥の騎士団」が土日で2億数千万円だとすると、「炎のゴブレット」はたとえば3億数千万円だとか、やはり土日でかぶってしまうのですよね。ですから、最後の2010年の作品は、冬がいいと思っているわけです。

本誌 前に聞いたとき、かなり目標が高かったですよね。最終作は。

アイアトン ハリポタのシリーズ全作で、1000億円を視野に入れているわけです。ですから残りの2作品では300億円いってくれれば、1000億円を超えるわけです。

本誌 「タイタニック」が262億円で、洋画ではトップですね。邦画は、「千と千尋の神隠し」の304億円というとてつもない数字がありますが。

アイアトン 2本で「千と千尋の神隠し」を超えたいところですね。最終作は、本をお読みになっていない方には申し訳ないので言いませんが、中身的にそれぐらいのポテンシャルのある作品になっていますよ。

本誌 ハッピーエンドなのですか。

アイアトン いや、そういうことも言うなと(笑)。とにかく、稼げるラストだということです。

ウィンドウの問題

本誌 で、本題に入るわけですが。最初に申し上げたワーナー映画の今後の状況、さらに昨年アイアトンさんは、ワーナー エンターテイメント ジャパンの社長にもなられた。つまり、日本における映像部門全体(劇場配給、ビデオ、テレビ、ライセンシング)を統括するワーナーグループのトップの重責を担うことになったわけですね。それから、1年経ちました。考えているところ、実現しなくてはいけないところ、非常にたくさんあると思うのですが。

アイアトン まず、全体の社長になってからのことをお話ししましょう。フラットに、全部門が話し合うということが、大事になりましたね。バーバンク(本社)では、各部門ごとに縦割りで指導する体制ができているので、日本にそういう指導が届いた段階で、さらにそれらの項目を話し合う必要が出てきた。たとえば、ウィンドウの問題。劇場とビデオ。これは当然として、あとペイテレビ、VOD(ビデオ・オン・デマンド)、A(アドバタイズメント)VODとかS(サブスクライブ)VOD、EST(エレクトリック・セルスルー)などですね。いろいろなデジタル配信のウィンドウの課題も出てきている。たとえば、基本的にESTというのは、ビデオの発売日と同じなのですが、それに伴いVODのウィンドウをどうするかとかといった課題があります。とくに日本ではDVD(ビデオ)のレンタルビジネスが好調なので、それを無視することもできませんし。さらに、Gyaoさんといった新しいビジネスモデルも出ていますしね。TSUTAYAさんと、ESTとかVODなどをやっていますが、まだこれはあまり売上は伸びていません。今後は、VODはレンタルになるのかなと、そういうことも考えていますね。それが10年後なのか20年後なのか、わかりませんが。

本誌 VODは、かなり前から行っていますが、何年経っても売上が大きくならないですね。

アイアトン 基本として、我々コンテンツ・メーカーとしては、プラットホームが増えることはうれしいことなのですね。ただ今まで、ビデオの発売とレンタルについてキャニバリゼーションが起きないように検討するのが重要になってきます。イギリスの「ファイナンシャル・タイムス」では、ケース・スタディながら、とにかくウィンドウなしで映画であろうと、ビデオであろうとネット配信であろうが、全部同時で出したほうがトータルとして儲かるよと。それはトータルとして、コンテンツ側としては儲かると思うのですが。しかしそうなると、映画興行やビデオの収益が減ると思うんですよね。ですから、そんな無茶もできない。映画館は、残ると思いますが。

本誌 非常に重要なことを、おっしゃられていると思うんですよね。映像全体をアイアトンさんが見なくてはいけないのはわかるんですが、やはり映画興行の収益の維持というか、アップを目指さないといけない気がするんですね。それが一番、重要なわけですから。しかし、そこが頭打ちになっている。映像全体のニーズという点では、全体ではお客さんは増えているんです。だからこそ今後、各メディア同士の接点がより必要になってくる。ビデオも含めたトータルな視点が重要だということですね。

アイアトン そうです。それが今回のカントリー・マネージメントと言うのですけど、大きな意味合いがあると思うのですね。トータルのワーナー エンターテイメント ジャパンの売上を伸ばすことが会社の目的ですから。



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