【注目!!】株式会社フラッグ:①パブリシスト(オフライン)②広告プランナー
株式会社サーティースリー:アカウントエグゼクティブ
キュレーターの存在欠かせない時代に
「劇場用映画のデジタル配信の発展と期待」と題した基調講演に登壇したのは、ニューヨークを拠点としたデジタル配給会社「エマージング・ピクチャーズ」のマネージング・パートナーを務めるアイラ・ドイッチマン氏(=右写真)。
ドイッチマン氏によれば、現在、映像コンテンツのビジネスモデルは、地上波TVやユーチューブなどに代表される、広告料やスポンサー料で運営する「無料型」と、劇場公開やVODなどの「ペイパービュー型」、ケーブルTVや、配信会社ネットフリックスなどが取り入れる月額制(定額制)の「サブスクリプション型」、DVDやダウンロードなどの「所有型」の4つに集約されるという。
また、今後の映像配信(映像業界)には、乱雑する情報・作品を整理し、推奨する能力のある「キュレーター」の存在が欠かせないとし、講演時間の大半をキュレーターの説明に割く熱の入れようを見せた。それによれば、従来のキュレーターと言えば「批評家」や「映画祭」などが挙げられるが、米国の場合、映画批評欄のある新聞は数社を残してほとんどが消滅していまい、批評ブロガーについても信頼性に問題があるとした。映画祭は、特定分野やニッチなジャンルで需要があるものの、世界のほとんどの主要都市で開催されているほど映画祭が急増してしまい、正確な価値を精査する必要性があることを示唆した。
さらに、その他の従来型キュレーターとして、HBOなどケーブルTV局の番組編成を差す「ディストリビューション・チャネルのコントロール」や、「口コミ」を挙げた。口コミに関しては、近年は噂が広まる前にコンテンツが消費されてしまっていることから、現在の市場では機能しづらくなっていると指摘した。
一方、これから主流になると予想される新しい形のキュレーターとして、はじめに「コンピュータ・アルゴリズム」があるとした。Amazonで「この商品を買った人はこんな商品も買っています」と表示される機能や、ユーザーの趣向に合わせて自動でTV番組を録画してくれるデジタル録画機「TIVO」などを例にとり、様々な情報を整理し、コンピュータが自動で推奨するタイプのキュレーターの台頭を挙げた。次に「ソーシャル・メディア」も新たなキュレーターになるとし、ユーチューブやIMDBのレーティング、フェイスブックの「いいね!」機能などを例に挙げた。さらに、「オピニオン・アグリゲーター」という、批評まとめサイトもキュレーターになると述べ、ジャーナリストの映画批評を集めて採点するサイト「ロッテントマト」や、ドイッチマン氏が運営するツイッターの映画批評まとめサイト「ムービー・ツイービューズ」などがその役割を担っているとした。
また、日本では「ドリパス」で浸透し始めている「ユーザー主導型上映」も有効だとした。ユーザーからリクエストを受け、一定数の客が集まることが保証されれば上映が実現するというフラッシュマーケティングのことを差し、ブラジルでは「ムービーモズ」、アメリカでは「タグ・ギャザー」というサービスが存在するという。ドイッチマン氏は「このコンセプトが大好き」とし、「友人を誘って映画に行く。あなたがキュレーターになれる」と語った。
最後にドイッチマン氏は、「キュレーターは将来、今の映画配給会社のような存在になると思っている」と独自の考えを述べ、様々なメディア、様々な作品が世に溢れる中で、「自分の好きなものをどこから探し出すか、そのキュレーターを誰がやるのか?が重要になる」と締めくくった。
ニワンゴ杉本氏「ソーシャル・メディアがキーワード」
続いて、映像配信に携わる業界人4名によるパネルディスカッションが行われた。出席したのは、ニワンゴの杉本誠司社長、フールージャパンLLCのバディ・マリーニ日本代表、ヨウク・トゥードウ・インクのシュ・フイロンシニア・ヴァイスプレジデント、GyaOの神谷寿彦社長室長。モデレーターを遠山友寛弁護士が務めた。

(左より杉本誠司、バディ・マリーニ、シュ・フイロン、神谷寿彦の各氏)