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トップインタビュー:早河 洋 (株)テレビ朝日代表取締役社長

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トップインタビュー:早河 洋 (株)テレビ朝日代表取締役社長

2009年09月28日
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2位狙える元気な3位

早河 そして、今度は「開局50周年で行こう!」と07年11月から今年6月まで1年8か月間取り組み、番組や映画、イベントをほとんど成功させることが出来た。プライム帯の視聴率をみると、05年が2位、06年3位、07年2位、08年3位ときた。深夜帯のプライム2(23時~25時)は4年連続トップとなった。全体としては2位まではいかないけども“2位を狙える元気な3位”になった。

【テレビ朝日社長 早河洋氏の略歴】
昭和19年1月1日生、山梨県笛吹市出身。中央大学法学部卒。昭和42年4月テレビ朝日入社。平成7年6月広報局長。平成8年2月編成局長。平成9年3月報道局長。平成10年9月役員待遇報道・情報本部副本部長兼報道局長。平成11年6月取締役編成・制作本部長。平成12年2月取締役編成本部長。平成13年6月常務取締役編成本部長。平成14年3月常務取締役編成本部長兼編成制作局長。平成15年2月常務取締役編成制作局長。平成17年6月代表取締役専務。平成19年6月代表取締役副社長。平成21年6月代表取締役社長(現任)。
 
 ―― 全社変革推進運動からテレ朝はどう変わりましたか。

早河 やはり、最終的に一言で言えば、視聴率万年4位を脱却したことだ。春・秋の改編期や年末年始、1週間や1か月単位ではトップを獲れるようになった。フジテレビのように長年トップを獲るような局は、もの作りのネットワークが広がるので成長力が早く、拡大再生産していく傾向がある。テレビ朝日もそういう風に力をつけてきたと思う。例えばドラマのキャスティングでこれまでは、なかなか出てくれなかった人が出演してくれるようになったりした。監督も脚本家もしかりだ。テレビ朝日が業界から評価されるようになった。そういうところまではきたと思う。

 ―― その間、印象的なことは何ですか。

早河 世界水泳で初めて15%を超えた日があるが、それは嬉しかった。それと04年11月に5夜連続で放送した「弟」は連日20%を超えて合計の視聴率が120%に達した。サッカーは放送すれば30%、40%を獲ったりしたので、本当嬉しかったですね(笑)。06年6月のW杯サッカー「日本対クロアチア戦」では52・7%を獲得するなど、『サッカーはテレビ朝日』というイメージも定着できたと思う。あと、フィギュアスケートも選手の活躍もあってキラーコンテンツとして育った。

 ―― 早河社長は今年6月までずっとスポーツ担当役員でもありましたから、その想いも強いですよね。

早河 なんだかんだ言っても、視聴率を獲った時は嬉しい、社内も元気になりますしね。ただ、反省点を言えば、全社変革推進運動は少し長すぎた。それゆえに、マンネリや惰性も一方で生まれてきた。後半はちょっと緊張感が欠けるところがあった。それが06年に発覚した番組制作費の不正使用問題というモラルの面の低下を招いたとも言える。そこは大きな反省点です。全社変革推進運動の後、新中期経営計画(2011年度連結売上3000億円、営業利益200億円)を立てたが、昨秋からの景気悪化、環境の激変で数字的な整合性がとれなくなり、計画を取り下げ、今年2月に改革断行宣言をした。


2位狙える元気な3位

 ―― 今回の改革断行はスピードを持ってあたるということですが。

早河 08年度が開局以来初の赤字決算だったから、これは2年も続けるわけにはいかない。制作費、人件費も含め経費を大幅に削減して、なおかつ収入を確保していくことに尽きる。そうしてバランスのいい収支を目指す。経費を大幅にカットするわけだが、ドラスティックに、大胆にやる必要があると考えた。こういうタイミングでなければ出来ないので一気にやってみようと決めた。いずれ景気循環型のものは回復するだろうから、スリムな体制で経営をして一定の答えを出していけば、景気が回復した時に利益を確保できるだろうと思う。そして、大幅に削減した所については、その適正規模を
見極めて、そこに(費用を)戻していく。但し、それは100の状態に戻るかと言えばそうはならないだろう。やはり広告費の低減傾向は構造的な問題があるので。どのレベルまで戻すかどうかという判断は、1年経った頃に、この09年度の業績を分析した上で考えたい。その際、やはり2011年度の完全デジタル化から始まる新たな計画を作る必要があると思う。短・中期的な放送業界の動向、広告マーケットの動向、視聴者のニーズを総合的にとらえ直して、別途、デジタル化時代の指針や経営計画を3年あるいは5年の中長期的なスパンで立てられればと考える。

 ―― テレ朝は08年度スポット売上実績でTBSを抜いて初めて3位となったが、放送界の広告収入減少傾向についてはどう捉えているのか。

早河 広告主の広告宣伝費の配分意向が変化してきていると思う。民放連研究所も早い段階でそう分析しているし、データ的にも広告費は右肩上がりの状況でなくなった。この10年ほどでパソコンや携帯電話の機能が向上するとともに普及が進んで、映像の出口がテレビだけでなくなったことが広告手法の変化に影響している。視聴者のテレビの見方にも反映していると思う。インターネットの普及によって、企業のホームページも充実した。そのことも影響している。非常に複合的な要因があって、テレビ視聴というものをゆるやかに押し下げている。

(全文は月刊誌「文化通信ジャーナル」09年9月号に掲載)

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