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特集:WB、ローカルプロダクションが本格化

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特集:WB、ローカルプロダクションが本格化

2008年04月09日
 ――作品選定基準のうち、カラーとはどのようなものですか。
 小岩井 オファーされる作品の場合、我々が自らカラーを出すのではなく、ワーナーに持ち込まれる時点ですでに意味があるわけです。例えば人情ものなら松竹さん、任侠ものなら東映さんに持っていくでしょう。時代劇とはいえ、「ICHI」や「GOEMON」は、ワーナーを選んで企画を持ち込んでいただいているんです。同じ日本テレビさんが製作する映画でも、東宝さんが配給する作品と、ワーナーが配給する作品とでは、明らかにカラーが違いますよね。

 ――ローカルプロダクション本部の業務はどのようなものですか。
 小岩井 大きく分けて4つの部門があります。1:今一番大きくなっているのが調整部的な仕事です。これだけ多くの作品を預からせていただいていますから、製作委員会に出席したり、契約内容を詰めたりと。2:企画開発と製作ですが、僕は年をとってもずっとモノを作れる環境に身を置きたいと思ってワーナーに来ましたから、この部分の仕事が本来ならば中核になるところです。企画開発には時間がかかるので、まだ表には出てきていませんが、水面下で進めています。3:アクイジションに関しては、ワーナーの営業力、宣伝力が高く評価されているので、オファーが多いんです。アジア映画、アメリカ映画、他にも色んな作品が来て、その中から「王妃の紋章」のようなワーナーに合った作品を選びます。また「ラストサムライ」や「硫黄島からの手紙」のような世界の中の日本、日本における外国の捉え方などをテーマにしたインターカルチュラル(異文化間の)作品は日本の会社の中でワーナーが一番得意ですから、その強みを活かします。4:米本社が日本の原作を元に映画化を進める際、様々な手伝いをします。日本の権利元に足を運んだりもします。「スピード・レーサー」が好例で、アメリカ全土で日本の漫画・アニメ文化に対する注目度が高いんです。

 ――こうした業務を、ローカルプロダクション本部は何名のスタッフで行っているのですか。
 小岩井 現在は私を含め7名、間もなく8名体制となる予定ですが、全然足りませんね。希望としては、4部門それぞれに1名ずつエキスパートがいると助かりますが、各々の分野で成功体験を持つ人は少ないですから、スタッフ補充は簡単ではないでしょうね。


社内で邦洋逆転起こしたい

 ――ワーナーのローカルプロダクションは、どのような方向性、どのくらいの売上を目指しますか。
 小岩井 ローカルプロダクションの強化は米本社の意向でもあり、今後も当然続けていくし、拡大していくでしょう。興収目標として、まずは1作品10億円以上というのは、当社に限らず、他社さんも同じだと思います。
 今関心を持っているのは、これから必ず出てくるWGA(米脚本家組合)のストの影響です。来年はハリウッド作品が相当数抜け落ちてしまって、そこに当社のローカルプロダクション作品が入ってきますから、出番が増えることになるはずです。相当に高いハードルで本来ならあり得ないことですが、将来どこかで、ワーナー社内で邦洋逆転を起こすようなことができれば面白いですね。






小岩井 宏悦(こいわい ひろよし)
ワーナー・ブラザース映画 ローカルプロダクション本部長


1960年7月28日、長野県松本市生まれ。京都大学法学部時代に「劇団そとばこまち」に在籍。劇団では役者から脚本、演出、大道具までこなし、芝居漬けの日々を過ごした。同大学卒業後の85年4月に新日本製鐵に入社するも、モノ作りへの夢を追い求めるべくアメリカ留学を決意、87年1月に退社した。88年12月にThe College of St. Rose N.Y. BA communication Artsを卒業、帰国後の89年4月にフジテレビに入社した。フジテレビでは入社から約1年半、ワイドショー番組「おはよう!ナイスデイ」を担当し、現場取材やチーフを務めた。その後、念願だったドラマ製作に移り、10年以上に亘って数々のドラマをプロデュース。2003年からは映画製作に活動の場を移し、「g@me.」(03年11月公開/東宝)「レイクサイド・マーダーケース」(05年1月公開/東宝)などをプロデュースし、「電車男」(05年6月公開/東宝)の製作にも携わった。07年4月フジテレビを退社、同月ワーナー・ブラザース映画 ローカルプロダクション本部長に就任した。代表作は、テレビドラマ「Age,35 恋しくて」「ラブジェネレーション」「神様、もう少しだけ」「整形美人。」「三億円事件 20世紀最後の謎」、映画「星になった少年」(05年7月公開/東宝)「ブレイブ ストーリー」(06年7月公開/WB)。

(全文は「月刊文化通信ジャーナル」08年3月号に掲載)

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