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パラマウント ピクチャーズ ジャパン 星野 有香 マーケティング本部長

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パラマウント ピクチャーズ ジャパン 星野 有香 マーケティング本部長

2013年08月09日
『スター・トレック イントゥ・ダークネス』

       ~前作から大きく飛躍!
              「興収50億円」に向けた確かな戦略~


星野氏①.jpg

 パラマウント ピクチャーズ ジャパン今年最大の勝負作『スター・トレック イントゥ・ダークネス』が、いよいよ8月16日から3日間先行公開、23日に全国公開される。
 大作、話題作がひしめく夏興行の中で、どう「勝ち」を掴むのか。その戦略のすべてを、星野有香マーケティング本部長に聞いた。




何が何でも当てる


 ――星野さんが『スター・トレック』に関わるのは、本作が初めてですね。

 星野 確かに初めてですが、『スター・トレック』には強い思い入れがあります。前作が公開された2009年当時、私はギャガにいましたが、部下だった松下(剛)さん(現・執行役員宣伝部担当)が『スター・トレック』フリークだったんです。彼は、このシリーズを通じて組織でどう振る舞うか、リーダーシップとは何かを学んだと言っていました。全米大ヒット後に日本でも公開され、松下さんの話で興味を持っていた私は初週に見に行きましたが、とても面白い映画でした。それなのに日本での興行はとても厳しかった。こんなに面白い映画がヒットしないという現実に、一人の宣伝マンとして何故か悔しく思いました。そして2年前の11年7月にパラマウントに入社し、今回『スター・トレック』の2作目を手掛けることができ、とても嬉しく思っています。何が何でも当てるぞという思いです。

 ――宣伝の立ち上げは昨年12月、かなり早い印象です。当初は9月公開の予定で、その後8月23日に繰り上がり、さらに8月16~18日の先行公開が決まりました。長丁場の宣伝ですね。

 星野 ハリウッドの大作はキャンペーンで世界を回る際、英ロンドンからスタートすることが多いのですが、今回は昨年12月の東京をキャンペーン開始の地としました。これは異例のこと。このように日本が優先されるのは、米国のパラマウント本社、そして監督のJ.J.エイブラムス、プロデューサーのブライアン・バークの製作会社バッド・ロボット・プロダクションズが、是が非でも日本で当てたいという意思の表れです。

 ――前作の興行が厳しかったのは、どんな要因が考えられますか。

 星野 前作は、宣伝が難しかったようです。そもそもJ.J.ら製作陣は秘密主義で、出せる情報が限られている。前作の全米公開は2009年5月8日で、5月29日の日本公開まで3週間しかない。宣伝素材は全米公開後でないと入ってこない。素材を日本用にアレンジすることもできない。前作ではそういう宣伝マン泣かせの状況でした。ところが今回は、前述したとおりパラマウント本社、バッド・ロボットからの全面バックアップがあり、日本公開を5月16日の全米公開から3ヶ月以上ずらして、8月に設定できました。世界中で殆どの国が5月公開ですから、日本はいわば特別対応です。遅らせた分、宣伝素材は十分にありますし、日本向けの素材加工も許可を取りながら行っています。世界的大ヒットのニュースも、国内に十分に届けることができました。

『スター・トレック』メイン.jpg

 ――3月に109シネマズ木場のIMAXデジタルシアターで、約30分のフッテージ上映とプレゼンテーションがありました。この時に星野さんが「興収目標50億円」と発言しましたね。


 星野 確かに、50億円と聞いて驚かれた方もいたかもしれませんが、もちろん勝算があっての発言です。それをこれから説明していきます。まず、立ち上げから6月までを『スター・トレック』の呪いを解く時期と位置づけました。


「呪い」は解かれた!


 ――「呪い」ですか?

 星野 そう、「呪い」です。映画業界には様々な呪い、つまり呪われたかのようにヒットしない映画があります。ミュージカルの呪いは『オペラ座の怪人』や『レ・ミゼラブル』が、コメディの呪いは『テッド』が、アメコミの呪いは『アベンジャーズ』が過去に解いてきました。今度は、『スター・トレック』の呪いを解く番です。社内、社外から「『スター・トレック』は面白いけれど、興行はダメ」という声も多数聞かれましたが、これらを払拭し、半年かけて呪いを解いていきました。

 夏休み映画のトラッキング(認知度×意欲度)によると、7月中旬現在で『スター・トレック イントゥ・ダークネス』は『謎解きはディナーのあとで』と並んで、最も良いポジションに位置しています。昨年8月のお盆に公開した『アベンジャーズ』以上の推移をしています。40~50代は『スター・ウォーズ』と比較して『スター・トレック』にマニア向けのイメージを持ち、ネガティブな意見が目立ちました。一方で、20代はかつての『スター・トレック』のTVシリーズを知りませんから、ネガティブな意見は全くありません。今回は、若い人たちに対して新しいSF映画であるとアピールしています。

 ――立ち上げから半年間で、どのような情報を発信しましたか。

 星野 夏の大本命映画であることを、愚直に伝えてきました。全米批評家サイト「ロッテントマト」で87%が大絶賛しているように海外で高評価を得ていること。前作に比べ全てがグレードアップしていること。日本での宣伝のキーとなる魅力的な悪役が出ていること。様々な愛を描き、『海猿』のように最後には泣かされてしまうドラマ性があること。こうした様々な要素を丁寧に伝えて、「見ないと損する」と訴えました。


悪役カンバーバッチ押し

 ――『アベンジャーズ』以上の推移ということは、興収30億円台半ばまでは見えたということですね。では、7月以降の宣伝は…。

 星野 7月は「世紀の悪役」を演じたベネディクト・カンバーバッチを徹底的に押しました。今年、雑誌の表紙を飾った回数が最も多いハリウッド俳優は誰かご存知ですか。ジョニー・デップでも、レオナルド・ディカプリオでも、ブラッド・ピットでもない。そう、カンバーバッチなんです。「Movie Star」の1月号を皮切りに、「SCREEN」は4月、6月、8月と3回も表紙を飾りました。理由は簡単。カンバーバッチを表紙にすると、よく売れるからです。こうした雑誌は3~10万部が軒並み完売しています。『トワイライト』シリーズのロバート・パティンソンが日本ではブレイクできませんでしたが、『スター・トレック イントゥ・ダークネス』でカンバーバッチをブレイクさせます。待望のハリウッドスターの誕生です。

 ――そのカンバーバッチが昨年12月に続き、7月15日に再来日し、大変な賑わいとなりました。

 星野 12月の時は、20~30代前半の女性を中心に成田で500人のファンが待ち構え、100人程度と予想していたので驚かされました。さらに7月の来日では、成田には1000人を超えるファンが集まりました。また、12月の来日時は雑誌が主体で、テレビでの露出は殆ど取れませんでしたが、7月はテレビ各局の情報番組に次々と出演が決まりました。この半年で、彼の人気が急速に高まったことを改めて確認できました。(つづく



(C)2013 Paramount Pictures. All Rights Reserved.



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