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【Vol.3】中川コロナに日本初の4DX™

映画部デスクの「映画興行あれこれ」

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【Vol.3】中川コロナに日本初の4DX™

2013年04月26日
 久しぶりに名古屋へ出かけました。その目的はもちろん、中川コロナシネマワールドに導入された日本初の上映システム「4DX™」を体験するためです。内覧会があったのが4月22日のこと。週明けの月曜日。連休前でなんだかバタバタしている。社内事情を付け加えると、月刊文化通信ジャーナル5月号の校了日というのもあって、慌ただしかったのですが、午後イチくらいには会社を出て、16時頃には中川コロナに到着。16時半スタートには間に合いました。劇場を後にする時には、行った甲斐は十分あったな、と思える4DX™体験でした。

 4DX™は、3Dのその先、つまり4D(=体感型)の映画鑑賞を演出するための上映システム。韓国のCJ 4D PLEX社が開発しました。シーンに合わせて前後・左右・上下に動く座席。この座席には、お尻や背中を叩いたり、揺らしたりする機能も付きます。そして、水や風、光やシャボン玉などによる環境演出効果。こうした座席と環境演出のダブル効果が臨場感を生み出し、観客は映画の世界に没中することになります。アトラクション的な、イベント参加型の映画鑑賞方法と言えるでしょう。

 “映画館離れ”が言われる昨今。コロナは“映画館でなければならない”という動機づけを、様々な側面から行っています。その一つが、今回の4DXということになります。

 内覧会当日は、『アベンジャーズ』(3D吹替)の4DX™版を鑑賞したのですが、座席の動きは予想以上に大きく、油断をしていたら振り落とされるのではないかと思うほど。ハルクの登場シーンが特に激しく、ドリンクを飲む時には、覚悟が要りました(※飲食は控えてほしい旨の注意書きが出るが、ドリンクホルダーは付いている)。耳元を通り抜けるエアー(銃声の場面)の演出や、顔にかかる水しぶきには驚きました。なるほど、こういうことか…。4DX™の各種演出について、得心したのでした。

 この4DX™、好き嫌いが分かれるはずです。やはりハリウッドを中心としたアクション系の大作が、より効果を発揮する。主なターゲットは若いカップルでしょう。その時々の一番の話題作を見るような人たち。映画館の観客としては、ライトな層だと思います。一方でヘビーユーザーは、あまり好まないような気がします。映画を好きな人こそ、じっくり映画を見たいものですから。

 料金設定を、プラス1000円としたところがミソです。同じ名古屋市内では、ワーナー・マイカル・シネマズ大高が動く座席「D-BOX」を先行して導入していますが、こちらも1000円。コロナとしては、同じ料金設定ながら、座席が動くだけでなく、各種演出効果まで楽しめる…そういったお得感を打ち出す戦略も読み取れます。

 4DX™(112席)が初めて営業稼働した4月26日、『アイアンマン3』(3D吹替)4DX™版の動員は予想以上に良く、27日~29日の3連休はフル稼働しそうな勢いとのこと。その成否を判断するのは早計ですが、まずは、幸先の良いスタートとなりました。

 映画館でなければ、体験できないサービスを提供しよう。コロナの、そんな果敢な試みを応援したいと思います。




松本 貴則(まつもと・たかのり)  映画部デスク 兼 サイト事業部所属

2000年、シネコン担当記者として入社。その後、配給会社などへも取材範囲を広げるが、取材のベースは興行に置いている。2011年から映画部デスク。趣味はスポーツ観戦、読書。




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