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「CDショップ大賞」って!?

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「CDショップ大賞」って!?

2011年01月19日

 音楽業界には「日本レコード大賞」を始め「有線放送大賞」や「日本ゴールドディスク大賞」などがある。それぞれに、意味があって回を重ねている。そういった中で、単純に「これは誰のための何のための大賞?」と、毎年のように疑問に感じているのが「CDショップ大賞」である。

 今年も、あす20日に授賞式が行われる。しかし、この賞の狙いがイマイチ分からないのだ。

 この賞は、CDショップの店員で組織している「全日本CDショップ店員組合」が「売りたい」「聴かせたい」邦楽アルバムを選んで「大賞」を与えている。しかし、その入賞アーティストを見ると、価値観の違いはあるにせよ、どうにも僕には理解できないのだ。

 と言うのは、この「ショップ大賞入賞作品」の作品というのが…

●andymori「ファンファーレと熱狂」
●小林太郎「KiKUUiki」
●サカナクション「友だちを殺してまで。」
●世界の終わり「EARTH」
●ナオト・インティライミ「Shall we travel??」
●七尾旅人「Documentary」
●FAT PROP「THE DIE IS CAST」
●星野源「ばかのうた」
●The Mirraz「TOP OF THE FUCK’N WORLD」

 この11作品で、この中から、あす「大賞」が決まるんだとか。

 音楽ファンに聞くと、「世界の終わり」とか、評価が高い。しかし、この入賞ラインナップには違和感を感じてしまう。

 CDショップ店員が、CDセールスが低迷し続ける中で、その現状と深刻さに危機感を感じて「CDショップ大賞」を創設したのだったら理解できる。それだけに、この大賞というのは「行かなきゃ会えない音がある」をスローガンに掲げ、CDショップ店員が「この作品を心から売りたい」「お客に絶対に聴いてもらいたい」と感じるアルバムを選んでいるという。しかし、選ばれた作品というのは、思わず「これって何なの?」である。

 僕には、この大賞というのは「CDショップの主要拡大」と言うより、ショップ店員の単なる趣味の延長のようなものに思えて仕方がない。正直言って、CDショップの現状を考えたら、CDを売るにはどうしたら効果的かを考えるべきであって、こんなことやっている場合じゃないだろう…思ってしまう。

 音楽は好みだし、価値観の問題である。何を聴いて選ぶかは自由だろう。しかし「2011 CDショップ大賞」とタイトルしていて、しかも、日本レコード協会までがバックアップしていているわけだから…。どう考えても、ラインナップが対象のメーンになること自体が僕には理解できないのだ。そう考えたら、この大賞の選考基準も分からないし、全国のCDショップ店員が、この賞を創設してまで何を目指そうとしているのか、ビジョンや狙いも分からない。

 昨年は、大賞にTHE BAWDIESの「THIS IS MY STORI」が輝いた。しかし、その一方で、洋楽の大賞はレディー・ガガだった。この受賞を見ても理解できなかった。邦楽は「行かなきゃ会えない音」だろうが、洋楽は「行かなくても会える曲」ではないか…。もちろん、店員が選んでいるのだから何とも言えないのだが。

 あしたの授賞式で、前述の11作品の中からどの曲が大賞に選ばれるのかは分からないが、やはり「CDショップ大賞」としている以上は、常識的にはCDショップに貢献したアーティスト、あるいは作品に対して、ショップ店員が敬意を示して贈るべきだと考える。

 確かにセールスと言う部分においては日本レコード協会が認定した「日本ゴールドディスク大賞」もあるが、CDショップに貢献した作品は、そういった数字だけじゃないという部分もあるはず。だとしたら「日本ゴールドディクス大賞」では嵐だったかもしれないが、「CDショップ大賞」はAKB48、あるいはEXILE、いきものがかりとなるかもしれない。

 いずれにしても、もっと現状を直視した賞にすべきだろう。ま、今のままなら「CDショップ店員が選ぶアルバム大賞」というタイトルに変えたほうがいいかもしれないが…。

渡邉裕二

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