DVDが発売される際のイベントをちょくちょく取材に行くのですが、個人的に楽しいのは、専門家が作品を解説する系のイベントです。
例えば、『ゼロ・グラビティ』の発売時は宇宙飛行士の山崎直子さんが登場して、宇宙について色々説明してくれました。「ナイトライダー」の初ブルーレイ化発表会見時には、吹替を担当していたささきいさおさんと野島昭生さんが当時の思い出を語ってくれました。作品を深掘りができる感じがして、純粋に映画ファンとして話を楽しんでしまいます。
今日あった『ラッシュ/プライドと友情』の発売イベントもそのクチ。F1のジェームス・ハントとニキ・ラウダの対決と友情を描く熱い本作ですが、クライマックスの76年日本GPに実際に参戦した元レーサーの長谷見昌弘さんが当時の様子を色々教えてくれ、作品の魅力が倍増しました。
何と言っても、ハントとラウダはどんな人間なのか?映画の通りなのか?というところが興味のある点。2人を演じたクリス・ヘムズワース、ダニエル・ブリュールについて、長谷見さんは「ソックリだった」と驚いたような表情で語っていました。
生真面目なラウダ。実際日本GPの時は「ラウダは全チームのマシンをチェックしていた。日本のマシンなんてみんなバカにしていたが、ラウダだけはよく見ていた」ということで、劇中と同じようにレースと真摯に向き合っていた様子が伝わってきました。ちなみにラウダが見に来た時、長谷見さんは話かけたのかとMCから質問が出ると「話しかけられない(笑)相手はチャンピオンだからね」とかなり緊張したことも明かしてくれました。
一方のハントですが、歓迎パーティーに裸足で現れたりと、やはり破天荒なキャラだったとか。劇中でもそれが描かれていて、長谷見さんは「よく見ているな~」と感心したそうです。ただ、あんなに男女関係は派手じゃなかった、とは繰り返し強調していました(笑)。
そのほか、大雨のため日本GPを開催するか否か、レーサーたちのミーティングシーンがありましたが、もちろん長谷見さんもその場に出席していて、「あれは荒れた。ラウダは最後まで反対していた。ただ、やるとなったらラウダは2周ほどテスト走行をしていた。本当に偉い」と褒め称えていました。
気になるレースシーンの映像も「ラウダがクラッシュする場面は、本物なのかCGなのか見分けがつかない。本当によく出来ている」と太鼓判を押していて、まさにプロのお墨付きというわけです。まだ見ていない人は、買うorレンタルするしかないですよ。
ちなみに、長谷見さんは日本GPの予選1回目で4位と好走。しかし2回目に大クラッシュしてしまいました。その時は「ガードレールに向かっていく時はもう死んだと思った」のだそうです。運よく無傷で済んだものの、車は全壊。通常なら決勝への参戦は無理ですが、他チームがボランティアで修理を手伝ってくれたため、急遽出走が叶ったのだとい言います。事故の直後でしたが、「クラッシュしたら、早く乗ることを心掛けていた。1~2周目は現場に差しかかると事故を思い出すが、10周もすれば忘れてしまう。(乗る)間隔を空けてしまうと怖くなってしまうからね」とレーサーならではの心の持ち様も明かしてくれて、非常に興味深かったです。
ブルーレイ&DVDは本日発売。要チェックです!