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インタビュー:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン

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インタビュー:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン

2011年12月20日

高橋雅美マーケティング エグゼクティブ ディレクター

“あり得ないくらいの宣伝”を展開!

『アベンジャーズ』仮メイン_R.jpg

         「アベンジャーズ」(C)2011 MVLFFLLC.TM&(C)2011 Marvel.All Rights Reserved




 ――2012年の各作品、宣伝展開についてお聞かせ下さい。

高橋.jpg 高橋雅美マーケティングED
(以下、高橋) まず、1月は「フライトナイト/恐怖の夜」というホラーでスタートします。1985年に作られた作品が、新しく大迫力で蘇ったという感じです。高校生とヴァンパイアが戦う話。これが年明け一発目、キャラクター・ホラー作品として、気楽に見て頂こうと思っております。

 次もドリームワークス作品になりますけど、「戦火の馬」ですね。元々はイギリス文学で1982年に書かれたもの。その後にいま舞台になっていて、昨年のトニー賞を獲り、スピルバーグ監督がそれを映画化したということです。我々は、「スピルバーグ監督が、『希望』を描く。」と言っています。馬が出てきますが「馬の映画」というわけでもないですし、戦争が描かれますが「戦争映画」でもなく、難しい時代でも希望もって生きていく人たちを描くことがメインの主題。非常に感動する作品だと思います。

 公開時期はちょうど震災から1年が経つ頃で、日本人も単に大変というだけでなく、新しい未来へという意味では、この作品は合うのではないでしょうか。特に3月になると日本人のマインドも変わってくると思います。映画を見て頂くとわかるんですけど、スピルバーグ監督って本当に映画を作るのが上手いんだなと思いますね。「タンタンの冒険 ユニコーン号の秘密」が新しいものに挑戦したものであれば、こちらは今までのスピルバーグ、映像作家としての集大成的な作品です。12月にニューヨークでワールドプレミアがあり、来年1月になるとロンドンでプレミアがあって、最後は日本に来てもらって大きく盛り上げていきたいということです。タイミング的にもアカデミー賞にぴったりだと思います。


 ――ドリームワークス作品の宣伝戦略は。

 高
 ブランドが付いているわけではないですから、そこがディズニーとは違うところですけど、その作品の持っている素晴らしさというのを日本の観客につなげるという意味では同じ作業です。お客さんに見に来てもらえる要素を引き出して、それをメッセージとして伝えて、作品とお客様の間をつなぐという意味でも同じだと思います。どんな映画もそこがはっきりしないとなかなか見に来てもらえないと思いますので。


 ――ドリームワークス作品、マーベル作品と、それぞれチーム分けしてやっていくような体制で臨まれるのですか。

 高橋
 完全に分けているわけではありません。次の「ヘルプ~心がつなぐストーリー~」もドリームワークス作品ですが、非常に素晴らしい作品で、この作品も主演助演女優賞だけでなく作品賞も含めアカデミー賞有力候補です。元のテーマは人種差別の話で、それを勇気と友情で克服してゆくというストーリーですが、決して暗い話ではなくて、非常に明るく描かれているので、凄く楽しい映画です。昔はよくありましたけど、映画館から出てくると街の風景が明るくキラキラ輝いて見えるような、勇気づけられる映画。テーマ性がよく、女性も男性も楽しめる映画です。


ディズニーの「夢を決してあきらめない」精神

 ――4月13日公開「ジョン・カーター」は、フッテージを見ましたけど、超大作感たっぷりですね。

 高
 ウォルト・ディズニー生誕110周年記念作品ということで打ち出します。ウォルト・ディズニーの精神というのは「夢を決してあきらめない」というものですが、この作品は監督アンドリュー・スタントンの子供の頃からの夢がかなった作品です。映像不可能と言われていた小説の映画化となります。12年はディズニー・ジャパンとして会社全体でもいろいろやっていくんですが、その中でも目玉としてお送りする作品。
 この作品もある種「喪失と再生」の物語です。もちろんビジュアル的には大作なので、もの凄く大きなプロダクションですし、「スター・ウォーズ」や「アバター」に影響を与えた作品ということで、超大作感というのは物凄くあります。ある種、ディズニーが作る「スター・ウォーズ」という感じでしょうか。そういう大きなプロダクション、スケールというのは一つの売りなんですけども、それだけじゃなくて「喪失と再生」の物語というのが一番いいところなのかなと思います。

 地球で妻子を失ったジョン・カーターが、火星に行って希望を探し、新しい友を得て、新たに大事なものを見つけるために戦うという話です。宇宙の謎も描かれます。原作自体は「火星のプリンセス」というシリーズ本ですから、シリーズ化をやれる可能性は充分あると思いますね。まず、ジョン・カーターというキャラクターを売るのが一番重要ですが、先ほど言ったスケールって物凄くありまして、いろんな新しい飛行船や今まで見たことない生物、クリーチャーなどが出てきて、敵もいますが、新しい友情が生まれたりと、そういうのも一つの宣伝の強化ポイントだと思っています。

 ディズニー・ライブアクションをずっとやってきて、一昨年は「アリス・イン・ワンダーランド」で100億円いき、今年は「パイレーツ」で88億5千万円いきまして、そういう意味で来年は「ジョン・カーター」の年だと思っています。さらに「ファインディング・ニモ」などのアンドリュー・スタント監督が撮るという事で、そこも見て頂ければと思います。プロデューサーのジョン・モリスと主演俳優のテイラー・キッチュも来日し、彼らの口からいろいろ語ってもらいました。来年のGW作品ですね。


 ――一方で、小ぶりな良作もありますね。

 高橋
 次は全く違う「ソウル・サーファー」です。奇跡のサーファー、ベサニー・ハミルトンの話。なにか不思議なんですけども、これも「喪失と再生」の話なんですよね。片腕を失ってしまうが、勇気を持って前に進む少女の話で、本当に今の日本に合っているそういう話が、たまたま続いてきます。「リアル・スティール」で来日したダコタ・ゴヨくんが最近見た映画の中でNO.1だと言っていました。不屈の精神と家族の支えが描かれ、脇役もいい俳優さんが揃っています。凄い勇気づけられる作品で、そういう作品をやらせて頂いてラッキーだと思いますね。


 ――次のディズニー/ピクサー作品は初の女性主人公ものだそうですが。

Merida_TSR_poster_art.jpg 高橋
 「メリダとおそろしさの森」ですね。ディズニー/ピクサー作品は、粒の揃ったものがずっと続いていますが、今回も凄くいいと思います。原題は「BRAVE」というタイトルで、テーマは勇気です。少女が自分の心と向き合って勇気を持つことの大切さを知っていく、少女が子供から大人に変わっていく物語が描かれます。
 メリダは王女として非常に自由に育まれてきたわけですけれども、大人になって王国を守るという使命を全うしなければならない。しかし、それを放棄してしまうということで、森が王国に呪いをかけて段々森にのみ込まれてしまう。そこで、メリダは責任に目覚めて森に立ち向かっていく―という勇気の話です。神秘的なところもあります。日本人にとっても森っていうのは特別なもので、神聖なもの、恐れるもの、いろいろあるところだと思います。日本は国土の70%が森ですからね。そういう意味では日本人に受ける作品だと思いますし、アピールポイントとしては、仰るようにピクサーが初めて女性を主人公にしている作品だということ。中世のスコットランドが舞台となっています。7月夏休み公開です。
(※右写真)「メリダとおそろしの森」(C)DISNEY/PIXAR All rights reserved.


“今世紀最大のフィルム・プロジェクト”

 ――来年のテントポール作品の一本「アベンジャーズ」は非常に重要な作品ですね。

 高橋
 「アベンジャーズ」は最も大きなタイトルということで、“今世紀最大のフィルム・プロジェクト”と言っています。日本のマーケットで、このマーベル作品をいかにフランチャイズ出来るか。アメリカでは、5月公開になっていて、世界でも物凄い大ヒットをすると思いますので、その世界で大ヒットし、社会現象となる作品を、そのニュースと共に日本に持ってくるという事です。中身は、単にヒーローものということでなく、「なぜ、このヒーローたちがひとつにならなければいけないのか、何のために戦うのか?」、その時のお互いのいろんな内部での問題とか、個人の問題とかを見せていこうと思います。一つになるには巨大過ぎる力を持ったヒーローたちが、人類史上最強の敵から地球を守るために集められ、彼らは地球を救うのか、それとも壊すのか―。ただスーパーヒーローが全員揃って戦うということではなく、そこの意味とか、危険とかを宣伝として訴えていこうと思っています。

 アメリカの予告編が解禁になったんですけど、iTunesトレーラーというところから、24時間で1065万ダウンロード以上があったそうです。今までの最高が640万ダウンロードなので、歴代新記録を軽々更新してしまった。いかに世界で大きな期待を持って、待たれているか。ディズニーとしてもマーベル第1作目ということで、全力で成功させたいと思っています。そのために、あり得ないくらい凄い作品なんで、「あり得ないくらいの宣伝」をしようと。このヒーローたちが一つの作品に集まるのもあり得ないし、このプロジェクトが実現するのもあり得ないですよね。「あり得ない」をキーワードに展開していき、日本でも社会現象にして行きたいと思っています。このマーベル作品である「アベンジャーズ」も完全にローカライズをかけて、日本向けにすべてトレーラーも作っています。そういう意味では今までのマーベル作品とは違う展開になると思います。

2011_disney-lineup-web.jpg


 ――その後、2012年の年末はどういう作品がラインナップに入ってますか?

 高橋
 「フランケンウィニー」が12月公開になります。お正月の大作としてやることにしています。モノクロの3D作品。コマ撮りのティム・バートン監督独特の世界観ですが、今回違うのは主役が少年フランケンと飼い犬なので、ファミリー向けにも受けると思っています。さらに、いろんな不思議な可愛いキャラクターも沢山出てきますので、広がりも期待できます。ただ単にファミリームービーというだけでなく、今までもあったちょっとおしゃれな世界観もあり、普通と違う特異な新しいジャンルのファミリームービーと言えます。今までこういう作品はなかったと思うんですよね。心温まる作品で、パッケージやキャラクターグッズ展開なども期待できます。
 バートン監督は凄く才能のある人で、今までも傑作を作ってきましたが、本当に新しい形のファミリー・エンタテインメント作品だと思います。年末、お正月作品としてやるのが今から楽しみです。原案・原作を手掛けた「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」も固定ファンがいますし、バートン自身がフランチャイズと言え、人がフランチャイズになっているのは珍しいですよね。

 基本的にそこまでが2012年の主要なラインナップです。今年は「パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉」、「カーズ2」、「塔の上のラプンツェル」とあって、2010年は「アリス・イン・ワンダーランド」に「トイ・ストーリー3」とありましたけど、そういう意味では、それらに勝るとも劣らないラインナップです。特に、「戦火の馬」、「ジョン・カーター」、「メリダとおそろしの森」、そして「アベンジャーズ」、最後の「フランケンウィニー」まで。いろんな意味で違った大作が揃いましたので、幅広い形であります。宣伝スタッフは大変ですけど、作品ごとに頭を切り変えて、「あり得ない宣伝」をしていきたいと思っています。


ウォルト・ディズニー生誕110周年をイベント化

 ――ホーム・エンターテイメント部門と映画部門が統合して約1年半が過ぎましたが、そのシナジーは発揮できているのでしょうか。

 高橋
 みんな1年半やって、そういう統合部分は力になってきています。映画をみんなの力でまず大きくするというのが組織の一番の力ですから、人数も広がって、いろんな新しいアイデアも出るようになりました。ホームエンタの店頭も使うなど、とにかく映画を最大化することに関しては、全社の傘を作って全力を傾けています。映画で出した後に、パッケージやデジタル配信に上手くつなげていけるというのも以前よりもスムーズにできていると思います。


 ――今後のウィンドウ戦略についてはどのように考えられていますか。

 高橋
 今のところ来年は新しい大きな動きはないと思います。大事なのは映画を最大化することです。ホームエンタの部分ではブルーレイ化というのが非常に進んで来ていますので、来年はさらに市場は変化してくるだろうと思います。当社でいうと前期(2010年10月~2011年9月)はホームエンタ事業も非常に好調でしたしね。


 ――来年はウォルト・ディズニー生誕110周年ということですが、パッケージ部分での展開は。

 高橋
 パッケージではカタログを出したり、いろんなことをやってウォルト・ディズニー生誕110周年をイベント化して行きたいと思います。そして先程申し上げた「ジョン・カーター」もウォルト・ディズニー生誕110周年記念作品だから見に行かなくちゃ、と思ってもらえる様に盛り上げていきたいと思います。つづく)



P1180732.jpgプロフィール
高橋雅美(たかはし・まさみ)

 
1959年東京生まれ。成蹊大学法学部政治学科卒。
 広告会社、日本コカコーラ㈱、エレクトロニックアーツを経て、2004年より、ウォルト・ディズニー・ジャパン㈱で、ホーム・エンターテイメント部門のマーケティングを担当。
 2010年から、映画・DVDを統合したウォルト・ディズニー・スタジオのマーケティングを担当。趣味は旅行。









★木村光仁セールス エグゼクティブ ディレクターのインタビューへつづく。


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