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座談会/ユナイテッド・シネマ 営業統括本部 企画編成部 3室長

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座談会/ユナイテッド・シネマ 営業統括本部 企画編成部 3室長

2011年08月05日

「企画編成部」新体制で“攻め”の姿勢



新規事業開発室 室長  田部井 悟
企画編成室 室長  須藤 隆治
シアター事業・ODS開発室 室長  川辺 淳雄




 ユナイテッド・シネマ(株)は、宮田昌紀
社長就任から4年間で、映画興行事業において一定の収益性を常に確保できる“しなやかで筋肉質な体質”への変革を進め、成果を上げてきた。

そして、更なる収益性と確かな成長性を確保するためには、デジタル化投資(DLP、3D、衛星・通信インフラ等)を行い、ODSを新たな収益の柱に育てることが不可欠であると判断。2011年4月、デジタル化、ODS強化などを推進すべく、営業統括本部(本部長:関本信)「企画編成部」内の組織変更を実施した。

一つは、広告部門のシアターメディア室と、新たにODSコンテンツの調達、企画開発の専任スタッフで構成した「シアター事業・ODS開発室」(室長:川辺淳雄/人員:6名)。

また、番組編成室とシアターマーケティング室を統合した「企画編成室」では、今まで以上に、編成担当者とインシアター担当者が有機的に繋がり戦略的な番組編成、インシアター宣伝を行う体制を整えた(室長:須藤隆治〈企画編成部 部長〉/人員:10名)。

さらに、従来行ってきた“シネマプロットコンペティション”や“ご当地映画の製作”など映画ファンの育成、映画ファンの“夢”をプロデュースする「新規事業開発室」。UCが企業ビジョンに掲げる“夢の発信源=映画館”をカタチにしていく専門セクションとして、今後、様々な企画開発を行っていく(室長〈兼〉:田部井悟〈理事 営業統括本部 副本部長 企画編成部長〉/人員:3名)。

今回、3室長による座談会を行い、新体制となった企画編成部の現状と、今後の展望を聞いた。

3人.jpg

(写真:左より田部井氏、須藤氏、川辺氏)



――シアター事業・ODS開発室――

ODS急ピッチで強化、独自作品の開発も

 

――4月1日付組織変更の主眼は、やはりODSですね。UCはこれまで、どうODSに取り組んできましたか。

 川辺 昨年11月、各人が所属セクションと兼務する形で、社内横断型のODS開発プロジェクトチームを立ち上げました。次のステップとして、ODSを新たな収益の柱にしようとプロジェクトチームを格上げし、従来のシアターメディア室と統合したのが、今の「シアター事業・ODS開発室」です。

 
――UCは他社に比べ、ODSの取り組みが遅かった印象があります。

 田部井 そのとおりです。当社の場合は、デジタル導入に時間がかかり、ODSで他社に遅れを取りましたので、専任のスタッフを増員して、猛スピードでODS開発に取り組んでいます。BIGBANG.jpg

――これまでに、どんなODSを上映してきましたか。

 川辺 韓国の人気アーティスト・BIGBANGのライブを3D収録した「劇場版 2010 BIGBANG BIGSHOW3D」を2月に公開しました。当社が権利を取得して、グループ会社であるアスミック・エースに配給をお願いしました。当社のODS調達・提供の第1弾作品です。当社がコンテンツに対して出資するのは、映画作品も含めて、これが初となりました。

――これは、昨年ソウルで行ったライブを収録したものでしたが、買付の経緯を教えてください。

 川辺 当社の契約相手は、韓国の民放TV局SBS系列のSBSコンテンツハブです。この会社は、住友商事及びJ:COMと以前から近しい間柄があったことから、同じグループのUCにも好意的に対応してもらいました。3Dでのブッキングを考え、劇場数をある程度確保できるように、2月19日公開を決めました。
(画像:BIGBANGライブのODS)

――成績を含め、どう評価していますか。また、反省点などは…。

 川辺 韓国公開が当初12月予定でしたが、制作が遅れて結局2月になってしまい、日本公開まで殆ど時間がない状況で、急遽、私が韓国まで行きDCPをピックアップするほどでした。動員や興収については非公表なのですが、収支で言えばなんとか黒字です。ブック数も、42劇場でのファーストラン以降も、興味を持っていただいた興行会社がいくつかあり、7月中旬時点で50劇場を超えました。いくつか課題も見えました。時間が足りず、宣伝期間が十分にとれなかったこと。ODSでは特に重要視される物販開発に時間が割けず、1商品しか作ることができなかったこと。第1弾作品として、とにかく良い勉強をさせてもらいました。

――BIGBANGの後、韓国アーティストもののコンテンツ、2つを発表しました。

 川辺 KARAの復活イベント(6月11日、ソウル)と、アーティストが多数出演するライブイベント「SeoulOsaka Music of Heart Fighting JAPAN」(6月7日、京セラドーム大阪)。この2つのライブビューイング(生中継)の権利を、SBSコンテンツハブからアスミック・エースが取得しました。当社は一部出資を行い、配給協力という形で参加しました。あいにく後者は、諸般の事情によりライブビューイングができませんでした。KARA.jpg

――この2つの生中継をめぐっては、日本国内の数社と競合したと聞きました。

 川辺 そのようですね。KARAのイベントは、音楽ライブではなくファンミーティング。つまり同時通訳の出来が重要なポイントですし、韓国から日本の映画館への生中継自体が初めての試みでしたから、少し心配もありましたが、結果的にアスミック・エースに上手くコントロールしていただきました。私も当日はソウルの会場に行きましたが、日本のファンが現地に来るくらいの注目のイベントでしたし、日本の映画館で見たファンの方々にも喜んでいただけました。

――ファンミーティングは、有力なODSコンテンツになりえますか。

 須藤 ライブよりもファンミーティングの方が、ODSとしての価値は高いかもしれません。ファンミーティングに参加できる人数は、ライブよりも限られています。それに、ライブの映像はいずれDVDなどで見ることができますが、ファンミーティングの模様は、なかなか見ることができませんから。
(画像:KARAのライブビューイング)


 ――最近、100ブックに近い規模のODSも増えていますが、逆に、UCだけで上映したようなODSはありますか。

 川辺 独占公開の独自ODSは、これまで主に3つ手掛けました。一つが、ユニバーサルJ所属のアイドルグループ、ぱすぽ☆が主演するコメディドラマです。「ハイテンション☆プリーズ」というタイトルで、全部で3話(各30分)あり、6月18、19、25、26日に豊洲で上映しました。18、19日には、ぱすぽ☆本人も登場し、ミニライブ、上映、握手会を行い、ものすごい熱気でした。普段はライブハウスでしか体験できないライブを、映画館でも味わえるという新鮮さが、ファンにも好評でした。

――
豊洲は、一般企業向けやイベント向けの貸し館営業に、以前から力を入れていますから、その延長線上にあるという見方もできそうですね。

川辺 二つ目が、こちらもユニバーサルJと組んだ「RUN60」。仮面ライダーWで人気の桐山漣さん主演の映画です。青山テルマらユニバーサルJ所属の5アーティストの新曲PVに桐山さんが出演し、PV5本が一つの物語として繋がる、そのPV5本(5話)をYouTubeで配信し、最後の6話目はUCの劇場でしか見ることができない、という仕掛けです。6月25日からUC5劇場で1週間限定上映し、豊洲で行った初日イベントには出演俳優や楽曲提供アーティストらが登壇し、満員御礼の大変な盛り上がりとなりました。

――この2つのODSで、ユニバーサルJとの関係が強化されたでしょうから、次回ユニバーサルJと組むタイトルが楽しみです。

川辺 そして、三つ目はかなりの変化球で、「放課後のプレアデス」のマナームービー。「放課後のプレアデス」は、スバルとガイナックスが異色コラボで制作したアニメで、YouTube限定で公開され、話題となったコンテンツです。そのマナームービーを6月4日~7月1日の4週間、UC独占で上映しました(阿久比を除く19劇場)。上映に合わせ、オリジナルグッズを劇場で先行販売したり(20劇場)、豊洲のカフェで「放課後のプレアデス」特別メニューを提供したり、興行プラスアルファの展開をしました。川辺.jpg

――豊洲のカフェでは、昨年は「東のエデン」で同様の展開をして、話題になりましたね。ところで、現在、UCの劇場の中で、生中継が可能なのは、どこですか。

 川辺 豊洲、札幌、キャナルシティの3ヶ所です。今は衛星による中継ですが、将来的には光通信が主力になってくるかもしれません。方向性としては、全20劇場で、衛星にも光にも対応できる態勢をなるべく早く構築するということです。


――ODSと映画は、全く別のコンテンツです。例えば、観客はどうでしょうか。

 川辺 ODSはデジタル化との相性はバッチリです。映画とは別物ですから、観客も違ってきます。ODSは、映画館を利用しない人に、足を運んでもらうチャンスです。劇場へ一度来てもらい、そこでポスターや予告編に触れ、次は映画で来場してもらう、または、別のODSを見てもらう。そういう流れを作り出せるかが、重要ですね。

(写真:川辺氏)


――映画とODSで、配給会社(コンテンツホルダー)とのやり取りに違いはありますか。

 川辺 映画に比べ、ODSは短いサイクルで動いていきます。上映期間は短く、宣伝費も少ない。映画のようなマス宣伝ではなく、決まった数のファンに的確にアピールしていく。配給歩率についても、ODSの場合、事前に決まっているケースも多いので、そういう意味でもサイクルは早いです。

――川辺さんは、3月まで番組編成の責任者で、4月からODS開発の責任者となりました。立場が変わって、どのような感想をお持ちですか。

 川辺 大まかな言い方をすれば、興行者にとって、映画は受動的、ODSは能動的、という印象です。映画の公開は、配給会社の意向が非常に大きいものです。“夏に大きな作品が重なるから、1本を秋に移したい”“ラブストーリーがない時期だから、その手の作品が1本ほしい”、興行者がこういう考えを抱いても、なかなか実現は難しいですよね。一方、ODSの場合は、観客のニーズに合わせたコンテンツを、自社で企画・制作から関わって編成までできる。例えば、ファミリー映画の弱い時期には、ファミリー向けODSを発掘して、その情報を自社で発信できる。価格設定の自由度があるのも、いいところです。

 また、このODSに関しては、他の興行各社のご担当者と様々な情報交換を行いながら、新しい座組みにもチャレンジしていきたいですね。


――デジタル化が進んでいく中で、客席の稼働率を上げていく、物販収入を伸ばしていく、こうした視点から、もはやODSは欠かせない存在になりましたね。

 川辺 今後も、コンテンツホルダーとの関係は良好にしつつ、独自のODSをどんどん増やしていきます。まだ発表段階にはありませんが、自社の企画制作・開発案件として、シリーズ化を睨んで進めているODSもあります。



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