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【Vol.42】ジャッキー主演作、TOHOとイオンだけで公開

映画部デスクの「映画興行あれこれ」

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【Vol.42】ジャッキー主演作、TOHOとイオンだけで公開

2014年06月06日
 本日、ジャッキー・チェン主演作『ポリス・ストーリー/レジェンド』(配給:ブロードメディア・スタジオ)が公開されたが、注目点の一つが同作のブッキングだ。TOHOシネマズみゆき座をアタマに、TOHOシネマズ(シネマメディアージュ含む)とイオンシネマに限定した劇場取りで、全国130館を押さえた。5スクリーン以下のイオンシネマを除く、2社の全館で上映する。

 シアターマーケティングについても、配給と興行の協力態勢のもと、相当に力を入れた。例えば、予告編の上映。原則として、3月中旬から約3カ月間、130館の全スクリーンにおいて予告編を上映してきた。1館あたり8スクリーンだとしても、ざっと1000スクリーン以上。そこで、連日5~6回ずつは上映されたことになろう。

 5月末にはイオンシネマで全国一斉試写会を開催。その告知は映画館だけでなく、映画館の併設するショッピングセンター内など、様々な場所・媒体で行っており、広範囲にわたって作品の認知度を高めた。

 また、同作は「ジャッキー・チェン生誕60年記念」という冠をつけており、メイン館のTOHOシネマズみゆき座でジャッキー過去作のポスター展を実施中。サイン入りやレアものもある。TOHOシネマズ全体では、豪華グッズが当たるプレゼントキャンペーンも行っている。

 今回のブッキングに対しては、色々な切り口、見方があろうかと思う。都道府県ごとに見た場合、福井、鳥取、島根、徳島、宮崎、沖縄の各県には2社の劇場がない。セカンドで上映するかもしれないが、すぐに夏休みに入るし、どうなるか。一方、2社の映画館の中には商圏が重なるケースも多々ある。神奈川県の海老名は顕著な例で、2社のシネコンは徒歩2、3分しか離れていない。

 また、ジャッキー主演作であれば、興行的にもある程度の安定感があるので、「上映したい」と手を挙げた興行者もあっただろうと想像する。配給と興行の関係は、1作品で終わりではなく、継続的なものだから、今後が少し気になるところでもある。

 日本の興行会社で、TOHOシネマズは売上が1位、スクリーン数が2位。イオンシネマ(イオンエンターテイメント)は売上が2位、スクリーン数が1位。今回「2社が手を組んだ」という表現は大袈裟かもしれないが、2社だけで上映するのは事実であり、この事象には興行会社を取り巻く様々な思惑、事情があるように思える。まずは、『ポリス・ストーリー/レジェンド』の興行の行方に注目したい。

 公開直前の前売券の伸び率は、ジャッキーの前作『ライジング・ドラゴン』と比べ遜色がなかったという。前売券といえば、特典として日本語吹替版に声優として参加できる権利を1名にプレゼントしたことが話題となったが、実際の興行では上映館に吹替版と字幕版の両バージョンを提供、その割合は劇場サイドに一任する。石丸博也によるジャッキーの吹替はお馴染みであり、吹替版の上映回数が過半数となる見込みとのことだ。




松本 貴則(まつもと・たかのり)  映画部デスク 兼 サイト事業部所属

2000年、シネコン担当記者として入社。その後、配給会社などへも取材範囲を広げるが、取材のベースは興行に置いている。2011年から映画部デスク。趣味は空手、サッカー、野球、スポーツ観戦、読書。





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