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2010年11月18日

ユニジャパン主催
(3)セミナー「日本‐香港 共同制作 ロードマップ」
  レセプション「香港シネマ@TIFF」開催


◎〝共同制作は価値の高いこと〟とR・イップ副総裁


  香港貿易発展局(HKTDC)、公益財団法人ユニジャパン主催のセミナー「日本‐香港 共同制作 ロードマップ~大中華圏市場進出に向けた日港協力モデルの推進~」が10月27日、東京・六本木のグランドハイアット東京で行われた。 “東洋のハリウッド”と称され、昨年100周年を迎えた香港の映画・エンタテインメント産業。アジア地域との共同制作を数多く手掛け、世界からの注目を集めている。さらに「経済貿易緊密化協定(CEPA)」のもと、巨大な中国本土マーケットへの優先的参入権が与えられている香港は、世界中のエンタメ業界から大中華圏市場へのゲートウェイとして関心を寄せられている。


香港1.JPG 今回のセミナーでは、アジア、特に香港のコンテンツ・エンタメ産業に関する最新情報の提供と、中華圏への事業展開を目指す日本企業に向けて、香港を活用した新たなビジネスモデル構築の提案がなされた。


  冒頭、香港貿易発展局のレイモンド・イップ副総裁(右写真)が登壇し、「非常に経済状況が厳しい中で、クリエイティブな仕事をしていくことは簡単なことではないが、だからこそ共同制作は価値の高いこと。過去、香港と日本は共同制作をしてきた長く素晴らしい歴史がある。より強く、クリエイティブな映画産業を協力して作り上げていくことが必要だ」と、日本語を交えながら開会の挨拶を行った。


  続いて、香港国際映画祭名誉事務局長でサロンフィルム会長のフレッド・ワン氏が登壇し、「日港共同制作:共同制作に見る香港映画産業のアジアにおける役割」というテーマで講演を行った。1960年代のブルース・リー作品から、00年代の「インファナル・アフェア」などの作品に至るまでの香港映画の系譜を辿り、07年4月に香港映画産業の発展を目的に、香港特別行政区政府によって設立された政府機関「香港映画発展局」や、映画制作費などの各種支援サービスを提供している「香港映画発展基金」、サービス産業のCEPAにおける規制緩和措置について説明。さらに東アジア地域は共通の“お箸の文化圏”として、日本の経済産業省が提唱した中国・香港・韓国・シンガポール・マレーシア・タイによる「アジア・コンテンツ共同体」についてと、日本の吉本興業とサロンフィルムの緊密な連携についても語った。そして現在、2011年の辛亥革命100周年に合わせて、日中港で企画開発が進められている合作映画「無限の友情」(制作:角川映画)を発表した。    



◎日中港共同制作プロジェクト「無限の友情」準備中


  その後、孫文と彼を支えた日本人・梅屋庄吉を描く、その「無限の友情」をもとにパネルディスカッションが引き続き行われ、ワン氏に加え、角川映画の土川勉プロデューサー、菅原浩志監督、ギャンビットの平山武之エグゼクティブ・プロデューサー、デジタルハリウッド大学院専任教授の杉浦幹男氏が登壇、キネマ旬報映画綜合研究所の掛尾良夫エグゼクティブディレクターがモデレーターを務めた。

香港2.JPG


  まず、掛尾氏が「中国と映画を作るのは非常に難しい部分がある。なかなか成功した事例がない」とアジアの共同制作の現状を紹介。 続いて、土川氏は今回の企画の成り立ちについて、「昨年、『孫文~100年先を見た男~』という映画を公開したが、配給するに当たって、孫文とゆかりの深い九州の財界の方々が盛り上がり、日本における孫文を見たことがないので、短編フィルムにしようということになった。調べれば調べるほど梅屋庄吉という人も不思議な日本人で、では長編にしようとオーナーの角川(歴彦)が受けてしまった部分もある」と説明。


  中国の英雄を日本人が描くことについてワン氏は、「英雄であることは問題ではない。映画をどう作るかが重要で、二人がどうやって何を成し遂げたのかを描きたい。平和のうちにアジアがまとまることを求めていたテーマが大事だ」と共同制作の意義をアピール。 土川氏は、「辛亥革命100周年の来年は、約25、26本、孫文をテーマにした映画が製作されると聞いているので、同じものを作ってもしょうがない。プロパガンダではない、物語性の強いものにしたい。中国と合作の場合は審査がいらないので、中国マーケットで公開できる。外国映画枠だとどうしてもリスクがあるので、CEPAも考慮に入れている。輸入制限の枠外の映画として作られる予定」とし、演出を手掛ける菅原監督も「失敗すると2度と中国でピザがおりないかもしれないよと言われたが(笑)、ステレオタイプでない、日本人の視点から見たアジア文化を伝える映画にしたい」と意気込みを語り、来年春頃から撮影し、来年中には公開したいとした。


 平山氏は、最近手掛けたNHK海外ドラマ「蒼穹の昴」の制作を例に、「共同製作という場合にどちらの脚本を使うか、納得いく脚本作りが大事。理解してくれるパートナー探しに12年かかってしまった。もちろん文化的対立もあった方が面白いものが出来あがることもあり、逆に中国側から提案があった」と、中国との共同制作の意義や問題点について語り、杉浦氏は「香港は資金調達をする上でも信頼感が高く、中国へのゲートウェイになる」とした。


  同じアジアでも生活様式や歴史は多様で、同時録音や吹き替えといった映画制作手法やマーケット事情も異なるが、そういった諸問題を乗り越えつつ、互いの文化・社会の理解に役立ち、かつ興行的な結果も得られる作品づくりが求められる。


香港3.JPG  なお、ディスカッションの後には、レセプション「香港シネマ@TIFF」も行われ、イップ副総裁が開会の挨拶を行い、JAPAN国際コンテンツフェスティバル実行委員会の松谷孝征副委員長が祝辞を述べ、(社)日本ニュービジネス協議会連合会の今野由梨副会長が乾杯の音頭を取り、親睦が深められた。





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