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トップインタビュー:村上主税TOHOシネマズ(株)代表取締役社長

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トップインタビュー:村上主税TOHOシネマズ(株)代表取締役社長

2007年02月06日
東宝が興行部門と興行会社の再編成に着手
過熱するシネコン業界は淘汰の時代が到来
業績好調の東宝が見据える興行界の展望は


■シネコン競争での生き残り目指して

――東宝のシネコン会社であるTOHOシネマズが、東宝の興行部門を吸収合併したのが、10月1日。今年の映画界の大きなニュースの一つとして話題になりました。東宝としても大英断だったのですが、その理由はいったい何だったのか、まず聞きたいのですが。

村上 そろそろシネコンという出店が、終盤に近づいている。今後シネコンの競争が激化する中で、シネコンの老朽化が進んできますので、そのリニューアル投資が必要になってきます。それから、お客様のサービスの強化を含めたIT投資ですね。それからどうしても避けて通れないデジタル投資。これに、かなりの資金がかかる。そうなってきますと、いくつも子会社があっても、自前ではなかなか対処しきれない。ここはひとつにまとまって、激化するシネコンの競争に生き残っていくことが重要になってきます。

――3年ぐらい前から、合併が検討されていたと聞きますが、外部の人によく言われるのは、「何故業績のいい東宝が、今合併をしなければならないのか」と。

村上 悪くなってからでは、遅いのです。いいときだから、これができる。(業績が)悪い同士が一緒になっても、これはダメなのです。いいときだからこそ、合併して次の時代に先手を打っていく。

――社員からすると、反発があったのではないですか。「何故、業績がいいのに、合併なんだ」と。

村上 これは、後ろ向きの合併ではないのです。生き残るため、勝ち残るための合併なんです。確かに東宝の興行部は、会社創立以来、非常に由緒ある部門で存続してきました。しかし、やはり時代の変化というものがあります。時代に追いついていかなければならない。そういう意味で、今回は非常にいいタイミングだったと思っています。
スクリーン数が3000を超えていますが、それに伴って入場人員が増える、売上が増えるとは残念ながらなっていません。1スクリーンのアベレージが、昨年は一昨年と比べて9%落ちて、7400万円が、6700万円になっています。今年はもし全体の興収が2000億円であれば、1スクリーンのあたりはもっと減ってくる。ですから、こうしたことに耐えられる財務体力、財務基盤が必要になるということです。映画というのは、非常に不透明なものですね。作品の中身によって、大きく収益が変化します。そうした不透明さに耐えられる会社にしなければならない。そうしたことが、今回の合併の大きな柱と言って差し支えないと思います。

■興行部門統合にデメリットはナシ

――では、合併による具体的なメリット部分は、何でしょうか。

村上 指揮系統が、一つになることによって、一つの考え方が瞬時にして下まで伝わっていくことがあります。関係興行会社がああしたい、こうしたいということで折衝して、それを承諾して「じゃあ、まとまってやってみようか」というのは、これまでもありました。それが一つにまとまることで、迅速化できる。ただ命令系統が一本だからといって、本社が言ったことを全部やれということではありません。地方には、地方のいいやりかたがありますから、そういうところは、うまく話し合いながらということです。ですから、地場のいいところは、地場の良さを確認しながら進めていく。中央集権的なところもありますが、それだけではないということです。
実は、この10月からスカラ座とみゆき座に、ハロー・システムという新しいシステムを導入しました。これは、入場券や仕入れなどを管理するシステムです。これを順次、シネコン、既存館に導入していく。だいたい来年いっぱいか、再来年の2月ぐらいまでには、完了したいと思っているわけです。これが完了すれば、全国の売上が瞬時にしてわかるようになる。さらに、お客様に対するサービスも強化される。管理面、サービス面とも、合併によるメリットが大きいわけです。

――逆にデメリット部分というと。

村上 これは、あまりありません。単体ですと、東宝の興行ベースでいけば、当然売上が毎年200億円近くあります。単体ベースではそれが減りますが、連結では全く変わらない。今は、連結ベースで投資家は判断しますので、それでいいのです。デメリットがあったら、逆にやらないと思いますが。メリットがあるからこそ、今回合併したわけですから。


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