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【大高宏雄の興行戦線異状なし Vol.161】
イーストウッド監督よ、ここまで苦労しています

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【大高宏雄の興行戦線異状なし Vol.161】
イーストウッド監督よ、ここまで苦労しています

2014年09月30日

 クリント・イーストウッド監督は、この国では不当に評価されている。ちょっと呆れ返るほど、毎回、圧倒的な評価を得ている作品の中身の話ではない。興行のことである。こんなことが、初日にあったのである。

 新宿ピカデリー。私は、ある作品が、ここと新宿ミラノで同時上映されている場合、基本はミラノに行くことにしている。閉館間近のミラノには、これまでの恩返しの意味からも、私は行かなくてはならないのである。「猿の惑星 新世紀(ライジング)」も、ミラノ1で観た。

 さて、新宿ピカデリーに、イーストウッド監督の新作「ジャージー・ボーイズ」を見るために、初日の9月27日に赴いた。残念ながら、ミラノでは上映されていない。午後2時40分の回を目指した。難しい気がした。それほど、座席数の多いスクリーンでは上映されていないだろう。この時間帯では、すぐに埋まる(満席になる)可能性が高い気がしたからだ。 案の定であった。諦めた。

 驚くのが、次の回が、午後6時40分だったことだ。間が、空き過ぎる。当然、それを知って、ここに赴いてはいる。ただ、なぜ午後4時台あたりの回を組んでくれないのか、不思議だった。地方の話ではない。日本一のシネコンの話である。呆れ返るほど、圧倒的な評価を得ている「ジャージー~」の話である。私のような “はぐれもの” が、相当いただろうと推測する。

 こんなこともあろうかと、新宿武蔵野館かシネマカリテに行く気持ちの準備はしていた。行った。エレベーターを降り、武蔵野館の入り口付近で、番組と時間を調べていた私は、愕然とした。すでに始まったばかりの作品も多く、以降もすべて時間が合わないのである。

 シネマカリテに行った。ここも、ダメであった。難しいものだ。ちと、甘かったか。さあ、どうするか。見ていない「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」が、午後3時50分からミラノで上映されるではないか。これだ。やっぱり、ミラノに行き着く運命なのである。

 話は続く。「ガーディアンズ~」を見終り、懲りもせず、午後6時40分の回の新ピカを目指したのである。これも、ダメであった。ミラノでばったり会い、新ピカまで同行してくれた配給会社の女性もいたのだが、このわが惨澹たる状態に呆れ顔であった。

 すべて、新ピカでの「ジャージー・ボーイズ」の “上映形態” が、この日のわが映画ストーリーを作ってくれた。感謝している。わけがない。イーストウッド監督よ。日本の映画ジャーナリストが、あなたの映画を見るのに、ここまで苦労しています。

(大高宏雄)

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