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『劇場版 ゆうとくんがいく』を企画・プロデュース、白組・小池賢太郎チーフプロデューサーに聞く

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『劇場版 ゆうとくんがいく』を企画・プロデュース、白組・小池賢太郎チーフプロデューサーに聞く

2014年05月27日

小池氏.jpg


 日本を代表するサッカー選手、長友佑都選手が監修した『劇場版 ゆうとくんがいく』。長友選手をモデルにした主人公「ゆうとくん」の成長物語で、「観れば元気が湧いてくるエナジーアニメ作品」を標榜する。サッカーのワールドカップ ブラジル大会を目前に控え、5月31日より全国のイオンシネマで独占上映される。
 企画・プロデュースを手掛けた白組の小池賢太郎チーフプロデューサーに聞いた。





キャラ開発からショートアニメ、そして劇場版へ


 ――『劇場版 ゆうとくんがいく』は、ケーブルテレビやCSで放送されているディズニーXDのショートアニメ「ゆうとくんがいく」の映画化です。制作プロダクションは白組で、小池さんが企画・プロデュースを担当しています。このシリーズの企画の成り立ちを教えてください。

 企画のスタートは2012年の春頃。ひょんなことから長友さんとの関係ができ、最初のキャラクター開発から携わりました。長友さんは「頑張るスポーツ選手ランキング」がとても高く、スポーツ選手のキャラクター化を目指す場合、最も相応しい人だと思いました。頑張っている感じが一番よく出ていて、小さな体で大きな相手とぶつかっていく姿、一生懸命に走る姿が象徴的です。そして、努力を続け第一線にいる長友さんの言葉は説得力があり、ウソがない。子供たちにも何か訴えかけるものがあるのでしょう。長友さんの了承を得て、何タイプものキャラクターを作りました。このキャラクター開発時から本人が監修を務め、今回の劇場版までシリーズ全体を見てもらっています。

 ――キャラクター開発に続いて、ショートアニメを作りました。

 順を追って、丁寧にやっていこうという方針です。いきなり長いものだとビジネス上かけにくいという問題もあり、配信などでも展開しやすい1分のショートアニメを全26話作りました。長友さんには面白いエピソードがたくさんあったので、各話に長友さん自身のエピソードを相当数入れ、見てもらいやすい内容を目指しました。その放送をディズニーさんにオファーしたところ、快諾をいただき、2013年6月から放送を開始しました。いずれは劇場版をやってみたいという思いは当時からありましたが、まずはショートアニメをビジネスとして成功させるのを最優先に考えていました。

 ――ショートアニメから次のステップ、劇場版に進みます。

 2013年10月頃、劇場版の製作を決めました。放送から4カ月くらいが経過して、視聴者の反応が良かったのが、劇場版製作を決めた理由の一つです。また、イオンエンターテイメント(イオンE)さんからファミリー向け作品を積極的に上映していく旨を聞いたので、「ゆうとくんがいく」の劇場版を提案したところ、是非やりましょうと快諾していただきました。お父さんやお母さんと子供たちで観られる、健全なものを上映したいというイオンEさんの意向にもピッタリ合いました。


長友佑都選手のポジティブなメッセージを伝える

 ――ショートアニメと劇場版では、何か違うメッセージを込めたのですか。

 メッセージは、ショートアニメも劇場版も同じです。最後までやり抜くことが大切であること、諦めないで頑張れば夢がかなう、こういったポジティブなメッセージを一貫して伝えていきます。ただ、その方法は違います。ショートアニメは1分の中に、格言のようなものをつけて、それが実感できるような物語を作る。長友さんの小さな頃からのエピソードを積み上げていく感じで全26話を作っていき、シリーズ後半でようやく大人になる。大学時代、20歳でもレギュラーになれず、太鼓を叩いていた時のことなど、苦しい頃のエピソードも含めて、26話を通じて面白おかしく描いていきました。

 一方、今回の劇場版はスジを一本通して、起承転結をつけて、テンポよく、観やすい形を目指しました。大人になったゆうとくんが主人公の映画オリジナルストーリーで、みんなのよく知る現在の長友選手につながります。イタリアのプロチームに所属する主人公が、強力なライバルの出現に挫折しながらも、やがて壁を乗り越えていく様を描きます。ショートアニメのシリーズを観ていればなおさらのこと、映画だけでも十分に楽しめる内容に仕上げました。長友さん本人が、完成した劇場版を観て「これは、僕自身だ!」と言ってくれているので、まさに長友選手のアニメ映画としてアピールできます。

『ゆうとくんがいく』.jpg

 ――今回はイオンシネマ独占での上映ですね。イオンEは興行会社の中でも、特にファミリー向けのコンテンツに力を入れています。

 『劇場版 ゆうとくんがいく』は、新幹線や電車(『れっしゃだいこうしん』シリーズ)、水族館(こどもの映画館シリーズ第1弾『沖縄美ら海水族館~海からのメッセージ~』)など、イオンEさんがファミリーに向けて独自に色々やられている一環だと思います。ですので、尺も子ども用に53分と短く、観やすく飽きないものを重視して作りました。イオンEさんはファミリー向けのノウハウをお持ちで、実際にこれまでに何作品も成功させているので、宣伝部分についてはイオンEさんにほぼお任せしています。イオンE本部で指揮をとりながら、劇場ごとでも動いている。地域住民に営業したり、色々なところに足を運んでチラシを置いてもらったりと、丁寧に宣伝していただいています。TVスポットを打てるような大きな予算のある映画ではないので、こうした地道な宣伝活動がとても大事です。

 イオンEさんの劇場は、その大半がイオングループのモールに併設されているのも強みですね。この映画は、劇場とモールの客層にも合致しています。家族で買い物に来て、ちょっと映画館に寄って、上映時間が1時間弱で短いし、サッカーのワールドカップも近いし、長友さんも頑張っているし、じゃあ観てみようか…といった無理がない感じ。長友さんってこういう人なんだと知って、実際に彼がピッチで頑張っている姿を応援するのはいいですよね。


興行的にヒットさせて劇場版第2弾を製作したい

 ――どのような人に観てもらいたいですか。

 幼稚園児から小学1、2年生くらいまで、特に男の子に向けて作っています。実は、「お父さん」という裏テーマがあって、世の中のお父さんたちにも是非観てほしいと思っています。会社で上手くいかない、昇進することを諦めて、今の生活を維持すればいいというようなお父さんに、説教くさくならない形で長友さんのメッセージを伝えたい。子供と一緒に、お父さんも頑張るぞと前向きになってくれればと期待しています。

 ――6月に開幕するワールドカップより少し早い5月31日公開です。

 ワールドカップの前に封切ることが前提条件でした。逆算すると相当きついスケジュールで、本当に完成できるのかと焦りもありましたが、アニメ制作の新しいワークフローを発見するなどして、なんとか5月15日に初号試写を迎えました。映画は最後「さあ、いくぞ」という感じで終わりますが、これはワールドカップに向かうことを暗示しています。映画を観て、その延長上でワールドカップの長友さんを見る。そういう流れができれば嬉しいですね。上映期間は1カ月の予定ですが、お客さんが多ければ延びるだろうし、それは劇場さん次第。本音を言えば、日本代表がワールドカップの予選を突破して決勝トーナメントまで進んで、映画も上映期間を延長できれば理想的です。

 ――「ゆうとくんがいく」シリーズは、次の展開があるのですか。

 白組としては劇場版の第2弾を作り、それ以降も50分のサイズで定期的に展開できればと考えています。サッカーに限らず、キャラクターが独自に走っていけるような展開を構想中です。長友さんの魂を受け継いで、彼と同じ感性を持ち、同じことを考え、頑張るキャラクターが、新しい世界に飛び込んでいく。ゆうとくんというキャラクターであれば、多様な展開が可能だと思っています。そのためにも、今回の劇場版を興行的にヒットさせなければなりません。公開直前の5月28日にはイオンシネマ板橋(東京都板橋区)で完成披露試写会を開催予定で、主題歌のフェアリーズとスペシャルゲストが登壇して、映画の公開、そしてワールドカップ開幕に向けて盛り上げを図ります。

 今回、『劇場版 ゆうとくんがいく』を製作し、完成した作品を見て、作り手である我々も泣きそうになりました。映画を苦労して作っても当てることは簡単ではないし、気分が落ち込むこともありますが、ゆうとくんの諦めない姿、壁を乗り越えていく姿に励まされ、我々も頑張ろうと奮い立ちました。我々としても特別な思いを込めた作品であり、子供たちやその親世代にどう受けて入れてもらえるのか。その反応がとても楽しみです。(了)

(C)チームゆうとくん



【小池 賢太郎 氏 プロフィール】


 1968年9月12日、東京都生まれ。制作プロダクション㈱白組で映画の企画制作を担当するチーフプロデューサー。主なプロデュース作品としては、本木克英監督作品『すべては君に逢えたから』(13)、是枝裕和監督作品『奇跡』(11)、滝田洋二郎監督作品『釣りキチ三平』(09)、共同プロデュース作品として、新城毅彦監督作品『ただ、君を愛してる』(06)がある。
 また、2014年6月にはプロデュース作品である前田弘二監督作品『わたしのハワイの歩きかた』の公開が控えている。本作『劇場版 ゆうとくんがいく』で初のアニメ映画のプロデュースを担当した。


『劇場版 ゆうとくんがいく』概要

■監修:長友佑都
■企画・プロデュース:小池賢太郎
■プロデューサー:山田周
■監督:ヒグチリョウ 太田和彩
■脚本:溝井英一 デービス
■配給:イオンエンターテイメント
■制作プロダクション:白組
■制作協力:スポーツコンサルテイングジャパン
■料金:前売=親子ペア券1700円/こども券800円 当日1000円均一(2歳以上)



取材・文/構成 : 松本 貴則


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