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『世界一美しいボルドーの秘密』で狂気ビジネス知る (vol.203)

平池記者の「競馬ときどき映画」

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『世界一美しいボルドーの秘密』で狂気ビジネス知る (vol.203)

2014年09月01日

間もなく公開されるワインのドキュメンタリー映画『世界一美しいボルドーの秘密』を、ひと足早く観ました。

タイトルだけ見れば、ちょっと敷居が高い感じもする本作。記者はお酒が飲めないのでなおさらでした。でもご安心を。ワイン評論家がグラスをクルクルしながらワインの魅力を語る内容ではありません。お酒が苦手でも、ワインに興味がなくても大丈夫。

これは、狂気と言っていいここ数年の「ワインビジネスの現状」に迫るドキュメンタリーなのです。むしろ、ワインに詳しくない人の方が面食らう内容かもしれません。たかが(と言ったら失礼なのかもしれませんが)ワインが、平然と1本何万ドルで取引される世界…。まるで骨董品のように扱われる様子に、この世界を全く知らない記者はポカンとしてしまいました。

そして、その台風の目となっているのが「中国」の存在。最近見た『トランスフォーマー/ロストエイジ』や『LUCY/ルーシー』でも、ハリウッドが中国市場・資本を無視できなくなっている様子が窺えますが、それはワインの産地で知られるボルドーも同じ。中国の資産家がボルドーワインを買い占めてしまうため、ここ数年でとんでもない高騰を続けているのです。

まるで、世界経済の縮図をワイン業界が表しているかのよう。ステイタスや投資のためにワインを買い漁る中国資産家と、ワインの味や本質を理解せずブランドだけで購入している中国人を冷ややかな目線で見る販売業者。それでも、高額で購入してくれるありがたい顧客のため、中国寄りのマーケティングが行われるワインメーカーの現状。

少し滑稽にも見えますが、それと同時に中国パワーの勢いを見せつけられるかのようです。資産家の一人が「中国人は失敗を恐れない。(文化大革命を経験した我々は)どんなに悪くなっても、あの時より悪くなることはない、失うものはないという考えがあるからだ」と語っています。これが中国のイケイケドンドンの根底にあるのでしょうか。予告編にもありますが、試飲会の会場に中国のファンがなだれ込んでくる映像が、そのパワフルさを物語っています。

ナレーションをラッセル・クロウが担当しており、渋い声でそんなワインビジネスの現状を淡々と説明してくれます。また、ワイン好きには知られた評論家や、自らワイナリーを展開するフランシス・F・コッポラ監督なども出演しており、熱く語る一幕があります。ユニークで勉強になる作品なので、ぜひご覧ください。公開は9月27日です。


平池アイコン(サイト用).gif平池由典(ひらいけ・よしのり) 映画部記者 兼 サイト事業部所属
 映画・DVDの取材を担当しています。“宇宙人が攻めてくる系”映画が大好物。趣味は競馬と映画鑑賞。当コーナーでは、競馬と映画を中心に自由につぶやいていきますので、良かったらご覧ください。

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