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トップ・インタビュー:井上泰一角川映画(株)代表取締役社長

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トップ・インタビュー:井上泰一角川映画(株)代表取締役社長

2008年06月04日
 ――新設の宣伝本部長には、関西支社長や東京国際映画祭事務局に出向していた大川裕さんが5年ぶりに復帰されましたね。

井上 大川は経験があり、たぶん角川グループの中では出し得る第一人者だと思っています。

 ――旧・角川春樹事務所のメンバーで、現在もグループに残っているのは井上社長と大川さんだけですね。

井上 ええ、彼は完璧なプロパーですからね。現在の角川映画は、角川書店エンタテインメント事業部と旧大映そして日本ヘラルド映画が合体、合体して出来た会社ですが、そんな流れの中で宣伝がちょっと虚弱になっていったんですね。この1年見てきて、この布陣で角川映画の全作品の宣伝を手掛けるのはかわいそうだと感じていました。これは荻野も僕も一致した意見でとにかく宣伝を強化していこうと。大川の下に、本部付部長に古谷周嗣、宣伝部長に長山俊輔が就き、宣伝プロデューサー制を敷いて、各作品ごとにプロデューサーが担当していこうということが、川上の強化とともに今度の組織改編の大きな柱です。


角川シネマ・チェーン

 ――この4月から角川の新宿ガーデンシネマ(6月14日より「角川シネマ新宿」と館名変更)、シネカノンのシネカノン有楽町2丁目、渋谷アミューズCQNの3館をフラッグシアターとした角川シネマ・チェーンが発足、第1弾の「カンフーくん」(監督小田一生/チャン・チュワン主演)が現在公開中ですが、成績はどうですか。

井上 第1弾としては、ちょっと足りないですね。今後のラインナップは、第2弾では韓国のCJエンタテインメントと共同配給の「光州5・18」(5月10日公開)、そして第3弾が角川文庫創刊60周年記念作品の「ダイブ!!」(6月14日公開)で、ここからが勝負だと思っております。グループが様々なメディアミックスで取り組む第1弾の作品になります。第4弾は、「着信アリ」のハリウッド版となる「ワン・ミス・コール」(7月公開)。1月4日に全米でワーナー配給で公開された、角川映画とアメリカとの合作作品です。第5弾は台湾・香港・中国合作の「カンフー・ダンク!」で、8月16日に公開されます。第6弾は俳優の津川雅彦さん―マキノ雅彦監督の第2作となる「次郎長三国志」(中井貴一主演)で、9月20日に公開されます。そしてマキノ監督の第3作「旭山動物園物語~ペンギンが空をとぶ~」(西田敏行主演)は現在制作中で、来年新春の公開を予定しています。この他、ジョディ・フォスター主演の「幸せの1ページ」(9月丸の内ピカデリー2系公開)、片岡孝太郎と片岡愛之助が共演する長野県伊那地方に伝わる村歌舞伎映画「ビューティー うつくしいもの」(監督後藤俊夫/今秋角川シネマ新宿2他で公開)、ホラー「悪魔のリズム」(今秋角川シネマ新宿2他で公開)、ヒットシリーズ第4弾「超劇場版ケロロ軍曹4(仮)」(09年春公開)など、そして角川文庫創刊60周年記念作品として現在数本のシナリオが完成しており、2009年公開に向けていま取り組んでいます。


早く邦画4社の一員に

 ――角川映画さんは、年間興収が、06年が32億円、そして07年が30億円となっていますが、2008年はこれらのラインナップで、どのくらいの数字をあげていこうと考えているのですか。

井上 今年は50億円前後、当面年間興収70億から80億円を目指していこうと思っています。角川シネマチェーン公開作品を中心にできるだけ早く興収100億円を目指す会社にしていき、邦画4社の一員になれるよう努力していきたいなと思っています。川上、川中、川下をこの2008年にどれだけ立ち上げていけるかにかかっています。

 ――角川シネマ・チェーンはブロックブッキングということですが、年間何本の配給を予定していますか。

井上 1ヵ月1本ですから、年間では10本から12本ぐらいを考えています。そのうち6本は自社製作作品で、後は配給受託をするなり、共同製作作品になってくると思います。

 ――「次郎長三国志」は受託配給ですか。

井上 そうですね。角川映画も若干出資をさせていただき、若干の権利を頂戴するという流れですね。今後はこういうケースが増えていくだろうと思います。「4作品共通鑑賞券2008年角川ドリームチケット」(「ダイブ!!」「ワン・ミス・コール」「カンフー・パンダ」「幸せの1ページ」)のように角川グループ中心に展開していくのも角川のよさですが、これだけに満足することなく、異業種と組んでいくことも大きな意味があるだろうと思っていますし、今後事業展開を大きくしていくためには必要な部分だろうと考えています。



井上泰一(いのうえ たいいち)氏の略歴

昭和19年4月19日生まれ、44年3月法政大学法学部卒業、同4月角川書店(現・角川グループホールディングス)入社、60年7月角川春樹事務所取締役営業部長、平成5年4月メディアワークス入社、14年6月角川書店(現・角川グループホールディングス)常務取締役営業局長、18年3月角川グループパブリッシング代表取締役社長、19年3月1日角川映画(株)代表取締役社長、現在に至る。


(全文は月刊誌「文化通信ジャーナル」08年5月号に掲載)

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