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新社長インタビュー:豊島雅郎アスミック・エース エンタテインメント社長

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新社長インタビュー:豊島雅郎アスミック・エース エンタテインメント社長

2006年11月07日
―間もなく8月5日(土)から最新作アニメ「森のリトル・ギャング」が公開されますが、ドリームワークス(DW)作品は、いずれ角川ヘラルド映画で配給していくのではないかとも言われています。

豊島 その流れがあるのは事実ですね。なぜなら角川(歴彦)さんがDWに出資して、その見返りとしての営業権を角川グループに預けてくれている形なので。また一方で椎名会長がその仕掛け人であり、キーパーソン条項ということで、椎名会長が代表権を持っている会社、角川エンタテインメント(角川E)を通してやるというのが大枠の契約です。今回、椎名会長はアスミックAEの代表権は取れましたけど、基本的にはDWの許諾のもと角川EがアスミックAEに配給を委託しています。ですから、もしかしたら角川ヘラルド映画さんに委託することもありますし、違う会社に委託することもあるわけです。ただ、この1年半DW作品をやってきて、ようやくノウハウもたまってきました。急に角川ヘラルド映画さんでやるといっても難しいのではないでしょうか。

 ―椎名さんがこの6月に、角川ヘラルド映画の代表取締役専務になるという噂もあったわけですが、結局、取締役(非常勤)でのみ残りましたね。

豊島 角川ヘラルド映画さんのことはよくわかりませんが、場合によってはやはり椎名会長が組みこまれてやっていくこともあるかもしれませんし、そうなればやはり角川ヘラルド映画でDW作品をやっていくことも考えられます。

 ―UIPにパラマウント作品をやりたいとオファーしている話はその後どうですか。

豊島 パラマウントがDWを買収しましたが、映画の部分はジェフリー・カッツェンバーグさんに舵取りを任せるということになっているので、そのカッツェンバーグさんと椎名会長が直接話していますから、もしかしたら早めにパラマウントが椎名会長に預けてくれることはあるかもしれません。ただ、日本は09年1月に分離予定ということにUIPさんの結論が出てからの話だと思いますが。


“原案力”=オリジナル


 ―邦画製作の方はどうでしょう。これまで以上に強力に推し進めていこうと考えていますか。

豊島 僕自身も意識をして、TV局、出版社、レコード会社、代理店、クリエイター、タレント事務所などと密にコミュニケーションをとって、一つの作品を作っていくときに、やはりそれぞれが持っている強みを生かしたような形で、どうにか組めないかというのをここ2年くらい考えてきました。興行会社さん、TV局さん中心ではなく、それこそ原相談役が先駆者としてクリエイターにプロフィット・シェアするというようなことも引き続きやっていきたい。

 ―大作やアニメも製作していこうということでしょうか。

豊島 意識して大きいものを作るのではなく、結果的に大きくなる形ではやりたいですね。でも、全部のリスクは背負えないので、そういう企画にはやはりTV局さん、興行会社さんもやりたいと言ってくれますから、そういう風に企画に集まってくれるようなものが、結果的に10億円規模の作品だったらいいですね。また、今は製作費だけでなくP&Aもかかります。もしかしたら製作費よりもP&Aを思い切ってかけられるような企画の方が、成功する確率は高いかもしれない。
 アニメも某地上波TV局さんと話しているのですが、どんどんチャレンジングなものを一緒にやっていきたいと言って下さったので、僕らもそうしたい。社会的には、まだアニメは子供のものみたいに見られていますが、スタジオジブリさんのようにブランドが付けば、市民権を得ています。ですから、どんどん新しいやり方で、新しいプロパティを探してコンスタントにチャレンジしていきたいですね。
 具体的には、7月22日(土)からシネマライズ他にて全国公開中の「ハチミツとクローバー」は、コミック原作をアニメ化し、フジテレビさんの深夜〝ノイタミナ〟枠で放映、その後DVD化し全9巻で22万枚というスマッシュヒットとなり、実写映画化へとつなぎました。


プロフィール
豊島雅郎 (てしま・まさお)
1963年生まれ。86年、新卒一期生としてアスミック(現アスミック・エース エンタテインメント)入社。ビデオグラムのマーケティング業務を長年にわたり担当。家庭用ゲームソフト事業、音楽事業なども兼務した後、05年より取締役・常務執行役員に就任。主な洋画担当作品は、「トレインスポッティング」(96年)「女と女と井戸の中」(97年)「ゴーストワールド」(01年)など。主な製作作品は「ピンポン」(02年)「茄子 アンダルシアの夏」「木更津キャッツアイ 日本シリーズ」(03年)「マインド・ゲーム」(04年)「真夜中の弥次さん喜多さん」(05年)「間宮兄弟」(06年)など。

(全文は「文化通信ジャーナル」2006年8月号に掲載)

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