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ダービー直後のメディアの反応に時代の変容を見る (vol.265)

平池記者の「競馬ときどき映画」

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ダービー直後のメディアの反応に時代の変容を見る (vol.265)

2015年06月05日

先週の日本ダービーはドゥラメンテの圧勝でしたね。「自爆しなければ…」という前置きがついてまわった戦前のイメージを覆し、非常に優等生で王者の風格さえ感じるレースぶりでした。

ドゥラメンテの強さも驚きでしたが、個人的にもっと驚いたのがレース後のメディアの反応です。テレビでは「さあ凱旋門へ!」という声が挙がり、翌朝のスポーツ各紙もそれと同じ論調ではありませんか。「3冠なるか!?」という雰囲気はほとんどありません。秋に行われるクラシック最終戦の菊花賞が空気のようです。メディアだけでなく、ノーザンファームの吉田勝己氏が「次は国内はない」と発言したそうで(その後訂正したそうですが)、日本屈指の競馬人もすでにそういった考えにシフトしていることがわかります。

私は別に「菊花賞が絶対!」という思想の持ち主ではありませんが、前の3冠馬オルフェーヴルの時(2011年)はまだそこまで3歳での凱旋門挑戦は一般的ではありませんでした。3冠を達成し、暮れの有馬で古馬を負かし、日本一になって晴れて「さあ来年は凱旋門!」という感じではなかったでしょうか。その時に比べると、もう3歳で行くのが普通になってきましたね、

契機は前出のオルフェーヴルとキズナ、ハープスターでしょう。オルフェが2年連続で2着し「もう日本馬の優勝は間近」という状況になった一方で、斤量の軽い3歳馬が勝つケースが多いことから「3歳のうちに行かないと勝てない」という考えが浸透し、一昨年はキズナ、昨年はハープスターが3歳で実際に挑戦。いよいよその流れが加速したように思います。

ただでさえ、近年は有力馬が菊花賞を回避するケースが目立つので、心配は心配。事情は違いますが、イギリスのクラシック最終戦セントレジャーのような位置づけに変わってしまうのでしょうか。菊花賞馬という響きは今でもそこらへんのG1馬より重いと思うのですが…。

ただ、これは一種の“凱旋門ブーム”のような気もします。もう、今は「誰が最初に凱旋門を勝つか?」という争いになっています。「8頭目の3冠馬」よりも「日本初の凱旋門賞馬」の方が聞こえが良いのは理解できます。一方で、仮にドゥラメンテが今年勝ってしまえば、今ピークを迎えている「凱旋門いけいけムード」は落ち着き、再び原点回帰となるのではと思います。たまたま凱旋門が3歳馬有利のレースのため、こういう状況になっていますが、本来は馬が完成してから海外遠征させたいと思う関係者がほとんどでしょうから。堀調教師も「もっとしっかりしてから…」と慎重なコメントをしていますしね。とりあえず、ドゥラメンテ陣営が最終的にどちらを選ぶのか注目したいです。


さて、最後に恒例の競馬予想。今週は安田記念です。もう、全頭に印を付けたいぐらいの大混戦。ここまで全ての馬に勝つチャンスがあるG1も珍しいんじゃないでしょうか。こういう時は思い切った予想をするのが正解。私の本命はケイアイエレガントとします。前走はあわや1着というレースぶり。牝馬限定だったとはいえ、相手は牡馬と互角に戦ってきたストレイトガールでした。今回も気楽な立場で先行すればアッと言わせる場面があるかもしれません。

平池アイコン(サイト用).gif平池由典(ひらいけ・よしのり) 映画部記者 兼 サイト事業部所属
 映画・DVDの取材を担当しています。“宇宙人が攻めてくる系”映画が大好物。趣味は競馬と映画鑑賞。当コーナーでは、競馬と映画を中心に自由につぶやいていきますので、良かったらご覧ください。

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