トップインタビュー:岡田裕アルゴ・ピクチャーズ(株)代表取締役社長

――でも、「天と地と」（90年）などで春樹さんとタッグを組み、海外で壮大なロケを敢行した大作の現場を仕切ってきた岡田さんでさえ、今回の現場は想像を遥かに超える過酷なものだったようですね。

「天と地と」の合戦シーンでも3千人でしたから、そのスケールは全く違いました。移動だけで1時間、2時間は当たり前なので、2万人となると輸送だけで4時間を要しました。今回トップレベルのスタッフが総動員され、日本映画史上で最大規模と言えると思います。

――モンゴル人スタッフとのコラボレーションはどうでしたか。

モンゴル人スタッフとも撮影が進むにつれようやくひとつにまとまり、モンゴル政府や軍隊の最大級の協力も得られ、モンゴル映画界にとってもエポックメーキングな作品になると思います。まさに現場は戦場ですが、チンギス・ハーンがのり移ったかのような春樹さん、反町くんのカリスマ的なパワーに引っ張られ、撮影はほぼスケジュール通りに進んでいます。

――ハーンの戴冠式のシーンの反町さんを見るとかなり顔つきも変わり、風格が出ていたように思いました。

反町くんは撮影が進むごとに確かな存在感を放ってきています。感心しました。共演の菊川怜さん、若村麻由美さんも素晴らしいですね。オーディションで選ばれた韓国人の新人Araさんも日本語の発音に苦労していましたが、みるみる上達していきました。

――クランクアップはいつ頃の予定ですか。

8月中旬以降には編集機材を持ち込み、撮影と同時並行で作業をしていきますが、9月6日に本隊はクランクアップ予定で、2班が実景撮影に少し残ります。撮影したフィルムは日本に送って現像し、それをモンゴルに戻して、コンピュータに取り込みデータ化して、アビッドで編集していきます。

――岡田さんとしても集大成になるのではないですか。

映画人として挑戦できる喜びは感じていますが、それと同時に、春樹さんの第2弾を必ず成功させなければならないというプレッシャーも感じながら取り組んでいます。

――ずばり動員目標は。

英雄の歴史ロマンは、国境を越え世界に通じる古典的なテーマです。今まで見たことのない歴史ロマン大作になると確信していますので、500万人動員を目指します。12月に完成、モンゴルでプレミア試写会を開催する予定です。日本では松竹配給で2007年3月3日（土）全国公開します。

「蒼き狼～地果て海尽きるまで～」製作概要
製作：角川春樹、千葉龍平
監督：澤井信一郎
原作：森村誠一「地果て海尽きるまで 小説チンギス汗（上下）」（ハルキ文庫刊）
プロデューサー：岡田裕、徳留義明、大杉明彦、海老原実
主演：反町隆史、共演：菊川怜、若村麻由美、Ara、袴田吉彦、松山ケンイチ、津川雅彦、松方弘樹、平山祐介

製作：「蒼き狼」製作委員会
角川春樹事務所、エイベックス・エンタテインメント、松竹、フィールズ、エフエム東京、読売新聞東京本社、創芸、ティー・アンド・エム、ヤフー（予定）、エイチ・アイ・エス、日本航空、スマート・エックス、幻戯書房