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あの「カノッサの屈辱」も彷彿!CS放送番組「時代劇法廷」入賞

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あの「カノッサの屈辱」も彷彿!CS放送番組「時代劇法廷」入賞

2011年05月12日

 歴史上の人物を現代の法廷で裁く―というユニークかつ異色の知的エンタメ番組「時代劇法廷」が昨年秋よりCS放送の時代劇専門チャンネルで放送された。

 かつてのフジテレビ深夜枠「カノッサの屈辱」「IQエンジン」などを彷彿させる尖がったタイプの、チャレンジングな企画として注目され、その第3弾「時代劇法廷 被告人は田沼意次」が先頃、第48回ギャラクシー賞テレビ部門に入賞した。CS放送局オリジナル番組の入賞はギャラクシー賞史上初のこと。

 この番組は、歴史上の人物を被告人として検察官が様々な証人や物証を用いて追求していく。俳優の渡辺いっけいがスーツ姿の検察官役で登場、法廷舞台劇を繰り広げる。第1弾は、「影の軍団」の放送と連動して、「服部半蔵」の企画を組んだ。「服部半蔵」を被告人にして「本当の忍者ではないにも関わらず、伊賀忍者の名を騙り、多くの人々を騙している」という詐欺罪で起訴する。果たして、半蔵は本当に忍者ではないのか? 伊賀流忍者復興保存会会長の黒井宏光氏や、「逆説の日本史」シリーズ著者の井沢元彦氏、さらには徳川家康が証人として出廷、真実に迫った!? 第2弾では「徳川慶喜」が被告人だった。

 そして、今回受賞した第3弾は「田沼意次」。ワイロ政治家のイメージが強い権力者を佐藤B作が演じ、彼は本当に悪人なのか?という収賄罪で問われた。松平定信(波岡一喜)が証人として登場する一方、田沼に寵愛されたと云われる平賀源内(矢柴俊博)が田沼を弁護するという展開。

 歴史にまつわる雑学情報も織り込んで楽しめ、その企画のアイデアが今回の受賞につながった。7月にはこの入賞作も含め再放送する。この秋から「時代劇法廷」第2シーズンの放送も決定している。

 過去のライブラリー作品を放送するCS専門チャンネルは多い。長期的に見て、何度も放送すれば魅力度は薄れる。そのためCS各局は数年前からオリジナル番組の制作に力を入れている。番組の数はまだ少ないものの、以前に比べて知名度あるタレントや俳優が続々と登場し、番組の規模感も徐々に増してきている。そうした中で、今回の受賞は他のチャンネルにとっても刺激、励みになる。限られた制作費でみな苦心する中、アイデア・企画で成果を見せた「時代劇法廷」は、CS放送オリジナル番組の好例なケースとして評価される。

(戎 正治)

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