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自立目指す地方局、全国型の動きへ

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自立目指す地方局、全国型の動きへ

2011年07月21日
 地方の民放テレビ2社が先頃、それぞれ東京で放送業界紙記者との懇談会を開いた。デジタル時代をどう生き残るか。とりまく環境が一層厳しくなる中で、キー局依存の脱却はローカル局にとって共通の課題。2社のうち1社は、少なくとも近年、都内で記者懇談会を開くようなことはなかった。放送業界紙を通じて、その取り組みと成果を業界にアピールしようというものだ。

 弊社も両社の社長懇談会に出席。私は一方に出席したが、用意されたプロジェクターで自社制作番組を流すなど強力に番宣する。広告会社などのプレゼンにも一層注力した取り組みも紹介し、これまで以上に媒体アピールに力を入れている熱さを感じた。

 地方ローカル局は地域密着型に変わりないものの、事業の拡大・多様化に取り組む。そのため地域密着番組だけでなく、全国発信して収入の拡がりを図る動きがより活発になりつつある。番組発のマルチ事業展開だ。東京での営業がより重視され、それは広告に限らなくなって新たなビジネスの模索を図るもので、こうしたPR活動が重視されている。

 両社は幸い10年度決算は順調に推移するも、苦戦するローカル局は少なくない。広告収入も伸び悩み、先行きは厳しい見通しだ。デジタル時代にあって多メディアとの競争激化が背景にある。HUTの低下傾向も見られるようになった。その中で、地方局においても「その他」視聴率が上昇している。「その他」とはBS・CSの衛星放送などを合算した視聴率。とくにBS放送の視聴が着実に上昇し「その他」を押し上げていると見られる。地上波番組の視聴率への影響が今後懸念されるところ。

 ただ、逆に地方局はBS局との共同制作を推進し始めた。系列のBS局が一部資金も提供し、全国発信する枠を整えはじめ、これに地方局が参加する動きがこの1、2年活発になってきた。海外を睨む地方局も少なくない。とくにアジア。観光誘致も視野に行政との連携で推し進める局も一部で成果を見せ、各局が注視する。

 自立を目指す地方ローカル局。地域密着型にプラスした全国型、さらには海外発信へとした動きが今後活発になりそうだ。

(戎 正治)

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