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アルシネテランの倒産について (vol.253)

平池記者の「競馬ときどき映画」

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アルシネテランの倒産について (vol.253)

2015年03月06日

映画会社エプコットが2日、東京地裁に自己破産申請しました。帝国データバンクによれば、関連会社も含めて20億円を超える負債があったということです。

映画ファンや業界人にとっては、社名のエプコットよりも映画配給のレーベル「アルシネテラン」の方が有名かと思います。設立は85年なので、30年の歴史を誇る老舗です。記憶に新しいのは、1億円突破の大ヒットになった『マルタのやさしい刺繍』(08年公開)でしょうか。

ただ、売上の主力は韓国ドラマのDVD販売でした。ある人に聞くと、DVD売上の9割ぐらいは韓国ドラマが占めていた時期もあったようです。しかし、大手が韓ドラ事業に参入してきたことで、買い付け額が高騰してしまい、話題の作品が獲得できなくなっていたようです(今もあまり安くなっていないとか)。しかも、周知の通り日本と韓国との関係が冷え切ってしまい、まだ韓ドラに一定の需要はあるものの、やはり売上は大きく減少傾向にあります。

その売上減を補う形で、最近はたくさんの映画宣伝を受託していました。文化通信にも様々なリリースが送られてきますが、よくアルシネテラン宣伝の作品情報が送られてきていました。少し前まで、日本の年間映画公開本数は約800本と言われていましたが、直近の2014年は約1200本と、今は公開本数が激増しており、宣伝会社は引く手あまただと聞きます。その点では、アルシネテランも宣伝受託の数には困らなかったと推測します(そのせいかかなりの激務で、人の入れ替わりも頻繁だったと聞きます)。また、最近はゲーム事業にも進出していました。

ただ、それでも韓ドラの売上減をカバーすることは難しかったのでしょう。社員さんの数も、独立系の配給会社としてはなかなかの大所帯と言える、20人以上がいらっしゃったようです。取引する会社には、昨年後半から支払いが遅れていたようで、業界内では懸念する声も出ていた模様です。

報道があったのは今週の火曜日でしたが、社員さんに正式な通達があったのは破産申請した当日の朝だったそうで、本当に最近の出来事だったようです。来週には配給作品『ディオールと私』もありますし、今後公開の他社作品の宣伝も受けているので、このタイミングは本当に驚きました。最近岩波ホールで公開していた『幸せのありか』も非常に良作だったのですが…。
負債額が大きかったですし、改めて映画ビジネスのハイリスクな側面を認識した一週間でした。


さて、金曜日なので最後に恒例の競馬予想。今週はクラシックの最重要前哨戦・弥生賞です。頭数は11頭と少ないですが、そのうち7頭が重賞勝ち馬という密度の濃い一戦。本命はクラリティスカイとします。前で競馬ができますし、戦ってきた相手もなかなかの強豪。キャリアが豊富なのも心強く、軸としては信頼できる馬です。横山騎手なので、ポンとハナに行ってそのまま逃げ切りなんて展開もあるかもしれません。

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