特集:漫画バンク、新パブリックドメインビジネスを立ち上げ

世界に誇る日本の“漫画”で新たな著作権を

　同社としては、パブリックドメインとなった映画をめぐるビジネスも各種展開されてきている中で、日本が世界に誇る“漫画”表現描写を用いて、他との差別化を図るだけでなく、漫画として新たに著作権が発生するということにも着目し、漫画の二次利用展開（海外出版＝翻訳による海外販売権、ケータイおよびIネットコミック＝公衆送信化権、商品化権、ゲーム化権、興行権、アニメ化権など）も事業の主な柱とすることを考えている。






海外展開も視野に

　漫画バンク・山田裕司社長（右写真）は会見で「既に名作映画のパブリックドメイン化したものは300タイトル以上ある。それに、日本の誇る素晴らしい漫画作家さんの力をいただいて、新たなコンテンツとして、新たな価値を創造する世界初のコミカライズという手法をとり、あわせて新たな著作権運用を生み出す、というのが我々のビジネス。初回発売の4タイトルでそれぞれ3万部、計12万部の売上を見込んでいるほか、著作権運用ビジネスとなる二次利用の部分では、すべて売れれば4タイトルで6千万円程度の売上になると考えている。この新たなコンテンツビジネスとしての可能性にも大きく期待している」と抱負を語った。また既に中国など、海外からの引き合いもあることも明らかにした。

　また総監修を務める弘兼憲史は事業立ち上げにあたり「世界の名作映画を漫画をDVDで楽しめる本書は、自分の時間を持つという余裕がやっと出てくる団塊の世代には、ぜひ、これからの楽しみのひとつとして手にしていただきたい。また、また若い世代にも、本書が名作に触れる良いキッカケとなってくれると嬉しい限りです」とコメントを寄せている。


関連企業が出資し後押し

　（株）漫画バンクは、資本金2千万円で今年3月31日に設立。企業理念は「漫画による世界とのコラボレーション」。企業方針は「日本独自文化である漫画を通じて世界に向けたコンテンツを発信する」。株主は、アニメーション制作プロデュースなどを行う「（株）OGGI」（代表取締役・遠藤朗）と、CD・DVD生産（生産量日本第5位）の「（株）オプトロム」（代表取締役・三浦一博／名証7824）、デジタルコンテンツの取引仲介などを行う「（株）コンテンツバンク」（代表取締役・峯岸俊介）、映像制作会社の「（株）グロービック」（代表取締役・木村明弘）の4社。それぞれは、漫画バンクの業務へは、OGGIが企画・宣伝・版権管理、オプトロムがDVD独占生産、コンテンツバンクが公衆送信権、海外販売権、グロービックがWEB販売、などで関わっていく予定。中期経営計画（売上規模）としては、平成20年度2億円、21年度3億円、22年度4億8千万円、23年度6億8千万円、24年度8億8千万円、25年度10億8千万円、と設定している。


パブリックドメイン（PD）とは

　知的財産権が誰にも帰属しない著作物を定義するもの。映画著作物の場合は作品発表後50年を経たものと定義される（2005年著作権法改定後は75年に期間延長された）。PDの基本は1952年までに製作されたものを指し、所有権を侵害する場合（戦時加算など）などを除き、その利用を排除する権限を有する者は存在せず、誰でも自由に利用することが可能となる。

　漫画バンクの第1弾出版物「漫画・世界名作ムービー　日本語字幕版DVD付」カサブランカ、の中にも次のように記されている（映画「カサブランカ」は1942年にアメリカで製作された）。


～本作品はベルヌ条約の規定により日本国の著作権法の適用を受ける。公開された翌年の1月1日より起算され50年目の12月31日まで保護され、その後パブリックドメインとなる。しかし、第二次世界大戦開始以前に公開された映画は戦時加算として別途約10年(正確には3794日)加算される。したがって、2002年パブリックドメインとなる。～