閲覧中のページ:トップ > 文化通信バラエティ > エンタメ・トピックス >

インタビュー:ユナイテッド・シネマ(株) 代表取締役社長 宮田昌紀

エンタメ・トピックス

最新記事

インタビュー:ユナイテッド・シネマ(株) 代表取締役社長 宮田昌紀

2009年07月14日
本誌 チーム2・0、チーム7:3という取り組みを、現場で指揮したのは当然支配人ですよね。

宮田 各支配人は研修を通じて学んだリーダーシップやコミュニケーションを使い、CSアップのためにどうすればいいかを意識しながら、サイトをまとめていきました。机の上の勉強を、チーム2・0とチーム7:3という具体的な取り組みの中で生かした結果、収益アップやアルバイトも含めた従業員の意識向上につながりました。

(3)顧客とマーケット分析

宮田 3つ目の「取り組み」として、「顧客分析」と「マーケット分析」を行いました。CRM担当が、会員の方々の動向を見た上で、次の一手を検討していきます。封切った新作映画の客層などを週明けにすぐ共有して、この層を狙えばもう少し訴求できるという話をしたり、配給会社に当社のお客様の傾向を伝えて次の作戦の参考にしてもらったり、競合対策の有効な手段を考えたり。こうした議論を感覚ではなくて、実際のお客様の動向を見た上で、数字を見た上で検討することを、オペレーション部隊とは別で始めました。
非常に客観的なサジェッションを行い、それを受けて実際のオペレーションがどう反応するのか。ある劇場で想定した動員数字が上がらない原因を、インターネットで調査したり、外部委託でグループインタビューをしたり、近隣に住むお客様の生の声を聞いたり、逆に競合サイトにしか行かない方の話を聞いたり。デジタル経営と言っていますけど、数字で見る、事実を掴む、そして実際の作戦を立てるということを、皆が当たり前にやるようになりました。

人件費、光熱費、家賃

本誌 逆に、従来からの開発本部、オペレーション統括本部では何か新しい取り組みをしましたか。

宮田 人件費、水道光熱費、家賃という3つのコストコントロールを徹底しました。人件費に関しては役員は勿論ですが、社員の皆さんにも痛みを分け合っていただきました。赤字が続いたら会社がなくなる、皆のやりたいことができなくなる、そのためには人件費コントロールが必要だ、でも取り組みをきちんとやれば黒字化できる、黒字化して成果を皆で分け合おうと、1年前に申し上げました。
また、サイト毎にアルバイトの人件費コントロールを徹底させました。現場では動員を想定して、足りなくならないようなライン(スタッフ数)を引きます。でも動員が低い時にスタッフが多いと無駄な人件費になりますから、翌週のギリギリのラインを感覚ではなくて、毎週数字を見た上できめ細やかに決めていく形に変えました。現場にしてみれば、それでお客様から不満が出たら困るので、人件費は少し増えてもラインを上げるという判断をしてしまうのですが、本社がこのラインでいい、人件費コントロールが今年の目標だから最低限のラインでやるんだと。昨年4月から始めて、最初の3ヶ月はきつかったけれど、動員は少なくても利益が残るという成果が夏以降にどんどん出てきました。しんどいけれどやれば利益が残ることを、従業員は体感できました。そうなると、もっとやろうという気持ちになるんですね。
それから「チームマイマス6%」という名のもと、水道光熱費のコントロールを行いました。開発本部は運営受託2サイト(ウニクス上里、ウニクス南古谷)を除いて、直営新規サイトの開発を春日部以降は手掛けていません。その間、開発本部のメンバーが既存サイトの水道光熱費を徹底的に調査してどう削減するか、その具体策をまとめて、各サイトで指導をして、水道光熱費を圧縮しました。効果を疑問視する声が最初はありましたが、実際にやってみると請求金額が大きく減りました。つまりは、今までやってなかったということなんですね。
家賃に関しては、目標数値よりも家賃比率が高いサイトでは、現状を正直にデベロッパーさんに話して、いくつかのサイトで家賃減額というご協力を得ました。ただお願いするだけではなく、ウィンウィンになるための施策をデベさんに提案しつつ交渉しました。

本誌 経費削減が億単位でできたということですね。

宮田 具体的な金額は申し上げられませんが、相当な額のコストコントロールができ、動員が下がっても利益の残る体質に変わりました。一番重要なのは、意識が変わり、具体的な取り組みで結果が出て、皆に自信がついたことです。

本誌 お話を伺っていると、いくつもの取り組みが複合的に力を発揮して、結果が出た2年間ということですね。

宮田 全体的な方向性、具体的な取り組み、その評価、それを共有するということが、極めて上手く回るようになりました。動員が増減しても、それに応じたコストでやればいいんだという自信が、本社も現場もついた、これが一番大きかったと思います。

感覚ではなく計数管理

本誌 ここまで過去2年間を振り返っていただきましたが、今度はこれからのお話を伺います。4月1日付で組織変更と人事異動を行いました。その目的は何ですか。

宮田 この2年間で取り組んできたことを、もう一歩先に進めるというのが、僕の4月1日のメッセージなんです。感覚、感性ではなく、事実、数字を見ながら仕事をしよう、より計数管理を徹底しよう、動員が上がった時、或いは下がった時に、数字を見ながら対応できるようにしよう。特定の人しか分からないという状況ではなく、皆でその数字を認識し次の作戦についての議論ができるようにしようということです。

本誌 組織がかなり変わったという印象を持ちました。

宮田 今回、組織変更に合わせて、いくつかの目玉となる重要な人事を行っています。まず、戦略室と開発本部を「戦略・開発本部」として統合し、IT部を吸収しました。戦略室はこれまで社長直轄で新規サイトの戦略を担当しましたが、当面は新規サイトの開発を積極的にやるつもりはありません。そこで戦略室を発展的に統合して、戦略・開発本部として21サイトの個別の戦略を立て、各サイトの将来像を描いていく。既存サイトのブラッシュアップを図ります。
 
(全文は、文化通信ジャーナル6月号に掲載)

 <<  | <  | 1 | 2 

過去のタイトル一覧

2024年

3月│ 4月

2023年

2月│ 3月│ 10月

2022年

3月│ 5月│ 7月│ 8月│ 12月

2021年

2月│ 3月│ 10月

2020年

10月│ 11月│ 12月

2019年

2月│ 4月│ 5月│ 7月│ 8月│ 10月│ 11月

2018年

1月│ 2月│ 3月│ 4月│ 5月│ 6月│ 7月│ 8月│ 9月│ 10月│ 11月│ 12月

2017年

1月│ 2月│ 3月│ 4月│ 5月│ 6月│ 7月│ 9月│ 10月│ 11月│ 12月

2016年

1月│ 2月│ 3月│ 4月│ 5月│ 6月│ 7月│ 8月│ 9月│ 10月│ 11月│ 12月

2015年

3月│ 4月│ 6月│ 9月│ 10月│ 11月│ 12月

2014年

1月│ 2月│ 3月│ 4月│ 5月│ 7月│ 8月│ 9月│ 10月│ 11月

2013年

1月│ 2月│ 3月│ 4月│ 5月│ 6月│ 7月│ 8月│ 9月│ 10月│ 11月│ 12月

2012年

1月│ 2月│ 3月│ 4月│ 5月│ 6月│ 7月│ 8月│ 9月│ 10月│ 11月│ 12月

2011年

2月│ 3月│ 4月│ 5月│ 6月│ 7月│ 8月│ 9月│ 10月│ 11月│ 12月

2010年

1月│ 2月│ 4月│ 6月│ 8月│ 9月│ 10月│ 11月│ 12月

2009年

1月│ 2月│ 3月│ 4月│ 5月│ 6月│ 7月│ 8月│ 9月│ 10月│ 11月

2008年

1月│ 2月│ 3月│ 4月│ 5月│ 6月│ 7月│ 8月│ 9月│ 10月│ 11月│ 12月

2007年

1月│ 2月│ 3月│ 4月│ 5月│ 6月│ 7月│ 8月│ 9月│ 10月│ 11月

2006年

1月│ 7月│ 8月│ 9月│ 10月│ 11月│ 12月