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【Vol.23】高知県の映画祭、イオンEがサポート

映画部デスクの「映画興行あれこれ」

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【Vol.23】高知県の映画祭、イオンEがサポート

2013年11月12日
 イオンエンターテイメント(イオンE)が、現在開催中の第1回「四万十おきゃく映画祭」(主催:四万十おきゃく映画祭実行委員会)を全面的にサポートしている。

 この映画祭は、高知県四万十市内の8会場で11月9~17日の9日間にわたって開催。“おきゃく”とは、土佐流の宴会を指す。冠婚葬祭など事あるごとに大勢で集まっては、皿鉢料理(旬の食材を何でも豪快に盛りつける大皿料理)を囲んで親交を深める。誰でも気さくに参加できる宴会で、映画祭にもこうした“おきゃく”の精神が込められている。

 8月の前哨イベント「かげろう映画祭り」に続き、今回の映画祭にもイオンEは協賛している。また、8会場のうち3会場に自社所有のデジタルプロジェクターを提供し、映写技師の派遣も行っている。上映ラインナップは多彩だが、作品調達にあたっては、主催者が配給会社と交渉する際の手伝いもしているようだ。

 この件のリリースを受け取って不思議に思ったのは、なぜイオンEなのかということ。イオンEは全国に74劇場を運営しているが、高知県ではゼロ。どういう接点があって、実現したのだろうかと―。

 イオンEは各都道府県の企業と様々な形でコミュニケーションを取っており、その過程で偶然、映画祭の実行委員会と知り合った。高知県西南部の幡多地区は2005年3月に中村太陽館が閉館して以来、映画館ゼロの状態が続く。映画文化が消えつつある中で、実行委は「映画館のないエリアで、是非とも映画祭をやりたいんだ」との熱い思いをイオンEに伝えた。

 “エンターテイメントのプラットフォームを目指す”と標榜しているイオンE。映画館のない地域で行われる映画祭をサポートし、その地域の人々に喜んでもらうことは、その目標達成の一つの形になる。そんな思いもあって、映画祭へのサポートを決めた。今回派遣された映写技師からは、「こんなに近くで映画を見ることができて嬉しいというお客様の声を聞いて、自分自身の気持ちも充実している」とのポジティブな感想が届いた。

 イオンEが前述したような各地の企業とのコミュニケーションを積極化したのは、今年の7月以降のこと。ワーナー・マイカルとイオンシネマズが経営統合し、イオンEが新設されてからである。

 新会社をスタートさせて以来、活発な動きをみせているイオンEだが、企業としての新しいあり方が今回の映画祭のような形に表れたことに驚いた。



松本 貴則(まつもと・たかのり)  映画部デスク 兼 サイト事業部所属

2000年、シネコン担当記者として入社。その後、配給会社などへも取材範囲を広げるが、取材のベースは興行に置いている。2011年から映画部デスク。趣味はスポーツ観戦、読書。






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