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『第1回Dpa川柳』入賞作品決定 デジタルTVに皮肉もたくさん

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『第1回Dpa川柳』入賞作品決定 デジタルTVに皮肉もたくさん

2013年01月15日

 デジタル放送推進協会(Dpa)は、「デジタルテレビ」をお題に募集した『第1回Dpa川柳』の入賞作品を発表した。

■優秀賞 「リモコンと 妻の操作が わからない」(光風雫)。
 
 サラリーマン川柳にもあるように、強き奥様になぞらえて詠むパターンはどこも同じなようで、ご年配の方がやや複雑になったリモコンを手に困惑している様子が目に浮かぶ。

 『第1回Dpa川柳』は、昨年3月末の完全デジタル移行にちなんで企画された。少々コアなお題ながら、昨年12月20日までの1ヶ月の募集期間に1116句もの投稿があった。一人で複数応募も少なくないが、意外に多いのではという印象だ。12月28日選考会を行い、優秀賞のほか、佳作5作品が決定した。佳作5作品は以下のとおり。

■佳 作 「地デジ化で 家族の時間が 少し増え」 (ひろバラ)
     「「お天気は?」予報待たずに dボタン」(じゃらく)
     「ワンセグが 距離を縮めた 初デート」 (とんぼ)
     「トークより メイク気にする 女性アナ」(となみ)
     「母と見た アナログテレビ 捨てられず」(かよかよ)

 デジタルテレビが視聴者にどう捉えられているか、それぞれの想いが読みとれる。デジタルテレビの特徴である、高画質、データ放送、視聴者参加型などを喜んだものもあれば、皮肉ったものもあり様々で、家庭でのデジタルテレビの在り様が見えてくる。

 Dpaのホームページには全1116句が掲載されている。すべて目を通すのは大変だが、入賞作品以外でも、感心するものも少なくなく、いくつかチョイスしてみる。

 「試合より 観客席を 見てしまう」
 「美術館 行かずに済ます デジタル化」
 「テレビ見て 芝を読んでる ゴルフパパ」
 「鮮明な 画質に猫が 飛びついて・・」

 いずれも高画質化を詠んだ句で、あるあると頷いてしまう。一方で、やはり、こんな句もずらりと寄せられた。

 「しわとシミ 隠す技術も 進歩する」
 「ぼやかして! くっきりわかる 厚化粧」
 「シワ目立つ 女優の顔に 安心感」

 今後4Kや8Kといったスーパーハイビジョンが出てきたら、女優さんや女性タレントたちはもっと大変だな。

 データ放送や視聴者参加型を詠んだ句も多い。
 「誰だっけ お世話になります dボタン」
 「情報を 見たらテレビに 戻せない」
 「参加型 田舎の僕も 参加出来」

 このほか、
 「政局に 白黒つける デジタル波」 テレビ局報道への期待の表れも。
 「今買えば 三台買えたと 愚痴が出る」 実感こもった句でしょうね。
 「初任給 親への気持ち よく映す」 こういう方、けっこう多いのでは。

 地デジだけでなくBS放送やCS放送も見られるようになって、多チャンネル放送を歓迎する句も多い。
 「毎日が テレビ鑑賞 寝不足で」
 「地上波を 捨ててBS 巡る旅」
 「名作は アナログのままで 生きている」

 名作は色褪せることなく今も胸に鮮明に輝く。いつの時代になってもアナログな心を描かなければ響かない、という痛烈な批判かもしれない。

 一方、苦言もあるようで、
 「BSは 韓流だらけ 何じゃこれ」
 「韓流が 主流ですか デジタルは」
 「高画質 再放送が 新ドラマ」とか。

 個人的に気に入った作品を紹介すると
 「初恋の 君が好きな ドラマ見てる」 
 懐かしいドラマを、あの頃の想いを持って見る心情が、なんとも気持ちを擽ります。

 さて、優秀賞の句にもあったが やはりお年寄りにはデジタルテレビは難しく、まだまだ理解されていないところも。
 「地デジとは どこの寺だと 聞く祖父母」
 「デジタルは 「何チャンネル?」と 祖母が言う」
 「リモコンの 数字以外は 押さぬ父」
 「デジタル化 苦手な機械 またも増え」
 「ボタン増え 元のところに 戻れない」

 これが現実の一端であって、高齢化社会の中では、操作性の改良は課題なようだ。

 さらに、こんな句もあった。
 「若者の テレビ離れは 何故だろう」

この先、将来に重く響かなければいいと思う。

(戎 正治)

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