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ギャガ『ベイビー~』是枝監督凱旋で会見

【FREE】ギャガ『ベイビー~』是枝監督凱旋で会見

2022年06月15日
凱旋会見に出席した是枝監督 凱旋会見に出席した是枝監督

 カンヌ国際映画祭で最優秀男優賞とエキュメニカル審査員賞を受賞した『ベイビー・ブローカー』(ギャガ配給)の是枝裕和監督による凱旋記者会見が13日、スペースFS汐留で開催された。

 カンヌからプロモーションで韓国に渡っていた監督は、空港から会見場に直行。まずはソン・ガンホの最優秀男優賞の受賞について「『この作品にとって最高のゴールなんだな』と思った。その夜にパク・チャヌク(監督賞受賞)のチームと合同でお祝いしたが、みんな幸せな夜だった」と喜びを口にした。また、ソン・ガンホが韓国に凱旋を果たした様子について「空港が揺れていた。職員が職場を離れて付いてきて『大丈夫なのかな?』ってくらい、ザワザワとみんなが付いてきて、出口ではファンの方たちが待ち構えていて…。国民的スターがカンヌで韓国人初の男優秀賞を獲るのは、オリンピックの金メダル以上なんだということはわかった」と現地の熱狂について明かした。

 韓国のプロダクションでの映画制作は「我を通した部分もある」とし、「韓国はアメリカのやり方を現場で導入しているので、脚本はイン前に全て完成させて、ストーリーボードも全て書いて…ということまでしないとインしないという雰囲気だったが、現場で作っていくやり方を通したので、そのへんは僕自身は楽だった」と振り返った。

 一方で、韓国の現場で進む働き方改革は「良い方向に進んでいる」と高く評価し、「週に52時間という労働時間の上限が明確なので、4日働いて3日休むような感覚で、肉体的には楽だった」と語った。その上で「韓国の現場はほぼ20代、30代が中心。(高齢化が)悪いことばかりじゃないと思うが、韓国では僕の年齢では監督はほぼ引退して現場には立たなくなっている。改革の速さが、若々しくて元気があるけど、ある年齢層を現場から外すタイミングが早くなっており、なかなか変わらない国にいると『早すぎないか』と心配もしている」と両国の状況の違いについて言及した。

 ソン・ガンホについては、予定より早く現場に来て、前日に撮影し繋いだ映像を確認し、毎日のように監督と細かく意見を交わしていたことを明かし、「頼りになった。最終日の前くらいに『編集で僕のセリフがひとつ、実は途中で切った方が余韻が残っていいと思うから、間に合えば確認してくれ』と言われ、それは切った。結果的に本当によかった。最後の最後まで一緒に走ってくれた」と信頼と絆の強さを窺わせた。

 作品の結末について、従来の是枝作品よりも「希望」を感じさせるという声が多いことについて、是枝監督は「よく言われる」とうなずきつつ「僕自身はそんなにハッピーエンドとは思ってない。希望が感じられるとすると、お客さんを含めウソン(赤ん坊)を見る目線が、最初よりも優しくなっているからじゃないかと思う」と語った。6月24日(金)公開。

※記事は取材時の情報に基づいて執筆したもので、現在では異なる場合があります。