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2010年11月18日

ユニジャパンエンタテインメントフォーラム
(2)アジアキャスティングフォーラム


 アジアの俳優タレントらの海外進出について、その事例紹介や可能性を交えてディスカッションする「アジアキャスティングフォーラム」(主催:経済産業省+ユニジャパン)が10月26日午後、六本木の政策研究大学院大学で行われた。この日登壇したのは、アミューズ取締役の杉本伸、スターダストプロモーション取締役の鈴木謙一、映画プロデューサーのソロン・ソー(香港)、同ジョナサン・キム(韓国)の4氏。また、ドラゴンハートインターナショナル取締役の橘田寿宏氏がモデレーターを務めた。(下写真は、左より橘田氏、ソー氏、キム氏、杉本氏、鈴木氏)


アジアキャスティングフォーラム.jpg


 はじめに、各国の映画市場の現状、俳優の海外進出について各氏が報告。ソー氏によれば、中国における映画興行収入は前年の2倍まで伸長しており、「規制緩和も進み、あらゆるテーマが取り上げられている」という。また、日本市場への参入も視野に入っており、「ジャッキー・チェンの成功例を踏襲しようと思っている」と今後の戦略を述べた。


 また、キム氏は「韓国俳優は、中国にもどんどん進出しているし、日本にもソン・スンホンが『ゴースト』に出演している」と説明。ただ、俳優のマネージメントカンパニーの規模は総じて小さく、グローバル市場を熟知していない会社も多いことから、「それらの会社はどのように海外進出していいのかわからない。機会があっても、それに対応することができない」と問題点を挙げ、「韓国市場は小さい。今後海外に出るためにも、(日・中とも)合作を進めている」と語った。


 一方、日本側の現状について、杉本氏は「コンテンツ市場がシュリンクしている。アーティスト、コンテンツの場をアジアの地域に広げることを考えないといけない」とし、以前アミューズに所属し、現在台湾で人気を博している女優・田中千絵を例にとり、「彼女は単身で台湾に渡り中国語をマスターした。今は中国本土でも活躍し始めている。(日本の)外に飛び出して活動する意志の強さが成功に繋がった」と報告。現アミューズ所属アーティストが海外進出するためにも、「マネージメントサイドがそれを応援できるような仕組みを作らなければいけない」と語った。


 鈴木氏は「昨年から弊社は台北とソウルに拠点を設けて、現地でスカウトも始めている」とアジア展開スタートをアピールし、「日本にいる所属俳優の中からも、中国・韓国作品に出演したいという要望がたくさんある。日本は人気原作の映画化が多いが、中国・韓国では、作家性の強い本来の映画作品が作られており、俳優が羨ましく感じているようだ」と話した。


 続いて、今後の各国の海外進出について意見交換が行われた。ジャッキー・チェン主演作「新宿インシデント」で、竹中直人等の日本人俳優を起用した経験のあるソー氏は、合作の際につきまとう問題の一つ、言語の違いについて、「外国人が出演する場合、母国語をしゃべってもらうよう心がけている。そうでないと演技がおろそかになってしまうからだ。外国語は後で吹き替えにすれば問題ない」と、言葉の違いを壁にするべきでないことを強調した。一方杉本氏は、「やはり言語の部分は、コミュニケーションという点で最低限はマスターしておく必要がある」と異論を唱えたが、「アジアの才能と一緒にやるチャンスは素晴らしいこと」とし、合作への前向きな姿勢は同調した。


 また、キム氏は、以前日本と合作した際にトラブルが発生したと話し、「日本の俳優は、映画の撮影中はそれに付きっきりになる。しかし韓国の俳優は撮影期間中にも、CMの撮影などで突然他の現場に行ってしまう。その結果、撮影期間が伸び伸びになってしまった。その文化の違いが日本のパートナーには理解されず、(日本側の)社長に対して詫び状を書かなければいけなくなった」とした。さらに、韓国では映画俳優が厚遇される傾向があり、「日本人俳優はタクシーでも移動するが、韓国の俳優にはハイヤーを用意しなければいけない。韓国俳優はギャラも高く、日本との合作ではいつもそこが問題になる」と、合作の難しい点を明らかにした。


 議論は日中韓のコンテンツの違いにも及んだ。杉本氏は、以前中国のTV局を訪れた際、オンエアされているのが韓国ドラマばかりであることを目の当たりにし、「これは本数の問題だ。日本のドラマは通常12~13話だが、韓国は50数話が普通で、しかも安い。韓国は自国だけでなく、海外でも受け入れられるコンテンツ作りをしている」と韓国のシステムを高く評価。キム氏は「日本は漫画やTVシリーズの映画化が多い。しかし、原作を知らない中国や韓国ではこれらの映画は注目されない。俳優を海外に進出させるためには、コンテンツを工夫する必要がある」と日本作品に関する持論を展開した。鈴木氏も「日本はやっと、国内で完結してはマズイと気づいてきた。DVD等のコンテンツの2次利用は頭打ちになっており、今後は海外を視野に制作しなければいけない」と語った。


 会の後半にソー氏は、ハリウッドからアジアが学ぶべきことの一つとして、キャスティング・ディレクター制度を挙げた。「これは監督やプロデューサーにとっても良いシステム。キャスティングのための独立した会社が、作品をよく理解した上で、客観的な視線で配役を決定する。もちろん監督とも話し合いをするが、キャスティング・ディレクターの権限を奪うことはできない。キャスティング部門と映画部門を分けることで、作品の品質を保つことができる」と、同制度の導入を薦めた。


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